迷宮譚(1975、日本、17分)
●撮影:福元文一
●音楽:田中未知
●製作:九條映子、田中未知
●監督:寺山修司
●出演:新高恵子、蘭妖子、佐々田季司、目黒茂、植田紀美江、大野進、田井中浪子、小竹信節、岸田理生、岩窪多摩緒、加藤義親、安井邦夫、原田玲子、川上正美
台詞もストーリーもなく、ただただ映像の羅列が流れる正真正銘の実験映画。
緑を基調にしたモノクロ映像で、ドアをかついだ男たちやドアに×印をつける女などが出てくるドアの映画。
ドアは廊下と部屋を、家の外と中とを隔絶する境界であると同時に、中と外をつなぐポイントでもある。
映画に現れるドアが象徴するのは場面と場面の転換だ。
しかしドア自身が場面と場面を移動していったら、そのドアの中に映る世界と周りの世界とのずれが生まれる。
映画を撮影しているカメラマンを撮影している映像を見ているような錯覚。
じゃあ閉ざされたドアが意味しているものって?
死んだ世界の墓標か、あるいは単なる不要品か。
いずれにせよ僕らの世界には見えないドアが溢れている。
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