|
火曜日の夜は の定例会にお招きいただき,特別講演をさせていただきました。
「療育(治療的教育)」とは病院で治療を受けてきた子ども達の
発達を支援する,障害とともに生活するこどもとご家族の自立を
支援する医療や福祉と言えると思っています。 この東京の療育を考えるネットワーク代表であり,
神奈川こどものOBでも深津修先生
に,胎児・新生児の緩和ケアについての話しを東京でして欲しいという
ご依頼を受けての機会でした。
自分は普段はNICU循環管理を中心とした救命医療の講演をさせて
いただくことが多いのですが,このような緩和ケアについての院外での
講演は初めてであり,お受けするか躊躇したのですが,尊敬する先輩の1人の
深津先生からのご依頼であったり,当院で天に還られたお子さん達や一緒に
見守らせていただいたご家族の日々を伝えるつもりで悩みながらもお受けした
講演でした。
週末から緊急呼び出しの当直を挟みつつ,夜な夜な準備した
講演でしたが,状況や背景も違う東京で,療育や重心医療をしている
先生方の前でこういう話しをすることに,正直,不安でアウェイ感を
感じつつも,NICU医療を伝えるつもりで自分なりに準備をして
この講演会場にいってきました。<始めて話す内容の講演>であり,
血圧が上がっているのを感じる準備と当日でした。
会場でPCでは再生できないテレビ録画DVDの上映が出来る
OA機器があるとはお聞きしていたのですが,万が一かけられないようだと
講演の構想が変わるかなと不安になり,前日の夜に横浜駅のヨドバシカメラ
までいってポータブルDVD再生機を購入したりもしていました。
19時からスタートの会でした。東京の療育や在宅医療,
重症心身障害児医療などに関わる病院・施設・クリニックの先生方が
お集まりでした。
の進捗状況やそれに関する非常に熱気のある意見交換でした。
「NICU管理をされた障害児の在宅移行のための地域連携パスの策定」
「重症心身障害児(者)における看取りの医療」
についての2つについてたくさんの意見交換がありました。
東京の<NICU卒業生>のその後を支える医療者の皆様の思いや願いや
悩んでいることなどを共有させていただいた気がします。
こういうお話しを共有することがNICUの医療やケアの向上につながる,
<NICU卒業はご家族に取ってのゴールでなく,スタートである>という
部分を肝に銘じてのNICU医療を考える上で大切と感じた自分でした。
この意見交換の間に会場のスライドプロジェクターが故障し,
スライドやDVD再生が不可能な状況に陥りました。自分は紙資料を
持参していないのでこれでは講演できないとも思えたのですが,せっかく
2時間かけてきたし,上記のプロジェクトに神奈川での情報交換する
意義も感じたので,事務方の皆様の力を借りて,あきらめず,
簡易のスライド上映やDVD上映の方法を探そうと提案した自分でした。
他の場所からポータブルのスライドプロジェクトーをもってきてもらい,
さらに,前日の自分を褒めたくなったポータブルのDVD再生機を取り出して
いたところに,救世主のようにメカにも強い山口直人先生が登場して
くださいました。
現在は東京で療育を研修中の山口先生,昼間は神奈川こどもで
母乳育児支援の外来を非常勤でお願いしていた火曜日ですが,神奈川の
外来を終えて,この会場にも自発的にきてくださったことが,奇跡のように
嬉しく感じた自分でした。
自分の講演の内容にあわせてスライドの交換やDVD再生などを
あうんの呼吸でやってくださった山口先生の登場はいつもと違う
場所や内容での講演での緊張を癒してくださり心強く感じました。
20時半近くから自分の講演をスタートしました。
「新生児集中治療室(NICU)における療育支援と新生児緩和ケア」
というテーマでの講演です。
自分は講演に先立ってご挨拶したことは
「前半のNICU卒業生の在宅医療や療育支援の熱い意見交換を聞き,
この話しはNICU医療の話しなんだと思えました。感謝というより
自分も一緒に考えていきたいと思いました。NICU卒業してから
こういうことを皆様にお願いするだけでなく,NICUの中から
卒業語の療育や在宅医療の地域医療への橋渡しをもっと新生児医療は
考えるべきだと改めて感じました。」と話しました。
そして,
「神奈川こどもでは年間400名以上の赤ちゃん達が
日々NICUに入院してきます。
その日々の診療で忙しく働いています。
400名の赤ちゃんで救急で小児科病棟に
入院するのは3%です。
自分達から見ると97%の患者さん達は小児科病棟に
再入院しないような状況に守れている。
3%というお子さん達については
小児科病棟での診療をお願いできたらと思うこともあります。
一方,
小児科病棟の入院患者さんをみると30%は
当院に限らずですがNICU卒業生
とのことです。
小児科病棟から見ると<また,NICU卒業生>
と思えるかも
しれません。
この3%と30%の意識のずれが
NICU医療者のNICU卒業後への
医療の連携への意識の低さや小児科病棟との
問題式のズレや連携の齟齬になっていないかと
思います。自分の最近の目標は3%と30%という
意識のズレを埋めていきたい
ということです。それがひいてはNICU卒業生
や御家族がNICU卒業後に惑わないために大切な
ことだと思えてきてきます。ですから,
こういう会でお話しを聞かせて貰ったことは
ありがたい機会でした。」と話しました。
そして,
「本日は新生児科医の言い訳かもしれませんが,療育や重心医療で
NICU卒業生のお子さん達や御家族を支えてくださっている皆様に,
その子達のNICUでの様子や御家族や医療者が悩みながら歩んできた
様子を伝えていけたらと思います。その上で今後とも皆様の目の前に
くるお子さんや御家族への医療やケアを考えていく上での何らかの
参考になれば本望です」
とお話して講演に入りました。
まず,最初に
山口先生のサポートを受けながら,
のダイジェスト版が放送された
http://www.bs-asahi.co.jp/genba/images/prg338_02.jpg
のことはちゃんとゆずねちゃんご家族の
NICUでの成長の歴史やご家族の想いを
動画を5分間放送しました。
ママさんとパパさんの笑顔や言葉がNICUで頑張ってきた
お子さんやご家族の想いを療育や重心医療で支えてくださっている
皆様にもお伝えできたらと思って上映させていただきました。
その後、神奈川こどもの紹介をさせていただきました。
急性期病院であるとともに福祉・教育の機能もある分,
自分達のNICUのみならず,多くのNICUの卒業生のその後を
長きにわたってみている部分もあると思います。
NICUは人口が多く,病院が少なめという神奈川県なため
他県に比べると重症のお子さん達の診療をたくさんしている特徴が
あると思います。在胎23週の早産児や左心低形成症候群などの
重症のお子さん達でも救命率が9割を越えてきたことを伝えて
きました。
一方,在宅医療で見守る患者さんも多く,在宅人工呼吸管理が50名,
気管切開が80名,在宅酸素が250名,自己導尿が170名,
胃瘻が300名弱と多くの患者さんの在宅医療も担当しています。
で特別講演させてもらったような内容の一部を
お話しさせていただきました。
<救命医療と緩和ケア>はギアチェンジではない,
常に両方を考えながら,御家族と話し合いながら
子ども達を見守って行きたいという当院の御家族との
病状説明やスタッフで心がけていることなどを
お話しさせていただきました。
後半は
を上映させていただきました。
こはるちゃんとご家族の過ごした時間を追体験していただければと
思いました。
多くの方が夜遅く,そして,病院からの最終バスが出る時刻を越えそう
なのに放送に心を寄せてくださっていました。
上映の上で,この病気や御家族だけが特別なこと,特別な人達ではなく
神奈川こどもではこういう命を巡る話し合いや緩和ケアを普段から
チームで目指していてそういう部分を補完するつもりでお話ししますと
スライドでこのブログに登場してくださってきたNICUでお子さんの
有終を一緒に見届けさせていただいた御家族との時間や言葉を
ご紹介させて頂きました。
NICUにおける有終の医療を施行した
早産児,様々な先天性疾患児についての
当院の診療についてご報告させていただきました。
に掲載しているような写真やご家族の言葉を振り返らしてもらいました。
早産や病気があっても御家族や医療者で
限りあるかもしれない時間をどう過ごすかを
考えていること。
集中治療とともに緩和的ケアも大切にしたい・・・
という自分達の想いを心に残る赤ちゃん達や御家族と一緒に
伝えてこれたらと思いました。
NICUの集中治療の中では見られないように感じる
赤ちゃん達の素敵な表情,それはNICUの中とは違う
素敵な表情のご家族の中にいるからこそ浮かべる表情
なのかなと思うことなどを伝えてきました。
お子さんと御家族がNICUの中で頑張って日々を
タブーのようにしたくない。これもNICUの卒業と
思って有終を讃えたいと思っている自分達の気持ちを
伝えてきました。
自分の胸の中で生き続けていると思える子ども達のご供養のつもりで
それぞれのお子さんの人生を多くの方に伝えさせていただきました。
その上で,
の文章の一部をご紹介しました。
そして,現在,緩和的に1日1日を大切に御家族で
院内外でお過ごしになっている当院の重症児のお子さんと
ご家族の笑顔などを紹介して,
「<緩和ケア>は<看取りの医療>ではない。
家族の中で生きる時間をあきらていない医療,
死ぬときを考える前に,限りあるかもしれない
時間だとしてもその時間を大切に過ごすことを
支える医療なんだと思いながら,自分達が出会う
御家族と向きあっています。」
とお話して講演を終了しました。
ご批判などを受けることもあると考えての講演でしたが,
そうでなくて,講演終了後に多くの方から感想を頂き
講演した意味を感じました。
「東京の小児医療センターのスタッフの方から,
病院として大変高度なチーム医療を実現できていると
感じ,驚いた。どういうスタッフ教育をしたらこういう
ことがチーム医療として総意形成したり実行できるのでしょうか」
という感想とご質問を受け,神奈川の仲間に伝えたい言葉でした。
「自分は,誰かが教えるということではなく,患者さんや
ご家族とよく話し合いつつ,こどもと家族にとっての時間を
大切にするには自分達は何ができるかということを,どんなに
忙しくてもスタッフ感で話し合う文化を大切にすることが
相互<教育>になっているような気がします。」
ということをお伝えしてきました。
また,
「NICU医療はNICUを退院できる,できないという
目標の置き方でなく,その後の医療などに関心を持
つ必要がある。療育や重心医療,施設やクリニックの
方々との情報や意見交換,連携などの意識をよりもって
いくことが院内外で御家族が困惑しないようにするために
は大切と思えている。自分達もまだまだだが,そういう
ことをこれからも考え続けていきたいと思っています。」
とお伝えしてきた講演会でした。
懇親会もあったのですが,懇親会に出ると翌朝
仕事に間に合うように帰れないので,再度の交流を
お約束しつつ都立小児を後にしました。 山口先生に最寄り駅まで送っていただき,大変助かりましたが
なんと茅ヶ崎駅周辺での人身事故で電車が大幅に遅延。
遅れた電車に困惑する人達で満員の電車を乗り継ぎながら
終電で弘明寺に戻りました。3日間の徹夜気味と講演任務終了の
安堵で心地良い疲労感を感じながら終えた火曜日でした。
|
全体表示
[ リスト ]


