SF小説 新世界D.C.2017

【毎週連載】西暦2017年、人類は初めて地球外生命体からコンタクトをうけ、新しい世界がおとずれる・・・

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(166)ブルー人

オーは久しぶりに視力のある人間を確認した。しかも、二人も。
これまでに、確認されている視力のある人間の生き残りは、地球全体で僅かに22人、彼らを合わせて24人だった。

(もっとも、惑星ブルーの地球環境セーフ計画に影響を受けなかったアフリカや南米などの文明から孤立した民族が5000人程度存在し、もちろん彼らの視力は正常である。)

200年前の西暦2020年頃、地球人は、文明の進化に伴って、環境保護の技術や知恵も進化したにも関わらず、享楽的で刹那的な選択を続けた結果、地球の生物持続環境は危機を迎えていた。

惑星ブルーは、食糧や様々な物資を地球に依存していたために、地球人類の自己決定権に任せ地球の環境破壊を放置することは出来なかった。

我々は、2000年前に人類に文明を与え、200年前に奪ったのだ。

文明化された2000年間のうちに、当初1億人足らずだった人類は100億人まで増殖していたが、我々の介入により、激減し再び2000年前の人口に戻っていた。

我々は、決して人類を殺害はしていない。また、直接、文明を破壊したりもしていない。

しかし、人類の視力を奪うウイルス、クルーズ2ウイルスを拡散させた。クルーズ2ウイルスは、人の視細胞の内の青色錐体細胞に感染する。
青色錐体細胞でのみ増殖し、近接する赤色、緑色錐体細胞を破壊する。
錐体細胞を破壊されると、人は視力障害をきたし、また色を識別することが出来なくなる。

なぜ、ブルー人は感染しないのか。
なぜ、人類でも、トリュフと呼ばれる視力障害をきたしていない人が存在するのか。

ブルー人の青色錐体細胞は人類のそれと異なっているために、クルーズ2ウイルスは感染しないのである。

また、人類には第三色覚異常という青色錐体細胞の先天異常者が稀にいて、その異常青色錐体細胞にはクルーズ2ウイルスは感染しないのである。

これは、これまで発見されたトリュフの全員が第三色覚異常の遺伝子保有者だったことから明らかになった、新しい発見だった。

第三色覚異常の原因遺伝子は、遺伝子とはいえ、親子間で遺伝する割合も高くなく、人類の間でどの程度、存在しているのかは分かっていない。
症状は、理論上は青色を認識し難いとされるが、患者本人も他者も、正常色覚者との違いを自覚する事は生涯にわたりない程、認識し難い障害であり、特別な色覚検査をしない限りその異常を見つけることもできない。

そのため、人類が見つけた先天第三色覚異常者は僅かに3人の報告があるのみで、人類の医学会では第三色覚異常という病気自体の存在さえも懐疑的だった程だった。

惑星ブルーの環境大臣だが、医師でもあるオーは、トリュフを出来るだけ集めて研究することで、まだ謎の多い人類の第三色覚異常の病態の解明につなげたいと考えていた。

惑星ブルー人が、人類に劣る点がひとつだけある。それは、視覚的な芸術、創作の才能だった。
これまで相当な研究が行われてきたが、はっきりした理由は分からなかった。

惑星ブルーは2000年にわたり、人類の文明を大きく変える発見をした人間や芸術家の遺伝子ライブラリーを収集してきた。
その遺伝子ライブラリーで第三色覚異常遺伝子を検索した結果、彼らの遺伝子配列には、第三色覚異常遺伝子が高率に発見された。

オーはこの発見が、ブルー人と地球人の芸術性の違いを解明することに繋がらないかと考え、研究することに夢中になっていた。

オーは、これまでに見つけたトリュフを徹底的に検査した。また、地球上でトリュフを見つけるのは特大のダイヤモンドを探すよりも難しいために、研究材料を確保するために繁殖させる方法がないかも考えていた。

しかし、トリュフ同志の子で、トリュフが生まれた症例はまだ無かった。

人間のクローン製造は惑星ブルーの法律で厳しく禁止されていたが、オーの特権的地位で超法規的にトリュフのクローンも作ってみた。しかし、それも上手くいかず、生まれてきたのは正常色覚者だった。
これは非常に謎の多い興味深い現象だった。

オーにとって、今日は、2人もトリュフを手に入れることができた、素晴らしい日だった。

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