東日本大震災の被災地、岩手県の沿岸部を縦断する新たな路線、三陸鉄道リアス線が23日、開通しました。震災から8年ぶりに鉄道が再開された宮古ー釜石間では記念列車が運行され、沿線は祝賀ムードに包まれました。
三陸鉄道リアス線は岩手県の北部と南部の2つの路線にJRから移管された路線をはさむ形でつないで沿岸部を縦断する新しい路線で、全長163キロは第三セクターの鉄道としては全国最長となります。
このうち宮古ー釜石間は、震災後、8年ぶりとなる鉄道の再開で、23日は4本の記念列車が運行され、沿線は祝賀ムードに包まれました。
記念列車に乗った釜石市の60代の女性は「車窓からの景色で少しずつ復興が進んでいると感じました。高齢化が進む中、鉄道は絶対に必要なので、たくさん利用していきたい」と話していました。
また、三陸鉄道の本社がある宮古市では記念式典が行われ、中村一郎社長が「人と人をつなぎ、地域と地域をつないで頑張りたい」と述べました。
さらにNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」に主演した女優の、のんさんが特別ゲストとして登場し「三陸鉄道には深い思い入れがあるので、とても感動しています。これからも復興が力強く進んでほしい」とあいさつしました。
三陸鉄道リアス線は地域住民に欠かせない交通手段としてだけでなく被災地の復興の後押しになると期待されている一方、沿線自治体の人口減少などから三陸鉄道は厳しい経営が続いていて、効果的な経営戦略を打ち出せるかが大きな課題となっています。
三陸鉄道リアス線は24日の始発から通常運行が行われます。
大槌駅「ひょっこりひょうたん島」合唱で歓迎
岩手県大槌町の大槌駅では、住民たちが地元にゆかりのある人形劇、「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングを歌って記念列車を出迎えました。
大槌町は近くの湾に「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる蓬莱島があり、震災の津波で全壊し再建された大槌駅の屋根も島の形がデザインされています。
23日は記念列車の到着を前に大槌駅で記念の式典が開かれ、主要キャラクターの「ドン・ガバチョ」の人形が披露されました。
そして正午すぎ、記念列車が駅に近づいてくると「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングの演奏が始まり、集まった人全員が一緒に歌って出迎えました。
震災の津波で自宅が全壊し大槌町の災害公営住宅で暮らす77歳の女性は「歴史的な瞬間に立ち会えてよかったです。これから列車で旅行に行けるのが楽しみです」と話していました。
また、大槌町の中学1年の女子生徒は「リアス線が開通してうれしい。高校生になったときに列車で通学するのが楽しみです」と話していました。
鵜住居駅では大漁旗で出迎え
23日に開通した三陸鉄道リアス線の停車駅の1つ、岩手県釜石市の鵜住居駅では、震災で被災した旅館のおかみが大漁旗を振って記念列車を出迎えました。
釜石市にある旅館のおかみ、岩崎昭子さんは、震災の津波で旅館が被害を受け、従業員4人を失いました。
鵜住居駅も震災後に再建された駅で、記念列車が正午前に到着すると、岩崎さんは大漁旗を大きく振って出迎えていました。
岩崎さんは「リアス線に乗って復興の様子と美しい海と山の風景を楽しんでもらいたい。たくさんの人に訪れてもらえるよう、住民も取り組んでいきたい」と話していました。
沿線住民が歌でエール
岩手県宮古市で開かれたリアス線の開通を祝う記念式典では、沿線に住む人たちおよそ60人が久慈市の詩人が作詩したオリジナル曲を合唱し、エールを贈りました。
この曲は、久慈市の詩人、宇部京子さんが作詞を手がけた「走れ!三陸鉄道」です。
歌詞は「じょっぱれけっぱれくじけるな僕らの町の三陸鉄道」など、頑張れという意味の方言も交えながら、風や雪といった厳しい自然の中を走るリアス線へのエールが込められています。
作詞した宇部さんは「リアス線が開通して感激しています。これから苦しいことや難しいこともあると思うがどこまでも頑張って、希望の星であってほしい」と話していました。
災害公営住宅の住民も出迎え
岩手県山田町の陸中山田駅では、沿線の災害公営住宅で暮らす人たちが、大漁旗を飾って記念列車を出迎えました。
災害公営住宅には、およそ20枚の大漁旗が並ぶように掲げられていて、記念列車が駅に近づいてくると、住民たちが外に出て手を振るなどして出迎えました。
そして、列車がすぐそばの線路を通過すると、乗客が車内から手を振ったり、運転士が汽笛を鳴らしたりして歓迎に応えていました。
震災の津波で夫を亡くした81歳の女性は「主人と2人で乗りたかった。それでも、とてもうれしいです」と話していました。
災害公営住宅の自治会長の小成孝也さん(56)は「これから通勤で使うので楽しみです。町が復興していく様子を車窓から眺めたい」と話していました。