■恐怖・心霊編■

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※「鳥肌体験回顧録」より転載しました...

『第二回  死期-1(祖父の命日)』

 故 山田風太郎氏の著作に、『人間臨終図巻』という上下二巻の大冊子があります。
著名な人物 923名の生き様・死に様が、亡くなった年齢別に克明に記されているもので、
題名に『・・・・図巻』とありますが、何故か挿絵のひとつもありません。

 私は、誕生日を迎えひとつ歳を重ねる度にこの本を開け、
今の自分の年齢で亡くなった方々に思いを馳せることを慣わしとしておりまして
・・・・・・どんな勇者も傑物も、あまねく死が訪れることにあらためて驚愕し、
揺れる木の葉のような命のはかなさを想い、今まだ生きている自分の命の意味をかみしめ、
今まだ生かしてくれている何かしら得体の知れない存在への畏敬の念に浸るのであります。

 秦の始皇帝をはじめ、多くの逸材が不老不死の秘薬を求めてまいりましたが、
誰一人としてその願いは叶っておりません。
明治の大博物学者 南方熊楠( みながた くまぐす )は、
死と再生を繰り返す粘菌の研究に没頭したそうでありますが、
彼もまた、その一人であったのかもしれません。

人は、ひと度この世に命を授かった以上、必ず死が訪れます。
何時の日か必ず・・・・しかし、永遠の命を欲する気持ちとは相反し、
有限の命であるからこそ、その瞬間瞬間を輝かせることができるし、
また生きることの意味と価値が、幾重にも増幅されていることは事実ではないでしょうか。
ただし・・・・・死が、何時やって来るか分らない不確定なものであるが故に、
日常は死を意識せずに過ごせるからであって・・・・・

死の期日が、明確に提示されたならば、あなたならどうなさいますか・・・・・

 あれは年の瀬も押し迫った、深々( しんしん )と冷え込むある夜のことでした。
私は、何時ものようにベットに潜り込み、たしか・・・・・大藪春彦『傭兵たちの挽歌』の
血湧き肉踊るような躍動感のある文章に翻弄( ほんろう )されながらも、
読みふけるうち蛍光灯をつけたままでウトウトとしてしまっていたのです。

そして、ガタガタガタというドアのきしむ音で目が覚めたのは、
夜中の24時を少しまわったところでした。カーテンをめくって外の様子を見てみると、
ベランダのゼラニウムは、可憐な赤い花びらを開けたまま寒さを耐え凌ぎながらも、
凛と伸びたその茎は静かにたたずんでおり、風が吹いている様子はありません。
私はピーンと閃きました。あぁぁぁ、また誰か亡くなったのかも・・・・・・

それまでに、幾度かの経験がありました。風の全く無い夜中に、
私の居る部屋( 自分の部屋とリビング )のドアやふすまがガタガタと揺れだした
明くる朝には、必ず身内の訃報が舞い込んでくるのです。
それは、決まって私が一人で居る時に起こり、家族の誰もが聞くことはありませんでした。

 しかし、その当時 身内に病人らしき者はいなかったこともあって、
あまり深く考えることもなく、ドアのきしむ音を聞きながら泥のような眠りについたのでした。

 翌朝、階下の騒がしい物音で起こされたのは、まだ陽も昇らぬうちでした。
階段を下りてみると、祖母が、胸のあたりの痛みに耐えかねて七転八倒しており、
病院に電話したり救急車を呼んだりの大騒動。
そんな渦中のなかで、私は昨晩の出来事をすっかりと忘れ去っていたのです。

 祖母は、救急車で病院に運び込まれました。
しかし、その頃には随分と病状は回復しており、
検査の結果も特に問題となるところは見つからなかったのですが、
年齢のせいもあって身体が衰弱しているとのことで、しばらく入院させることにして、
母を病院に置き、私と妹は帰宅したのです。

 そして妹が、青ざめた顔をして私の部屋に駆け込んできたのは、
帰宅後しばらくしてのことでした。手には、なにやら位牌のような物を持っていました。

妹 「お兄ちゃん、これ見て !!!!!」
私 「それは誰の位牌なん?」
妹 「おじいちゃんのよ。命日が 12月20日と書いてある」
私 「 12月20日って・・・・・今日じゃない!!!!!」
妹 「それに亡くなったのは昭和 3○年よ・・・・・」

私 「 エッ、それじゃあ、今日が23回忌の命日じゃ・・・・・ 」

妹 「そうよ、しかもお仏壇にお供えしてあるお茶は、しばらく替えてないようだし、
その湯飲みの中には枯れ落ちたハナシバの葉っぱが入っていた。
これじゃおじいちゃんが怒るわ・・・・・」

 その当時、私の実家は商売をしておりまして、 12月といえば一年で一番の繁忙期。
言い訳にもなりませんが、その喧騒のなかで祖父の23回忌の法事を忘れていたのです。
しかも、その命日にお線香をあげることもなく、お茶まで枯れていた・・・・・

 そして私は、ふと 昨晩の出来事を思い出したのです。
もしかしてアレは、23回忌の法事を忘れていることを知らせる、
祖父からのメッセージだったのでは・・・・・・

                ―― つづく ――


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