がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ

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神奈川県立こども医療センターNICUの柴崎です。
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 先日、神奈川県の重症心身障害児施設の現状についてこのブログで報告させていただきました。( http://blogs.yahoo.co.jp/nicu_sp25/9528706.html)

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<在宅で生活しているけれども医療的ケアが必要なこどもたちが入所できる施設が圧倒的に不足している>という現状を書きました。
 
それはまぎれもない事実で、もっと入所施設が必要、在宅で過ごしている子どもたちへの支援ももっと必要、それは間違いないと思います。
 
重症なお子さんをご両親が在宅でみているが、ご両親がもうすぐ60歳を超えるという家庭が神奈川県だけで100以上あるそうです。
そして神奈川の重心施設のベッドは全部で480床程度しかなく、そこもすでに満床です。これはやはり大変な事態と思います。
 
でも、この現状を自分自身で書いたのにもかかわらず、それだけでは自分が日々感じていることと「何かが違う」「これでは何かが抜けている」という違和感が実はありました。
 
そんな時に、ある文章に出会いました。



 


「救児の人々」は豊島や僕もインタビューに答えるという形で協力させていただいた本です。障がいのある子どもたちを育てているお母さんへのインタビューが内容の中心になっており、「後遺症ある子どもを支えるには、あまりにも貧困な医療や福祉の現状」を訴えている本と言っていいと思います。
 
以下、その本へのレビューの引用です・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私は、この本に出てくるような障害児の母です。この本に出てくる母親たちの言葉は、本物だと思います。
 
だけど、 この本は、子供を産んだことのない人のフィルターを通して描かれています。
 ものすごく、違和感を覚えます。うまく言葉で表現できませんが、大切な何かが抜けています。
 客観的に、冷静に、現状を伝えられているのだとは思いますが、 このような視点だけで、これからの新生児医療を議論して欲しくないと、 強く、強く願います。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 このレビューを読みながら、抜けている「大切な何か」について自然に思いが移りました。そして、僕が思い出したのは、自分が関わった二つの家族のことでした。
 
脳に生まれつきのご病気があるお子さんをNICUで僕が担当したご家族です。吸引、酸素、注入といった医療ケア、お一人は気管切開も必要なお子さんで、かなり濃密なケアをご家庭でされていました。


正直、傍から見ていると、ご家族の負担は相当なものと思われました。
調子の悪いときは、しょっちゅう吸引しないと呼吸が苦しくなるし、注入でミルクをあげるのにも、時間がかかります。眠る時間も十分にとれないこともしばしばだったと思います。ご家族が疲れているように見えても、お預かりできるベッドを紹介できず、心苦しい思いでした。そんな中でも手がかかるケアを丁寧にされていました。


ご家族はお子さんとの日々を大切に過ごされているなあと思っていたのでしたが、突然に別れは訪れました。
ご自宅で急に具合が悪くなって救急車で病院に到着したときには、もう心臓が止まっていて<命を助ける>ことは出来ませんでした。
 
お子さんが亡くなった後、ご家族といろいろお話した時に、どちらの家族からの聞かれた言葉は、
「子どもといっしょに過ごせて本当に良かった。介護と思ったことは一度もない。たいへんじゃなかったわけじゃないけど、家で子どもと過ごした時間は本当に楽しかった。普通の子育てと一緒なんです。いろんな表情を見せてくれて。いなくなってしまうと本当に寂しい、悲しい」
という言葉でした。
 
「救児の人々」という本に書かれている、「後遺症ある子どもを支えるには、あまりにも貧困な医療や福祉の現状」は事実ですが、「重症で医療が必要な子どもも、子どもを育てる喜びは、どこにでもある普通の育児と本質的には変わらないのだ」というのも日々の外来で感じる飾らない事実です。
 
うまく言うことが難しいのですが、そのようなことが、レビューをアマゾンに寄せていらっしゃったかたが伝えたかった「抜けている大切な何か」の一つなのかもしれません。


(神奈川県立こども医療センターNICU 柴崎 淳)

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閉じる コメント(7)

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子供を育てる というのは 命を育てるという事だと思っています
そして 子供を育てることで 私も育ててもらえているのです

私は、神奈川こども病院に自分が通院したことがありますが、
子供は違う病院で出産し、通院しています。
NICU,小児外科病棟、同じ時を過ごす子供たちの中に
一度も親御さんが面会時間にいらっしゃらないお子さんが居ました。
すべての親が受け止められる人ばかりではないのだと思います。
私も、自分を責めたり、悲劇のヒロインになってみたり
たくさんの感情を持ってきたことは否めません。
ただ 生きてほしい それだけです。
そして それだけしか 子供に伝えられないと思っています。
この、コメント欄では伝えきれないたくさんの事がありますが
命を育てていくために 先生方が教えてくれるたくさんの事も
私の生きていく方向性の大切な標識です

2011/6/12(日) 午後 0:11 [ そうらのん ]

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私は、「育てる者の視線」を思いました。育てる者として、暖かく見守り、励まし、支える、時にはひとりで考えさせる。でも、必ず見守っている。その視点、視線を自然と持つ人もいれば、親となって初めて考え始める人もいる。上から目線で、「育てる」、というのではなくて、例えば植物を種から育てるみたいに自然に、その相手がどうなったらもっと素敵か、そのためには自分はなにができるか、というような。自然な気持ちで水をやり、成長を楽しみに見守り、時には声をかけ、そして共に成長を喜ぶ。そうするなかできっと自分も育っているのでは。そんな視線を持てる人がオトナなのかな〜、と最近思うのです。

2011/6/12(日) 午後 7:48 [ ひまわり ]

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柴崎先生、ご無沙汰しております。
私は頂いたレビューを拝読した時、仰る「大切な何か」が私なりにですが、分かるように感じました。
ただ、それは私が拙著の中では敢えてクローズアップしなかったところではないかと思ったのです。
その部分は、他のメディアで語られていると、私は思いました。
拙著では語られてこなかった部分にスポットを当てるために、その部分は弱くなっていると思います。
全てを偏りなく伝えるというのはできないと思いますし、私は他の人が伝えない部分を伝えなければいけない、誰かが言っていることなら改めて書く必要はないと思っておりました。
拙著は新生児医療についての一側面であり、すべてとは思っておりません。
拙著だけで新生児医療が語られる、などということもあるはずがないと思っております。

柴崎先生がご指摘の部分については、出てくださっているお母様たちのお言葉から感じられるかな、と思ったのですが、それは私が書いている側なので、分かってしまっていてそう思うのかもしれないですね。
他の部分に圧されてしまって、弱くなっているのかなと感じました。

2011/6/13(月) 午前 1:17 [ 熊田梨恵 ]

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2011/6/13(月) 午前 6:52 ペイラックのジョフレ

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そうらのんさん、ひまわりさん、熊田さん、ベイラックのジョフレさん、コメントありがとうございます。
包容力のあるオトナの視線で、子どもたちを見守ってあげたいと思っていますが、医療者としても、親としても、ほんとうにまだまだです。
でも、子どもたちに、日々教えられることはいっぱいあり、新しい気付きや新しい発見を楽しみに生きていることを再認識します。
「救児の人々」を読んで、患者さんのご家族、医療者、いろんな人たちの生の声を聞くことが出来るところがこの本のよいところと、思いました。
そして、いろんな声を聞くことこそが今、大事なんだと思います。

2011/6/14(火) 午前 2:17 [ 柴崎 ]

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娘を産んだ時、血液型が合うようなら、血液くらいは使ってもらえないかとお聞きしたけれど
おぎゃーと生まれたら、お子さんはお母さんとは別の道を歩き出している
親としてできることは、環境を整えてあげることですよと、小児循環器外科の先生に言われました。
今も、その一言に救われています。聞いたときは、なんだかあまりに簡潔なので
正直突き放されたような気がしたのですが、入院検査手術などを何度か繰り返すたび
あぁ、本当だなぁって思っています。

小児科の先生には、一番近くで日々観察してくれているお母さんは、家庭医みたいなものです。と
そう言われ、日々、気になった事はメモし、外来のたびにお聞きしています。
先生に、無知な私の話を聞いてもらうことは、ある意味恥ずかしく、そんな話を聞いてもらうのは申し訳ないと思い
なかなか言い出せなかったりしたのですが、こんな感じ?と中途半端に理解するより
わからないので教えてくださいの方が、潔いかと思い直してご迷惑かと思いながら
教えてもらってきた14年です。

いろんな声を聞こうとしてくれる先生がいてくれるだけで、心強く感じます。

2011/6/15(水) 午前 8:13 [ そうらのん ]

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そうらのんさん
コメントありがとうございます!
輸血について、コメントに書かれていたようなご質問は実は非常によく聞かれる質問です。
こんなに上手に答えることができたら素敵ですね。
さっそく真似しようかなと思ってしまいますが、自分の言葉でないと上滑りですかね・・。
14年の経験。
いろいろ教えてください。
よろしくお願いいたします。

2011/6/16(木) 午後 10:23 [ 柴崎 ]

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