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* 今回は北部Son La省人民委員会教育訓練課課長Cam Thi Kieu氏を“教育と時代マガンジン社”へお招きし、Son La地区内の教育開発への試みを伺ってみました。
記者:ソンラ省はベトナムの中で7つの貧しい省に数えられていますが、域内に暮らす少数民族への教育の取り組みはどのようになされていますか?
課長:ソンラ省は12の少数民族が混在しており、その多くが貧しく社会資本整備の立ち後れた僻地で暮らしています。彼らが所有するものと言えば小さな田畑のみで、情報はとても不足しています。それ故 これらの地域に様々な投資が求められており、無論 教育もそのひとつに含まれます。我々としてはそれらの人々への教育環境を整備し、各村に住む全ての少数民族の子供達が各村の学校へ通えるようにしたいと考えているのです。既にこの取り組みは数年前から始めておりますが、実情はゴールに未だほど遠いのが現状なのです。
記:ソンラ行政当局として極貧共同体地域に対する救済措置を講じているのでしょうか?
課:我々は既に86箇所の共同体の中から364箇所の極貧村落を選び出し、これらの地域でどんな投資活動が可能なのか調査しております。課ではひとつの村落に10世帯が暮らしていれば子供達へのクラスを用意することを決定し、既に3千人の子供達に専用のクラスを設け運営を開始しています。一クラス辺りの生徒数は少ないものの、多くの学校は最大50クラスを設け 各地区の子供達の受け容れに当たっております。
記:他に少数民族に対する優先的な施策はお持ちでしょうか?
課:多くの施策が彼ら少数民族の為に用意されています。例えば、授業料免除・教科書の無料配布 それに優秀な生徒には毎月16〜25万ドン(US10〜15.62$)奨学金を支給しています。省では毎年20bドン(US125,000$)を少数民族の育英費として充当しているのです。
記:では、極貧村落共同体で教鞭を執る教師への施策はどのようになっていますか?
課:先ず 極貧共同体で教鞭を執られる先生の皆さんの為に教師用宿舎の建設を済ませ、86箇所の共同体に完備しました。それぞれの宿舎に20〜30名の先生が滞在しており、室内設備も整えており、これらの費用は省の予算から捻出しました。
記:共産党中央のポリシーでは少数民族出身の子弟に教育を与え地元の役人へ登用する施策がありますが、一方で このあり方に批判的な見方も高まって来ています。この事に関し、個人的な見解をお聞かせ下さい。
課:急速に増えた職員は山間部の開発発展に即応出来る人材でなければなりません。従って、選考に拠り注意を払いつつも、必要最大限の人材確保をしてゆくことが大切なのです。しかし、やり方は効果的でなければならず、その様な人材は省が後押ししてでも就職前に大学課程を完了させる努力が必要です。我々の主眼点は学校のキャパシティーを拡大してゆくことでなく、それぞれ各クラス間のネットワーク作りにあります。そして更なる資金を投じ 省全体に教育の質の向上を広げてゆくことなのです。
記:それではこれまでの省の試みの中で克服してきた問題点について教えてください。
課:そうですね 生徒らに因る森林保護環境問題対策が挙げられます。我々は全ての生徒達が享受出来る為の教育の質の向上に重きを置いております。省は学校の建物や良く訓練された教職員を揃え、学校の画一化に力を注いでいます。少数民族が通う学校は将来 省の発展に欠かせない人材育成の場なのです。
(辛口寸評)
以前も少数民族の問題は幾度か採り上げて来た。世界の至るところでは民族問題で今日も尊い犠牲が出ており、ショウスウマイノリティーを抱える国々にとって、非常に繊細且つナイーブな問題だ。例を挙げれば、トルコ・イラン・イラクに跨るクルド人問題、ユーゴのセルビア人とクロアチア人との確執、イスラエルのユダヤ人とパレスチナ民の終わりなきテロの応酬、スペインのバスク問題、近隣のタイではイスラム系住民との闘争、中国ではウイグル族や強制的に占領下に置いたチベット問題等々 国家以前に民族的なナショナリズムが全面に出るために統制に苦慮している。
ベトナムは一見すると日本の様に単民族国家の様に見られるが、実は57にも及ぶ民族で構成される多民族国家なのである。勿論 ベト族(京族)が全体の9割強を占めているので、パッと見にはそうは感じないだろう。上述で世界の民族問題紛争地を挙げたが、これらの国々と比較すればここベトナムは纏まりが取れている方だ。共産党が少数民族に対し様々な優遇措置を講じるのには先ず ベトナム民主共和国の設立以前に遡らなければならない。当時 建国の父ホーチミン氏は、フランス軍に追われながらもベトミンを組織し抗仏戦線を指揮していた。その時に彼を匿い支援したのが山間僻地に暮らす少数民族の人々だったのだ。やがて、ホーチミンが共和国大統領に就任すると先ず真っ先に着手したのが、少数民族の保護であり、それが今に共産党への遺訓として引き継がれたのだ。
今回は少数民族の教育がテーマなので、記事の中に出てこなかった学生への優遇措置のひとつをいえば、大学受験時に少数民族出身の受験生は自然に合格ラインを一般の受験生よりも引き下げられる為 合格しやすい環境に置かれる。例えば、入学試験の合格ラインが平均70点だとする。ある少数民族出身者が結果平均50点しか取れていなくても20点が加算されるので、合格ラインに入ることになる。一方 ベト族の某受験生69点以下の平均値だった場合、落とされるという仕組みなども用意されている。尤もベトナムの全人口費に占める少数民族の人口はその名が既に語っているように少数派なので、受験する大学も地元に近いところに偏る為、この施策に因る弊害は起こっていない。
いずれにせよソンラ等の山間僻地開発は経済が発展しつつある今日、少数民族への仁義を切らなければ円滑な公共事業も進められない。その為には、少数民族をホーチミン大統領の遺訓だけでなく、実際問題として彼らの子息に教育を与え、役所の人材として活用することが最も摩擦を避け共に発展を享受できる支配体制の確立に繋がるのだ。
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できる限り広い層に教育を施したほうが良いんでしょうけど、問題はどんな教育をするかであるかのように思います。日本で言う商業高校や工業高校(専門高等学校?)のような制度があっていいと思うんですが。加えて必要なのが教育を受ける側が、受ける教育を選択するためのエンパワーメントも必要であるような気が・・・う〜ん...難しい...
2005/8/26(金) 午前 8:11 [ - ]
小・中学校が満足に揃っておらず、学校数自体足らない状況で専門学校などまで手が回らないのが実情です。この為に上述の様になるわけです。
2005/8/26(金) 午後 3:28
教育制度の整備、向上が差別化や至上主義、ひいては若い時期での落ちこぼれに繋がらないよう発展してほしいと思います。15,6歳で人生を決定付けられるSinの若い子達にも、もう一度Tryできるチャンスがあれば人材の裾野も広がる可能性が大なのに・・・
2005/8/27(土) 午後 5:13
のれそれさん シンガポールは全くイギリス式ですね。尤も、日本の様に猫も杓子も誰でもが大学教育を受ける必要は無いと思います。大学は本当に優秀な者だけが行くべきだとイギリス滞在時に認識を変えました。
2005/8/27(土) 午後 5:25
少数民族の動向
辛亥革命により清国が消滅すると、その旧領をめぐって西蔵(チベット)・外蒙古(モンゴル)・新疆(東トルキスタン)は、それぞれに自領域を主張した。
中国は清領全域を主張した。これに対して、西蔵・外蒙古・新疆は、自分たちは清朝の皇帝に服属していたのであって中国という国家に帰属するものではなく、服属先の清帝退位後は中国と対等の国家であると主張し独立を目指す動きが強まった。
2017/4/22(土) 午後 7:53 [ 日中国交正常化45年南京80年に学ぶ ]