二代目貴ノ浪のアイ・ラブ・・・・

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寅さん(渥美清)

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 前半の作品はあまり記憶に無いのですけど、おそらく一通りは観てるように思います。

 寅さんを好きになったのは、「刷り込み」のせいです。

 観始めたのは私が小学校の低学年の頃からです。その頃の「男はつらいよ」はお盆と正月にやっていました。
 私は3人兄弟の真ん中なんですけど、毎回その時期になると寅さん好きの父親と2人で地元の松竹に行っていました。おそらく残りの兄弟も1度は一緒に寅さんを観に行ったと思うのですけど、もう一度観に行きたいと言わなかったのでしょう。だから自然と私と父親の2人で行くことになったように思います。

 その松竹は今のシネコンのように綺麗で大きな映画館ではなく、地下に作られた汚く暗いところでした。

 それでも私はその雰囲気が好きでした。小さな小学生に寅さんの良さが分かるとは思いません。当時もあまり分かってないように思います。
 でもあの小さな映画館でたくさんの大人に混じって、子供の私がみんなと同じところで笑うのがたまらなく好きでした。

 啖呵を切るところが好きでした。意味なんか分かりませんけど、心地よく耳に入ってきました。
 タコ社長との喧嘩も好きでした。ドタバタさ加減が好きでした。目に映る分かりやすさが好きでした。


 映画を見終えると決まって、なめし田楽を食べて帰りました。
 これも謎なんですけど、決まってなめし田楽でした。小学生が豆腐を食べたいっていうとは思えないんで父親のなかで決まっていたことなんでしょう。
 食べながら聞いたことがあります。
「僕も寅さんみたいになりたいな」
「そうだな、ああやって日本を旅して、好きなことして生きていけたら幸せだろうな」
 父親はそう言った後に、でも、無理だよ。あんな生活ができるのは映画の中だけだよ、と言いました。



 私が中学に上がってから、父親と映画を観に行くことは無くなりました。松竹もいつの間にか取り壊され、駐車場になっています。

 それからはテレビでしか観ていません。
 

 なにがそんなにいいの?と友達に聞かれると、上に書いたように答えました。でもそれでは友達は納得しません。


 ただ、何となく好きなんです。刷り込みなんです。

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