がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ

新生児医療・NICUで頑張る早産・低体重、様々な疾患の赤ちゃんとご家族を応援します。

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土曜日は下記の講演会に参加してまいりました。
NICUに留守番してくれたスタッフへの報告のつもりで
下記を自分なりの参加報告をさせていただきます。

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今回は「小児の緩和ケア」がテーマでした。
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緩和とは<身体的のみならず、精神的にも、社会的にも
癒す、支える>という意味があるのだと思います。

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今回は子ども医療センターに常設された緩和ケア普及室の皆様が
中心に企画された講演会でした。

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第一部はこども医療センター院内のスタッフの講演でした。

周産期医療、血液再生医療、小児循環器医療、在宅医療、理学療法、
ファシリーティードックの活動、それぞれの患者さんとの出会いから
気づいてきたこと、想い、取り組みなどが話されて、共感する内容でした。
持ち場は違えど、共通の想いや願いを感じました。

異口同音に感じたのは、
「緩和ケアはギアチェンジではない。<治療>と<緩和ケア>は常に
平行して行うことである。」
「子どもの有終を過ごす場所は病院でよいのか?と思うことがある」
「時間が限られているかもしれないという医療者の予測を伝えきれなかった
ことでご家族に後悔させてしまったことはないか。時間の予測をしっかり
伝えたからこそ、覚悟をもって有終の時間を大切に出来た患者さんやご家族も
いるのではないか」という想いや経験でした。

これは新生児医療においても多くのスタッフが
感じていることかなと共感しました。

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そして、
「小児医療を受けるこどもと家族が緩和ケアとして必要なサポートを
受けられるように多職種の恊働、連携、支援が欠かせない」
という部分も皆の願いなのかなと思いました。

緩和ケアは病院だけで完結するものでなく、地域の中で
多くの人たちと一緒に考えていけたらという言葉にも大変共感しました。

院内での現状や
各現場での想いや取り組みを確認した第一部だったと思いました。


休憩を挟んで第二部は
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院外からの招待講演として
大阪発達総合療育センター小児科の船戸正久先生に
「臨床倫理の考え方-Shared decision-making(恊働意思決定)と
 Adavanced care planning(事前ケアプラン)」
 というテーマで特別講演をしていただきました。

船戸先生は淀川キリスト病院などで長年、新生児科医として
赤ちゃん達の生命について考え続けていらっしゃった自分にとって
尊敬する先輩新生児科医であり、多分に影響を受けた先生です。
院内の仲間と講演を一緒に聞けることは嬉しい時間でした。

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世界一の小児病院とも思う小児病院NICUでも近年は
研修医に必ず<看取りのケア>に関する教育をしている。
人を助けたいという気持ちで医師になった若手医師にとっては
こういうことは<挑戦的な>取り組みかもしれない。

でも、救命などの技術偏重の日本の医療は赤ちゃんであれ、
成人であれ、<医療者が患者さんを看取ることができない>
という部分に、トロント小児病院と同様に<臨床倫理学>
<緩和ケア>などを医学部や看護学部、研修医などの教育に
加えていく必要性を語ってくださった船戸先生です。

船戸先生の講演は是非、直に聞いていただければと思いますが、
優しく穏やかで、<やらなさ過ぎの医療も非倫理的だが、
やり過ぎの医療も暴力につながるのではないか」と問いかけて
くださる気がします。

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4月の小児科学会の講演も拝聴しましたが、そのときの5つの提言を最初にお話しくださいました。
上記のスライドのように
死をタブー化しない、看取りのベストプラクティスのために多面的な学問を学ぶ、
臨床倫理学、緩和ケア(全人医療)の大切さ、針を刺すなどの診療行為は原則傷害行為という
意識をもつ、ご家族と医療者の相互尊重、情報共有、恊働のためには
Patient & Family-centered Careの導入と普及が大切、その上で
こどもにとって、その置かれた状況の中でよりよいと思える治療やケアをするために
ご家族も医療者も話し合って一緒に恊働医師決定(Shared Decision-making)を
していきましょう。。。という提言をお話しくださり、それぞれについての
解説の講演だったと思います。

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新生児医療における<有終の医療><緩和ケア>についてのこれまでの歴史や経緯、
当時の問題点やそれに対する想いをわかりやすくお伝えくださり、現状をみんなで
確認させていただきました。

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新生児医療の臨床倫理の歴史の中で、船戸先生とともに取材協力させていただいた
の紹介もしていただきました。自分たちも臨床倫理学の歴史の中で
悩んだり、未来に向けて問いかけてきたのだということを感じました。

上記の本の問題提議への返事のつもりで
がんばれ!!小さき生命たちよ―村田修一選手と閏哉くんとの41ヵ月http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ktoyoshi08-22&l=as2&o=9&a=4904345134
の中に私も手記を書かせていただきましたし、

2013年は、
以下の<NICUにおける有終の医療>について
書かれた新生児緩和ケアの本も取材協力をしました。


船戸先生との出会いやご支援がなければ、
こういうことを考えなかったかもしれないし、
タブー視せずに出版に協力しようという意欲も持てなければ、
実現に向けて行動も出来なかったとは思います。
この本が当院の現状だとすれば、この本の先、未来に向けて
<有終の医療>や<新生児緩和ケア>について自分たちが
出来ることはないかを考えるきっかけの1つになればと
想い、船戸先生の今回の講演に心を寄せさせていただきました。

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「現在の延命を第一に考える医療」「ブレーキのない新幹線」になりかねない危険も
はらんでいる。救命のための高度医療器械や高度医療技術がむしろ子ども達に
つらい想いをさせないための<ブレーキ>の役目が<死生観>
<生命倫理>などではないかという言葉に共感しました。

根拠のあるどこででも出来る医療<標準的な医療>と
根拠が不確かな<(やるべきかやらないべきかの)選択の余地のある医療>と
わけて考えることの必要性などもお話しくださいました。

これらはこれまでも船戸先生のお考えを受け継ぎ、
神奈川こどもNICUでも実践してきたこととは思うのですが、
今回は2013年のPediatricsに取り上げられている
Advanced Care Plan(事前ケアプラン)の
お話がありました。

船戸先生には神奈川こどもNICUで
是非、取り組んでほしいと春に伝えていただいた
Advanced Care Plan(事前ケアプラン)です。

Advanced Care Plan(事前ケアプラン)とは
ご家族も医療者も赤ちゃんに取っての集中治療の継続が
非倫理的と恊働意思決定した上で、
「限りあるかもしれない時間をどうケアしていくか、
時間を過ごすかを、恊働でよりよき有終の緩和ケアを
していくために患者家族と医療者で話し合ってケア
プランを作成していく」、それにそって、それぞれの
立場で赤ちゃんにケアとして出来ることをしてという
ことだと思いました。

講演では実際に
Advanced Care Plan(事前ケアプラン)を用いられた
小児医療の患者さん達の具体的なケアプランをご呈示いただきました。

そこにはリラクゼーションのためのリハビリテーション、音楽、入浴、
散歩などの時間を大切にする。面会制限をなくす。季節行事への
参加を大切にする、病室のこどもの嬉しい形への装飾の変更、
急変時に強い蘇生治療は控えること、苦痛緩和の治療は継続すること、
有終の刻は個室でご家族が付き添える状況にすること、
昇天後はご希望があれば医療者とご家族で一緒にお体をきれいに拭いてあげること、
個室でご家族と医療者でお別れの時間をもち、
通常のご退院と同様の玄関からお見送りすること、
など<できないこと><禁止事項>をならべるのではなく、
<ご家族や医療者がしてあげたいこと>を一緒に考えて
作成したプランが提示されていました。

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船戸先生は他県での講演でも当院屋上にある<霊安室>や<祈りの部屋>を
紹介してくださり、
「死はつらい悲しい出来事であることに間違いはないが、死をタブー化して
悪い出来事にしてはならないのではないか」と伝えてくれます。

このブログでも有終の医療の末、玄関からNICUご卒業された
様子をこれまでも伝えてきました。

世界にたったひとつの写真集
タブー化することはNICUを卒業された
ご家族にも、そのNICUに残るご家族にも失礼かなと思えてでした。
船戸先生の言葉をNICUで有終の医療を見届けさせていただいた
患者家族の皆様にも伝えたい気がして書き残させていただきました。

NICUに遺していってくださったそれぞれの想いや願いを
未来にNICUにくる赤ちゃんやご家族に伝えていけたらと思ってもいました。

船戸先生の講演の中で提示されたアドバンスドケアプランの内容
1つ1つは上記のご家族との思い出の中にあることだと思いました。
その場、その場で患者ご家族と医療スタッフで
話しながらして決めていったと思います。

前もって有終を迎えたらどうするか?
などまでは明確には話し合えずにいたかもしれません。

しかし、上記のご家族達が後日伝えてくださった想いは
患者家族の皆様だって
医療者に「全力を尽くしてください」と伝えつつ、有終を迎えた
場合のことも、口に出さずとも、少しずつでも考えている部分がある。

医療者も<有終が近づいている>と思いつつも
ご家族のことを想い伝えきれずにいる部分もあるかもしれない。
お互いに伝えきれていないことがあるのかなと思いました。

Advanced Care Plan(事前ケアプラン)をその作成の仕方などに
試行錯誤は必要だとは思いますが、
これまでは言葉にできずにいた部分を
患者家族と医療者で話し合って一緒にシェアして
時間を大切にできることをしていく
新生児緩和ケアとして、簡単なことではないかもしれませんが
それでも目指していけたらと思いました。

最後のスライドには
本からの引用で
「だれもがみとりびと。看取りは命のバトンリレー。
それは亡くなる人が代々受け継ぎ、自分の人生でたくわえてきた、
あふれんばかrの生命力と愛情を受け取ること、そして、いつか
自分が旅立ちを迎えたときに愛する人に手渡していくこと。
大切な人たちに囲まれた温かい看取りによって、いのちのバトンは
ずっと受けつかがれています。」という言葉でした。

自分の中では、何度講演に参加させていただいても
感動を感じつつ、毎回、新たな気づきを自分の中で感じる
船戸先生のご講演です。本や講演は聴く人の
知識や経験などでもその意味が変わってくる気がします。

講演の司会/座長をしていた
神経内科の井合先生の今年3回目の船戸先生の講演拝聴と
お話しくださっていましたが、小児医療に関わる多くの
医療者に聞いてもらえたらと思える、文字では伝えきれない、
船戸先生のご講演でした。

船戸先生にお礼のご挨拶させていただいたところ、下記の
総説論文を謹呈してくださいました。いつも、こういうご配慮をして
くださる船戸先生とのご縁をありがたく感じつつ、新生児医療の現場で
自分の世代が出来ることを受け継ぎ、考えていけたらと思いました。

一緒に講演会に参加していたNICUの看護師さん達と帰路につきましたが、
講演に感動したことやファミリーセンタードケアとともに
アドバンスドケアプランを導入できるNICUにしていけたらと
同じ想いを感じていた意見を聞けて心強い時間でした。

船戸先生からいただいた2つの論文を拝見させていただきましたが、
今回も講演の基になった小児科学会誌に掲載された
「新生児の緩和ケア」
「新生児医療の進歩と生命倫理ー医療的侵襲行為の差し控え•中止の基本的考え方」
という2つのご論文です。今回のブログに興味を感じた方は
是非お読みいただければと感じています。

今回の講演やこの2つの論文を参加していなかった
NICUスタッフの皆様に報告しつつ、自分たちの施設での
有終の医療やアドバンスドケアプランの導入などについ手を
勉強会やワークショップを開いていけたらと思った土曜日でした。

学術集談会自体が参加して良かったと思える
 今にしかない、かけがえのない機会に感じました。

休日に関わらず、この素晴らしい講演会を企画、運営、してくださった
緩和ケア普及室の皆様、地域連携室の皆様、総務課の皆様方、
いつもありがとうございます。


ご参加の皆様、お読みくださった皆様、
ご意見ご感想などいかがでしょうか?
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船戸先生の講座とても興味深く読ませていただきました。私の大学でも入学時より緩和ケアについての講義が組まれており、その中で衝撃を受けたのが「私の死亡率は100%」という言葉でした。言われてみたら当たり前なのですが、自分がいかに死と向き合えていなかったか痛感しました。
まだまだ緩和ケアの科がある病院も少ないですが、これからもっと医療従事者、そして世の中に浸透していったらなと思います。 削除

2013/12/18(水) 午後 8:30 [ ゆき ] 返信する

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医学生のゆきさん、船戸先生は医学部でも臨床死生学の話しをしていて、その必要性を講演してくださっていました。私は神奈川の小中高校で<いのちの授業>でこういう話しをしています。<障害とは誰かの支えを必要とすること。人間は誰でもいつかは障害者になるんです>と話しています。医療技術が進化すればするほどこういう話しもしていかないと人は生きづらくなるかなと思えることがあります。機会があったらゆきさんの周囲を人に声をかけて子ども医療センターで臨床死生学の授業をしてもいいですよ。ご相談ください。

2013/12/20(金) 午後 3:54 [ NICUサポートプロジェクト ] 返信する

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