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「森の郵便局」 アリスは、この森が大好きだった。 心地良い香りの草花や、心が洗われる木々。合唱隊さながらの小鳥のさえずりや、魚たちのワルツ。 今日もおかあさんの眼を盗んでは、いつもの森に遊びに来ていた。 「あれぇ?出口こっちじゃなかったっけ?」 アリスは、四葉のクローバー探しや木の実拾いなどの遊びに、つい夢中になって森の奥に入り込んでしまったらしい。道に迷った時の常、出口を探せば探すほどに迷ってしまったのだ。 「困ったなぁ、あんまり遅くなっちゃうと、おかあさんに叱られちゃう」 「あ、建物が見える!やった、あそこで道を聞いちゃおっと」 建物は、どうやら郵便局らしかった。 表にはポストらしきものもあって、〒のマークが見えた。でも、でも… あやうく、アリスは大声を出しそうになった。 「なんで、なんでウサギやキツネが局員さんなの!?」 郵便局に見えた建物は、確かに郵便局だった。けれども、小包の配達の準備に忙しそうにしていたのは、ウサギだし、窓口で切手を売ってるのはキツネだし、何よりお客さんがリスやシカ…みんな、森の動物たち! 窓口係のキツネや、足型のスタンプを押すタヌキ。荷物を大事そうに抱えて、順番を待ってるクマ。アリスは、もう心臓が飛び出しそうになるくらい驚いた。 「リスさん、切手代が足らないよ。お手紙は、桜の花びら5枚だよ」 「クマさん、何回言ったらわかるの?どんぐりの小包は重たいから割増料金。牡丹の花1枚足りないよ」 それにしても、とっても忙しそう… 「でもアリスだって、早く森から出ておかあさんのところに行かないと困るんだから。」 思い切って、郵便局の局長らしきキツネに声をかけた。 「もしもし、キツネさん。アリスは、道に迷ってしまいました。早く森から出たいんだけど、出口を教えてくれませんか?」 じろっと、キツネはアリスのほうに視線を投げると… 「いいとも。うちの配達員のウサギに教えてもらうといい」 「よかった〜どうもありがとう。」 「切手代でいいからね、お嬢さん。」 「え!お金?」 「そりゃそうだよ、配達員を行かせるんだから。切手代くらいなら、大サービスだねって感謝してほしいくらいだね」 アリスは、困ってしまった。お金なんか、持ってない。どうしよう? 「うわー!お嬢さん、お金もちだなぁ、ポケットから大金があふれてる。」 「?」 「ほら、落としちゃうよ。ポケットの四葉のクローバーを。」 そうだった、とアリスは思い出した。動物たちは、葉っぱや花びらで支払っていたじゃないの? そこに気がついたアリスは、急に落ち着いた様子で、こう言った。 「キツネさん、四葉のクローバーでお支払いは足りますの?」 「充分ですとも、お嬢さん。むしろもらいすぎなくらいだから、お釣りにこの水仙の花びらを上げましょう。おーい!ウサギども!」 偉そうに指図をすると、キツネは大事そうに四つ葉のクローバーを抱えて奥に引っ込んでしまった。 ☆ ☆ ☆ ウサギに案内されたアリスは、無事に森の出口にたどり着くことが出来た。 草花が咲く、お花畑にたどり着くと気持ちよくなって、おかあさんが買い物から帰ってくるのを待てずに、ついうとうとしてしまった。 「アリス、これアリス」 アリスは、揺り起こされるないなや目をキラキラ輝かせて、おかあさんに猛烈な勢いで話し始めた。 「おかあさん、森の中でね。クマさんやキツネさんたちの郵便局を発見したの!本当だよ!」 「あら、いやだねこの子は。四つ葉のクローバー探しに夢中になって、夢でも見たんだろうよ。」 まるで、取り合わないおかあさん。 でも、アリスは森の郵便局は夢じゃなくて、本当にあったんだと確信していた。ポケットの中には、四葉のクローバーに混じって…そう。この辺には咲いてない水仙の花びらが。 アリスは、大事そうに水仙の花びらをしまいなおした。 終(紹介許可済)
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無題
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年に一度、彦と姫が落ち合える日 二人が幸せをつかみかける、一瞬のとき… 美しい伝説、永久の愛 あたし、そんなのいや 好きだったら 愛してるんだったら どこかに、二人で逃げればいい 人に行動を束縛されるなんか 人の聞き耳で束縛されるなんか 二人の行方は二人で決めればいい |
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