編集長のブログ

http://www016.upp.so-net.ne.jp/yama38 大阪先物研・ホームページ編集長の意見を掲載します。

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      仮想通貨についての意見書                                                                                                                             平成30年7月20日
意見の趣旨
 資金決済法を改正し、発行者等によりほぼ一定の価格に固定されたものを除き、仮想通貨の流通を禁止すべきである。

意見の理由
1.理由の要旨
   ビットコインその他仮想通貨で、発行者等によりほぼ一定の価格に固定されたもの以外(以下ビットコイン等という)の流通は、禁止されるべきである。ビットコイン等は通貨としての効用はなく、その取引の実態は賭博でしかなく、その流通を許すことは反社会的だからである。
   ビットコイン等は乱高下する。ビットコイン等の乱高下は、それが投機対象であることからその宿命であり、価格が安定し、支払いや送金手段として問題がない状態になるということは考えられない。よって、通貨類似のものとしての存在価値はビットコイン等にはない。
   一方で、永久に値上がりを続けない限り、株式などと違って配当等を生まないから、ビットコイン等の売買による儲けは別の参加者の損失により賄われる。結局、値上がりする前に買った者が、値上がりした後で買った者の損失により利益を得る、という構造はビットコイン等の取引において不可欠の要素である。
   すでに一定の価値で流通している仮想通貨について、今後、値上がりが予想される合理的根拠は特に無い。値上りすることもあれば値下がりすることもあるが、どんな理由でどの程度、値段が上がり下がりするか、全く合理的な予想の根拠もなく、また、その価格変動の過程でどのようなことが行われているか、世界中のどの機関も監督していない、そのようなものが一般人に対して勧誘されていること自体、不相当である。そのことは、今後発行される仮想通貨や、今後、広く流通して値上がりする仮想通貨についてはなおさらである。
   ビットコイン等の取引は賭博以上の意味は無いのであるから、送金等の効用に関しては価格が(ほぼ)固定された仮想通貨の流通を待つべきで、そうではない、ビットコイン等の流通を禁止すべきである。
  以下、詳述する。

2.ビットコイン等は通貨類似のもの、などではない
   ビットコイン等は、仮想通貨の一種とされる。「仮想通貨」というのが通貨を擬装したもの、という趣旨であればその呼称も否定しないが、仮想空間における通貨といった意味で使われるなら、ビットコイン等を仮想通貨と呼ぶこと自体が不正確である。
   なぜならば、通貨の性質、意義がビットコイン等には無いからである。つまり、通貨の効用としては、価値の尺度、交換の媒介、価値の保存などが挙げられるが、乱高下するビットコイン等は、それらの、通貨としての効用は無い。このようなものを通貨類似のものと評価すること自体が誤りである。

3.ビットコイン等を支払いや送金に用いるのは不適切である
   ビットコイン等は価格が大きく変動するのであるから、ビットコイン等を支払いや送金に用いることは不合理である。100万円のつもりで誰かに送金したところ、受け取った側が使う時点で90万円になっている、などというのでは他の、若干送料が高い他の手段でも、そちらを用いる方が有利なことは明らかである。
   ビットコイン等による代金受け入れ量が増えれば増えるほど、店舗の損失発生の危険性も大きく、店舗の存続にかかわる問題にもなる。多少不便でも手数料が高くても、円やドルで受け取る、あるいは、クレジットカードを用いる方向に店舗が動くのは当然である。
   あるいは、ビットコイン等を法定通貨に交換する際には何%かの交換手数料がかかるから、相場の変動の有無にかかわらず、ビットコイン等を受け取った者は一定の損失を被ることになる。
   現在、ビットコイン等を支払いに使える店舗が増えているということであるが、その多くはビットコイン等販売業者が、前記の交換リスクを負担する、つまり、客が200万円の自動車をビットコイン等で支払う時点で、ビットコイン等販売業者が200万円の支払を店に保証し(あるいは直ちに200万円を支払い)、受け入れたビットコイン等の下落リスクはビットコイン等販売業者が負担する、などというシステムになっているものである。ビットコイン等販売業者は、そのリスクを負担してでも、ビットコイン等が通貨類似のものとして広く使える外観を作出しようとしているものであり、ビットコイン等流通の不合理性は、何ら変わらないものである。
   あるいは、ビットコイン等下落の危険性を覚悟しつつ、それよりも、当店は「ビットコインの使える店」である、ということで中国などから集客ができる、などという動機でビットコイン等を受け入れている場合もあると考えられるが、これは、ビットコイン等下落によるリスク分、その損失分を宣伝費として考えていることから説明できることである。よって、「価格変動の激しいビットコイン等を通貨代替物として受け入れることは不合理である」という本立論に特に影響を与えない。

4.ビットコイン等の価値の乱高下は、その宿命である
   一方、学者などの中には、今後、価値が安定した際に、ビットコイン等の通貨としての効用が発揮されるもので、現在は過渡期にある、などと説明する者があるが、それは間違っている。ビットコイン等の価値が安定することはあり得ない。
    現在のシステムにおいて、ビットコイン等が安定した価値を保つ、ということはあり得ない。なぜなら、価格が一定期間、安定するという状態になったならば投機目的で保有している投機家において、値上がりの期待が持てず、一方で政府の規制等により暴落の危険もあるビットコイン等を持ち続ける理由がなく、手放すことが考えられるからである。投機家の売買によって支えられているビットコイン等は、その価格が安定すると、投機家にとって、そのような値段で持ち続ける意味が無くなるから、おのずと下落していくということが考えられるのである。
   あるいは、交換比率が時々刻々変化するという意味では円とドル等、通貨同士の取引の関係に似ているとも言われるが、円やドル等の通貨は、世界においてほぼ固定した価値を有するドルと、同じくそのような円との交換比率の変化であるから、おのずと、一定の安定したものとなると考えられるのに対して、片やビットコイン等と円との交換比率について考えると、円にはほぼ固定した価値があるが、ビットコイン等にはそれが全く無いのであるから、全く交換レートが安定する理由はなく、非常に多く買われれば非常に大きく上がり、非常に多く売られれば非常に多く下がるのは明らかであり、価格が安定すると考える方がおかしいというべきである。
   あるいは、そもそも一定の価格で価値が落ち着くという、その価格自体、全く想定できない。つまりビットコイン等はもともと全く価値を持たないものであり、将来の値上がり期待により初めて価値を持ち得たものだからである。最初、無価値だったビットコイン等が1万円で流通しているとき、それがこれからも永続的に1万円で流通すると考える根拠は全くない。そのようなものとしてビットコイン等は作られていないからである。しかし、投機物として、1万円よりも上がっていくだろうと考えることならあり得るから、その場合、そのビットコイン等を1万円で買う根拠にはなり得る。そうやって、ビットコイン等は1万円になり、10万円になり、100万円に値上がりしてきたものである。
   よってそれが、将来の値上がりが期待できない事態となったあとで、株のように配当もなければ、「金」のように、それ自体で装飾品として持ちたいという需要も無い中で、では10万円が将来においてビットコイン等の安定的な価値として落ち着くべき価格なのか、そこから10倍になった100万円がそれなのか、10分1になった1万円がそれなのか、流通価値そのものにしか価値のないビットコイン等においては、どの値段が相当価格なのか、客観的には何の指標もない。
   よって、ビットコイン等においては現在の価値、たとえば1ビットコイン=100万円という価格が、高すぎるという根拠も、安すぎるという根拠も全く無い。たとえ1ビットコイン=1000万円でも1億円でも、みんながその値段で売買するから、1ビットコイン=その価格、ということが言えるものであり、100万円が高すぎるなら、では10万円なら妥当なのか、1万円なら妥当なのか、などという基準は全く存在しない。
   また、ビットコイン等は、他の同種の仮想通貨と、成り立ちも仕組みも、流通量も大きく異なることから、他の同種の仮想通貨も、価値の比較の基準となることもあり得ない。
   要は、みなが買うから上がる、上がるから買う、下がるなら売る、売るから下がる、その過程で、たまたま今、その値段である、という以上の、価格及び価格変動の説明は付かないものだからである。

5.価値が(ほぼ)固定された仮想通貨の登場を待つべきであることに ついて
   現在すでに、1円=1コインなどとしてレートを決めて、あるいは、それに限りなく近づけるように価格安定を目指すメガバンク等による仮想通貨が計画されている。政府が通常の貨幣としての円と平行してそのようなものを発行することもすでに構想されているとのことである。
   ビットコイン等の流通等のメリットについては、前記の仮想通貨の普及を待つべきものであり、ビットコイン等が将来、価格安定により通貨類似の効用が生じるかの幻想を持ってはならないものである。
   また、ブロックチェーン技術の優秀性、有益性とビットコイン等を流通させることとは、特に関係が無いということも重要である。ブロックチェーン技術は優秀であるが、それならば、そのような、送金等の利便性、安全性を備え、価値が(ほぼ)固定された仮想通貨を流通させるべきであり、それが実現した後に、ビットコイン等が前記のあまたの不合理、不利な点を持ちながら、世の中で存在し続ける、ということは考え難い。まさしく、賭博としての要素、用途のみでしか、流通を続けることはできないのである。
 
6.甚大な被害の可能性
  たとえば、ビットコインについては、平成29年12月には200万円を超えて流通していたが、平成30年7月には70万円程度で流通している。この間、投資金を半分以下に減らした者が多数存在すると考えられる。また、今後の価格変動によってはそれ以上に、大きな損失を被る者が出てくる危険性がある。
  ビットコインだけではなく、その他すでに一定の値段で流通している多くの仮想通貨や、今後発行または一般化する仮想通貨が値上がりし、また値段が下がる過程で多くの被害が発生することが考えられるが、投機対象は数十万円、数百万円の単位で考えられるものであり、ビットコイン等の取引をこのまま放置して、今後発生する可能性のある被害のことを考えると、極めて甚大なものがあり、決して放置できないことは明らかである。

7.投機対象としてのビットコイン等と他の投機との比較
   典型的な投機としての商品先物取引と、ビットコイン等の取引を比較すると、商品先物取引においてもそれ自体は、参加者の総利益は総損失と同じで、ゼロサムの世界であるからビットコイン等と同じである。しかし商品先物取引については、対象商品、例えば「金」や原油、トウモロコシなどの価格安定、取引業者のリスクヘッジのためには一般投機家の参加が不可欠であるから、商品先物取引には社会的存在意義があることから、実質的には博打としての意味が大きいとしても、商品先物取引は社会的に許容されている。
   あるいは、土地や権利等に対する投機について考えれば、土地そのものや一定の権利を買って値上がりを待つ、などということについて、それ自体を禁止することはできないのに対して、ビットコイン等にはそのような面も特にないのである。
   ビットコイン等には投機対象としてしか存在価値がない、つまり、博打そのものなのであるから、禁止することに何の問題もないのである。
 
8.博打としてのビットコイン等の不当性
   ビットコイン等取引は博打そのものである。土地や商品等、取引そのものにも意味があるものについて、その取引が博打としての意味合いも有している、というものではない。
   ビットコイン等は、各種経済の要素を予想し、それに従って値段が決まるというものでもないから、経済その他の予想とも特に関係が無い。要するに、今後、高くなるのか、安くなるのかを予想するだけのことである。そして、買う者が多くなれば上がり、売る者が多くなれば下がる、これらが経済とは無関係に動く、という意味では、仕手株の値動きを予想するのとまさに同様である。
   また、ビットコイン等による博打は、最初に安く買った人の利益が、その後、高く買った人の損失で賄われる、という関係にあることも特徴的である。結局、ビットコイン等が値上がりを続ける限り、皆が儲かる、ということになるが、値上がりを続けることはあり得ないもので、値下がりを始めた場合、儲かっていた時期とは全く逆に、下がるものを持っていると損をするから売る、売るから下がる、下がるから損をする、という時期が来る、ということになる。その際、高く買った者、遅れて取引に参入した者の損失が莫大になるのである。
   また、ICO(イニシャルコインオファリング)は、発行企業の信用性や成長性など全く無関係に、多くは、新たに発行される仮想通貨に、全く博打としか考えられない、何の経済的根拠も無い値段が新仮想通貨に付いて、無から有を生じ、価格が乱高下するもので、全くもって不当な賭博という以外に表現しようがないものである。
 
9.ビットコイン等の取引の公正を、誰も監督していないことの危険性と、金融庁等がビットコイン等取引の公正さをチェックする、などということが不合理であるということについて
   現在、仕手戦その他、不公正な株価形成については、金融庁や証券取引所等が常にチェックを怠らず、誰かの買い支えや売り浴びせ等による価格操作について、常に監視、監督を行っている。
   これに対して、ビットコイン等にはそのようなものが全く無い。よってその点だけからでも、一般人が取引に参加するのは危険極まりない状態にある。一見、90万円から100万円のあたりで価格が動いているから、それくらいの価値があると世間では考えられている、などと評価するのは危険である。そのような状態になるように、自らの当面の利益を無視して、買い支えを行っている者がいないか、誰も監視していないからである。つまり、誰かの買い支えがなくなれば、とたんに10分の1にも100分の1にも下がってしまう、などということが無いのか、誰も監視していないのである。
   また、ビットコイン等の販売所の売買価格が、顧客から見た「買い」価格と、「売り」価格の差が、小さいときでは1万円程度であるところ、大きい時には30万円近くなったりしているのが現状である。これらの価格差を調整、操作することにより、ビットコイン等の販売所は、ビットコイン等が順調に値上がりしているように装うことができるし、ビットコイン等が暴落していないように装うことも可能である。
   これらのことは、ビットコイン等の価格操作であり、株式であれば違法行為であるが、現行制度のもとでは、ビットコイン等においてそのようなことが行われたとしても、これを違法とするのは困難である。そこで、ビットコイン等についても取引の公正のためのルールを定めて、金融庁等が多くの税金を使って、そのルールに基づいた公正な取引が行われているかを検査しなければ、とんでもない不正行為が行われていても、誰も気が付かない、という恐れがあるというべきである。
   しかし、行政が多額の税金を使って、そのような検査を行う制度を作ることには反対である。なぜならば、ビットコイン等取引は前記のとおり、博打としての意味しか持たないものである。そのビットコイン等の取引の公正を行政が徹底的に検査するのは、不正のない博打としての条件を、博徒たちのために整えてやっている、ということだからである。ビットコイン等取引の公正を検査するのは、その電子取引としての取引の複雑性、公的な取引所で集中取引がなされているわけではないことからしても、莫大な手間と費用がかかるものと思われる。どうしても新式の博打を広めたいというならば、公設カジノの設置に関して議論されるべきものであり、新出の博打たるビットコイン等について、その公正をはかるのに莫大な税金を使うのは、社会的必要性、妥当性が無いことは明らかである。
 
10.ビットコイン等の取引を、金融商品取引法等の適用対象とすることの不当性について
  これまで指摘してきたとおり、ビットコイン等はいかなる場面においても、妥当な価格、相当な時価、などというものを想定できないものである。結局、現在の価格で、買う者が多ければ値上がりし、売る者が多ければ値下がりする、ということを繰り返すもので、ビットコイン等の取引参加者の思惑によって値段が変化する、としか説明しようのないものである。
  あるいは、ビットコイン等についての金融商品取引的な説明義務の内容を考えるに、仕手株が、他の同種の株式の流通価格からかけ離れた株価で取引されている場合と同様に、ビットコイン等については、「現在の流通価格は何の合理的根拠も無いもので、「買っている者」らが買うのをやめた場合、どこまで下がったら値下がりが止まるかなど、全く説明しようもないもので、結局、どこまでどんな理由で上がるか、下がるかなど、全く予想のしようもないから、投資対象としては不適格、博打としての意味しか無い」、ということを理解させるのが説明義務の内容ということになろう。しかし、それは、顧客に対して、ビットコイン等は買うべきではないものだと理解させるべきだ、ということになるから、そもそも金融商品を取引の対象とする証券会社等で扱うことが不適切なもの、というほかないのである。
  あるいは、適合性原則という点においても、そのような「博打」や「仕手株の株価乱高下部分を取り出したもの」としかいいようのない対象物の取引に適合性を有する投資家はいないと考えられることから、金融商品取引法の対象として証券会社がこれを扱う、という前提でビットコイン等を考えること自体が不当である。
  以上のとおり、そもそもビットコイン等は、金融商品取引法の対象とすべきではない。

11.ビットコインのマイニングには大量の電気使用が必要であるとの点について
  特にビットコインについては、その発生の際に(マイニングの際に)極めて大量の電気を使用し、このままでは今後、世界の電気使用量の何%を占めるなどという事態になるということである。ビットコインとは電子情報に過ぎないのに、それを作出するのに大量の電気消費が必要だ、というだけでも社会的に有害な存在だというべきである。

12.結語
  以上のとおり、ビットコイン等取引は通貨代替物としての取引の効用は全く無く、博打としての意味しか無いものである。博打としての意味しか無いもので、その儲けは、後から高く買った者の資金が、先に安い時期に買った者に移る、というものであり、ますます不当である。
   その博打も、価格操作等の不正が疑われるものであり、また、ビットコイン等取引の公正を維持するには莫大な費用がかかるもので、まともな博打としての性質を維持するにも莫大な資金が必要となり、それも不相当である。
   ビットコイン等の送金手段等としての有用性は、政府やメガバンク等が、ビットコイン等と同じブロックチェーン技術等を用いた上で、1円=1コインなどと(ほぼ)固定された仮想通貨を発行して流通するのを待つことで、何の不都合も無いものと考える。
   以上の理由により、ビットコイン等は、流通させてはならないものなのである。
   資金決済法を改正し、発行者等によりほぼ一定の価格に固定されたもの以外、仮想通貨の流通は禁止すべきであると考える。
                                            以上
                                                                                                                                       
                     
                 

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