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(1) ビットコインは、日本の法制度、公序のもとでは存在してはいけないもので、日本政府は、ビットコインの日本での流通を阻止する義務がある、放置すると後日、国家賠償の対象となると考える。
 
(2)ビットコインは、通貨類似のもの、通貨の機能を持つものとして存在するのであるが、実は、すべてがとんでもない詐欺で、ある日突然、ゼロになる、という危険性は否定できない。
 どこの政府その他、公的機関、私的機関も監督していないのであるから、そうでない、そのような危険はないと断言できる者は、いないはずである。それは、通貨として求められる安全性とは真逆のもので、そんなものが通貨類似のものとして流通するのを放置してはいけない。
 
(3)前記(2)は危惧に過ぎない、ほぼ、無視できるほどのリスクしかない、という者との議論が必要な論点ではあるが、現に、この1年だけでも相場が数十倍動いた、というのも通貨としては致命的欠陥である。
 それだけ動く投資、しかもよく判らない理由で動く投資は、例えば証券会社が勧めるだけで違法である。まさに、仕手株を普通の人に勧めたらそれだけで違法なのと同じで、通貨類似のものとしては、そのようなことだけで致命的欠陥があることは明らかである。
 よく判らない理由で大幅に価格変動するものは、投資物として保有するだけでも不当であるところ、世界の通貨当局等から独立し、独自の存在をしていくのがビットコインであるところ、思惑による投機にさらされて、乱高下するのは宿命であると考えられるから、その意味でも存在してはならないものである。
 
(4) 結局、最後に、投機、賭博としてなら、辛うじて存在が是認できる可能性がある、ということになる。しかし、日本ではそのような投機は、商品先物取引その他、法制度に則ったもの以外は賭博で、賭博罪が適用されることになる。
 よって、日本では、ビットコインなどというものは流通させてはならないものである。
 大きな被害が出る前に、少なくとも日本政府は、ビットコインの国内流通を禁止すべきであると考える。

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(1) 平成26年2月26日、仮想通貨・ビットコインの最大の取引所が倒産し、民事再生を申し立てるということで、取引の中断を発表したが、これを受けて関係者の間に混乱が広がり、急成長してきたビットコインに対する信頼が揺らいでいるとのことである。
 
(2) しかし、ビットコインなどというもの、全く信頼できない。かつて、詐欺業者が「円天」なる通貨まがいのものを作りだし、「『円天』を購入して『円天』で買い物ができる。『円天』は持っていれば業者が増やしてくれるので、減らない」、という触れ込みで多くの投資を集めたが最終的に破綻し、多くの被害を出したことがあった。
 
(3) それとどう違うのか。『通貨』の交換に責任を持つ詐欺業者すらない分、もっとタチが悪いと考える。
 何もないところからビットコインなる通貨を作り出し、それをドルや円等の本来の通貨と両替した者(創出者)は、無から利益を得ることができる。現在、世界で流通しているビットコインは、本来の通貨と両替した際の利益分、創出者の利益になっていて、それは莫大な利益となっているはずだが、創出者がそのような利益を得ることの説明がつかないと思われる。
 あるいは、創出者がビットコイン創出により得られる利益は、その労力、手間よりも遙かに大きいと思われる。創出者は創出により不当な利得を得るもので、そのことは非倫理的である。ビットコインの所有者からすれば自らの価値を薄められることになることから、このような構造に反対するはずのところ、「薄まる以上に時価が上がる」という期待から容認しているだけで、すべてが、非倫理的な世界である。
 
(4) それはともかく、日銀は、通貨を発行する際は債券やあるいは債権を取得し、発行した通貨に見合う財産を保有していて、流通通貨分の財産を保有しているというのが建前である。また、基本的に国内の物価が上がるようだと、通貨発行量を減らす等により、物価を安定させるから、通貨の価値も安定する、ということになっている。
 つまり、そのようなシステムにより、円とドルとの関係で大きな交換価値の変動は無い、ということになる。まさに、日米間の物価変動に基づき、日本の物価が10%上がって、円の価値が10%下がれば円ドル交換レートは、1ドル=100円から、1ドル=110円になる、などということでバランスが取れて、円とドルの交換レートは安定する、ということになるはずである。
 
(5) ところが、ビットコインにはそんな法則、基準のようなものは全くない。ビットコインの流通量が突然、2倍になったとしても、ビットコインの価値、つまりドルとの交換レートが、半分になってしまう、とは限らない。1ビットコイン=10ドルだったところが1ビットコイン=5ドルに減ってしまう、などということでもないはずである。なぜなら、もともとドルとの交換に、そのような法則性は無いからである。
 結局、ビットコインのユーザーがビットコイン市場で普通の通貨と交換する際の価格がどうなるか、ということだけでビットコインの価値が決まる、つまり、価値などないのだから、仕手株が市場で暴騰したり暴落したり、要するにみなが買えば上がり、売れば下がる、という客観的価値とは無関係なところでマネーゲームが展開されるだけの状態になるというべきである。
 
(6) あるいは、コインをみんなで持ち合って、その相場の上がり下がりで儲かった、損をしたという価値のやり取りは、賭博そのものであろう。金の相場、原油の相場であれば、金や原油という実際の価値を別の場面で有するものを売ったり買ったりし、その結果、損益が生じるだけだから賭博ではない、との言い訳も可能であるところ、ビットコインはそれ自体では価値はなく、取引参加者が価値を付け合うだけのものであり、買った時の数値よりも売った時の数値の方が高ければ利益になり、その逆だと損になるという、単なる博打以外の何物でもないと言えるものである。
 
(7) ビットコインなど、全く信用できないというべきである。通貨ではないのに、通貨まがいのものが流通していて、それは結局、博打を行っていると評価できるものである。また、利用者に予期せぬ莫大な損失を与える危険性も否定できないのであるから、その流通を禁止すべきだと考える。

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(1)総合取引所構想実現のため、金融商品取引法の定める金融商品に商品先物取引を加えた改正法が2012年9月に成立した。そして、本年6月19日、内閣府副大臣が、衆議院経済産業委員会において、証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、委員の質問に対し「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁を行った。これは、総合取引所において商品先物取引業者に対しても監督権限を有すこととなった金融庁が、総合取引所に関する法規制について、不招請勧誘禁止を撤廃する方向での検討を進めていることを示している。                           
 
(2)改正金融商品取引法の施行が2014年3月と迫っている中、金融庁は、現在、施行令等の改正作業に取り組み中であるが、現行の施行令(金商法施行令16条の4第1項)では、店頭デリバティブ取引のみが不招請勧誘禁止の対象に指定され、市場デリバティブ取引は対象外であることから、今回国内の商品先物取引を不招請勧誘禁止の対象取引に加えなければ、現行の商品先物取引法下で禁止している不招請勧誘禁止が撤廃されることになってしまう。しかし、当会は、商品先物取引についての不招請勧誘規制を撤廃することに、強く反対する。
 
(3)そもそも、商品先物取引についての不招請勧誘規制は、商品先物取引業者が、不意打ち的な勧誘や執拗な勧誘により、顧客の本来の意図に反した取引に引き込み、多くの被害を生んできたという歴史的事実を踏まえ、消費者・被害者関係団体等の長年にわたる強い要望が積み重ねられた結果、ようやく、2009年の商品取引所法改正により、実現したものである。
 
昨年2月から6月にかけて開催された産業構造審議会商品先物取引分科会における議論において、不招請勧誘規制を見直すべきとの意見が出されたものの、日本弁護士連合会が2012年4月11日付意見書において同規制の維持を主張し、分科会報告書も、「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため、引き続き相談・被害の実情を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである」、「将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である」とされ、商品先物取引についての不招請勧誘規制を維持することが確認されていたところである。
 
(4)このように、商品先物取引についての不招請勧誘規制は、深刻かつ悲惨な被害の多発を受けて導入されたもので、産業構造審議会商品先物取引分科会が取りまとめた報告書においても規制維持の必要性が確認されているところであり、それから間もない現時点において、何らの検証もなく、規制を撤廃する方向で検討することは極めて不適切である。
 
(5)商品先物取引についての不招請勧誘規制の導入以降、商品先物取引に関する苦情件数が減少する一方で、不招請勧誘規制を潜脱する業者の勧誘により消費者が被害を受ける事例が、なお相当数報告されている。政府は、商品先物取引の出来高が大幅に減少していることを懸念し、その市場活性化対策として、再び、商品先物取引の不招請勧誘禁止規制を撤廃しようとしているが、そもそも商品先物取引が個人投資家に敬遠されているのは、他の金融取引と比べて、格段に複雑で投機性の高い取引であることのほか(しかもゼロサムの世界である)、過去に不招請勧誘を行う業者によって多くの個人投資家が被害に遭ったことにより、「先物取引は危ない」との認識が個人投資家に広まったことが一因と考えられる。不招請勧誘禁止を撤廃すれば、個人投資家の商品先物取引被害が再び増加するおそれが非常に高く、かえって総合取引所全体に対する信頼を損なうこととなる。
 
(6)よって、消費者保護の観点から、総合取引所において取り扱う商品先物取引について不招請勧誘禁止を撤廃することに強く反対するとともに、改正金融商品取引法施行令には商品先物取引に関する市場デリバティブを加えるよう強く求めるものである。
 

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(1) 週刊朝日が、橋下大阪市長について、その人格に問題があるのは、親や親戚が被差別部落出身者で、また犯罪者だからだ、という趣旨の記事を掲載していた問題で、朝日新聞出版社は、社長を更迭した上で、橋下氏に謝罪し、二度とこのような問題が起きないようにする旨を説明に橋下氏のもとを訪れた。
 
(2) 親が被差別部落出身者であるとか、犯罪者であるとかいう理由で、子の人格を否定するなどということは、極めて重大な人権侵害であり、言語道断であることは言うまでもない。また、総選挙を目前に控えた公党の代表者について、いわれなき非難の記事を掲載するなどというのは、悪質な選挙妨害でもある。
 よって、朝日新聞出版社が社長更迭処分で応じたことも、当然のことである。
 
(3) 私などは、昭和61年以来、新潮社などの、人権侵害記事を批判し、損害賠償訴訟を提起し、現・会社法429条により、新潮社社長は、新潮社の不法行為記事の掲載につき悪意・重過失があるとする主張まで行って責任を追及してきた。いつかは、新潮社に心から謝罪させ、社長更迭などをもって反省の意思を表明させなければならない、と思っていたが、いまだ全くそれに至っていない。
 
 何かと、問題行動の多い橋下氏ではあるが、橋下氏が、この点において、正義を、早期に、完全な形で実現したことにつき、心から敬意を表したい。
 
(4) 朝日新聞出版は、佐野真一氏のコメントを掲載しているが、末尾に引用した部分は、断じて受け入れることはできない。朝日新聞出版としては、自らのホームページにコメント記載を許している以上、批判すべき点は明確に批判すべきであると考える。
 
(ア)生まれ育った環境や、文化的な背景を取材して、当該人物を評価することは、佐野氏の人格表現としては不可欠かもしれないが、当該人物にとっては、プライバシーの侵害であることも多々ある。たとえその当該人物が政治家で、有権者が、その人物を評価することが必要だとしても、一般人の、政治家の評価に合理的に寄与するものでなければ、違法性を阻却しないプライバシー侵害そのものであって、決して許されないものである。
 
(イ)その観点から、取材の自由は、その結果、それが報道され、有権者の知る権利に寄与するものでなければ認められない。
 当該人物が被差別部落出身者かどうかなどということは、有権者がそれを知って投票判断の根拠としてはならないものである。よって、取材の自由も認められない。そのような取材は、単なるプライバシー侵害、人権侵害そのものである。
 
(ウ) 朝日新聞出版社は、下記の佐野氏の間違った論述が、自社のものと異なることを明示しなければ、同社が、下記の論述を特に否定していないものと見られてしまう。あのような人権蹂躙記事を平気で出した出版社なのであるから、特に神経質にでも否定しておくべきだと考える。
 
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(引用始め)
 生まれ育った環境や、文化的歴史的な背景を取材し、その成果を書き込まなくては当該の人物を等身大に描いたとはいえず、ひいては読者の理解を得ることもできない。それが私の考える人物評伝の鉄則です。ましてや公党の代表である公人中の公人を描く場合、その人物が生まれ育った背景を調べるため、家族の歴史を過去に遡って取材することは、自分に課したいわば私の信念です。
 取材で得た事実をすべて書くわけではありませんが、取材の自由は保障されなければなりません。それが許されなければ、まさに言論と表現の自由の危機です。
(引用終わり)

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(1) 元金融庁官僚で、金融規制を担当してきた松尾直彦氏が、金融法務事情・2012年2月10日号で、「店頭デリバティブ取引の投資勧誘の在り方―「悪玉論」への批判」という論文を掲載し、近時続出している通貨オプション等のデリバティブ事件での金融機関敗訴判決や、ADRにおける金融機関の責任を認めたあっせん手続等を批判している。
 
 松尾氏は、自らも投資信託で損をしているが証券会社の担当者にはぶつぶつ言うだけで自己責任をわきまえているなどと言い、金融庁による「最大リスクを顧客に理解させることが必要」との指針等も批判しているが、デリバティブの性質や証券取引法制の間違った理解に基づく、極めて不当な論述である。
 
(2) 松尾氏は、デリバティブの仕組みやリスクの実態を理解する必要などなく、例えば、通貨オプションなど、ドルが各時点でいくらになれば、いくらの損益が発生する、ということが理解できていればそれでよい。ドルが変動することを知っている投資家には理解困難な投資ではない、などと主張する。
 
 しかし、A国がデフォルトすればA国の国債は償還されない、デフォルトしなければ元本とB%の金利が支払われる、という国債償還の仕組みを知っていれば、ドイツ国債よりも低い金利でギリシャ国債を買わされても問題がない、というのだろうか。国債は、デフォルトするかしないか、ということももちろん問題であるが、リスクに見合った金利が付いているか、ということで投資の可否を決めなければならない証券である。
 
 そんなことすら判らない投資家が、つまり、ギリシャ国債とドイツ国債の違いも分からないような投資家が各種国債を次々と、とんでもない高い手数料を取られる結果、まさに、ドイツ国債の金利でギリシャ国債を買わされているような実態が、日本におけるデリバティブ販売の姿なのである。
 
(3) 相場観を持たないおかしな注文の存在は、健全な市場を阻害する。トヨタ自動車のEB債と日産自動車のEB債、金利はどちらがどの程度高いのが妥当なのだろうか。これは、両社の業績や株価もさることながら、近時、大きく上がっている株は、また大きく下がるリスクも大きいから、そのEB債は高い金利でないと買えないはずだ。
 
 それらの仕組みを全く知らないまま、トヨタ自動車株が下がれば株で返ってくる、ということがわかっただけではとんでもない逆転金利でEB債が流通する。しかし、各社のEB債が適正な価格で販売されないと、両社のオプションの流通を歪める。もちろん、ひいては株式の流通も歪める。
 
 福岡高裁平成23年4月27日判決・判例セレクト40巻・100頁の、125頁の(2)に、以下の記述がある。
 
  契約当事者の一方にのみ専門的な情報ないし知識が存する場合は、特殊ないし専門的内容の契約等においては、他方当事者は専門的知識を有する当事者側から、その契約についての適切な説明を受けない限り、同契約を締結すべきか否か自体についてさえ、合理的に判断することはできないのが通常である。特に、その契約の主たる内容が、知識を有する当事者側からの一方的な提案である場合は、その契約の内容が社会経済上の観点において客観的に正当で、合理的判断下においても同旨の契約がなされたであろうと認められるものでない限り、それによって成立した契約は社会経済的に不公正であるばかりでなく、法的にも不公正である。
 
 つまり、契約について適切な説明を行わなかった結果、全く相場観を持てないような顧客に対して、業者が、通常相場と比べて不利な契約をさせるようなことがあれば、そのような契約は不公正な相場形成につながるとともに、それ自体で重大な説明義務違反であるから、法的にも不公正である、ということである。
 
  あるいは、同じような条件のEB債なら比較もできるがノックアウト条項などが複雑に絡み合うことにより、どちらが有利かなど、およそ一般投資家には判断できなくなっている。
 
(4) EB債は当該株式を購入した場合と異なり、うまくいってもその金利しかリターンは得られないのだから、リスクの高低は取引の要諦であるが、リスクの高低が判らないようならEB債など買ってはいけないし、リスクの高低に伴ったまともな金利が付いているかが問題だ、ということ自体が判らないような投資家がEB債に手を出すことなど論外である。
 
 あるいは、ノックアウト条項付きの日経平均リンクドル建て30年債を買うなどというのは30年分の物価変動リスク、為替リスク、発行体デフォルトリスクをすべて一方的に負担する、ということであるが、保険会社じゃあるまいし、そんなものを合理的に負担できる個人などいるはずがない。これらの30年債を自ら買う銀行や証券会社があるなら、買った理由を確認したい。綿密なポートフォリオ計算に基づいて買うのでない限り、そんなものを買う銀行や証券会社が存在してはいけないはずだ。そんなものを個人に売っていいはずがない。
 
(5) 購入する証券は、リスクに見合った金利がついているか、金利に見合うリスクなのか、それが判らない者はその証券を買ってはいけない。だから、日本で、複雑な仕組みの店頭デリバティブが一般投資家に広く流通している、などという現実は、絶対にあってはならないものなのである。
 
 金融庁はこの状態を直ちに是正すべきは明らかで、少なくとも金融機関が取る手数料を規制し、高いリスクの商品が低い金利で流通するようなことが無いようにしなければならない。そして、本質的には、リスクの程度を理解し、リスクとリターンが見合った商品で無ければ買わない、という投資家でなければ、デリバティブ市場への参入を許してはいけないのである。
 
(6) 金融庁として、金融機関の取る手数料を規制するのは営業の自由に反するし、手数料の多寡も含めて、リスクとリターンが見合っているかを理解できる一般投資家など日本には存在しない。
 
 リスクの程度とリターンの量の比較など、一般の投資家にしようがないのだから、そこで金融庁は、「最大リスクを投資家に理解させる」ということにしたものだと思われる。そのデリバティブ商品を購入すると、最も悪い結果が出る場合は、何がどうなったときで、過去の例からして、最悪の場合、こうなるし、それは過去の例だから、最悪がそこでとどまる保障はない、そのことを先ず理解させ、その対価が一定の、最大でも年利6%、場合によっては0.5%に下がってしまう、などということでその商品を買ってもよいのか、ということである。
 
 普通に考えたら、そんなものは買わないだろうという、今のようなデリバティブ商品は、事実上の販売禁止に踏み切った、金融庁の英断だと当ブログは考える。
 
(7) もう一つ、松尾氏は、デリバティブ商品の結果の予測困難性について、予測が困難なことは株式についても同じだ、などと嘯く。
 
 しかし、株式について一般の投資家は、予測困難な要素、たとえば各種景気動向や技術革新の度合い、あるいは当該会社に不慮の事故が起こる確率等は過去と変わらない前提で、あるいはそれによって当該株価が変動するのは仕方がない、織り込み済みの事実として、市場が評価せず、あるいは過小評価している一定の項目に着目し、それが原因で株価は上がると考えてその株を買うのである。
 
 あるいは、株式の投資家は予想できる要素と、予想できない要素を峻別し、予想できる要素による値上がりの可能性が、予想できない要素による値下がりの可能性を上回っている、つまり、その他の不確実性の要素を打ち消すほどの、値上がりの可能性が高い要素を見つけた場合に、当該株式を買うのである。
 
 そして、その予想が外れた場合はすぐにでも売って当該株式への投資から撤退すればよい。
 
 ところがデリバティブの場合はそうはいかない。高い手数料の結果、買って、すぐに売るだけでかなり大きな損失が生じる。よって、デリバティブは最後まで持ち続けることが前提となるが、30年先はもちろん、5年先でも、あるいは1年先、半年先でも、各種の変動要素、ドルや日経平均の動向を確実に予想することはできないから、買ったが最後、いったん打たれたパチンコ玉が釘に弾かれ弾かれ、最後にどの穴に落ちるかは運に任せるしかない。
 
 次の総選挙の結果は予想できても、次の次の総選挙の予想などしようがないのだから、日本が5年後にどのような政権ができ、どのような貿易政策を取り、円−ドル為替がどうなっているかなど、誰にも予想できないのだから、そんなものを買うのは間違っているのである。
 
 5年満期、30年満期のデリバティブは、売る方は徹底的に計算して、損をしないような仕組みを構築して売っている。ところが買う方は、そんなこととはつゆ知らず、まさに、各決済期や満期時にドルや日経平均株価がどうなれば、利金や返戻金がどうなるか、ということだけしか判らずに買わされるのである。
 
 株は、判らない点は判らない。それを前提に判ったところで値上がりを予想して買う、ところが、デリバティブは、判らないことが判らない、何が判らないかも判らない、相対取引であるにもかかわらず、相手方はそれらを計算しつくして売っているのである。

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