ひるね蔵ダイヤメ日記

芋焼酎すきな飲んべえの徒然です。

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週に二三回、デイホームの仕事を手伝っている。
朝晩の利用者さんたちの送迎と付帯作業が主だ。
まもなく二カ月になる。


深い静けさが満ちる送迎車両のなかに、ときおりざわめきや笑い声が立ち上がる。
多くは、窓の外にみえる景色や人の様子がその原因。

ばあちゃんたちは、自分の長い人生という時間の堆積のなかに静かに埋もれているように見えて、実は車の外を(つまりは世界を)よ〜く見ている。その興味津津の観察眼は携帯の画面しか見ない女子高生などの及ぶところではない。

「あれは”すべた”よ」
かんだかい笑い声とともに貴美恵さんが言った。(スベタ…古すぎだろう?)

「肩と腹を出してたねえ」
寝ていたはずの純江さんが応じた。

「え?誰のこと?」
添乗のヘルパーさんが聞いた。ちょっと前に左の歩道を車とは逆方向に歩いて行ったハタチくらいの女性のことなのだが、彼女は見ていなかったらしい。

ばあちゃんたちの道徳心、倫理感に適合するような女性は(男性も同じ)めったに居ない。
歩道からはかなり距離のある公園の植え込み際のベンチでたばこを吸っていた若いおかあさんをやり玉にあげたのはそろそろ90歳ちかいはずの昭ゑさん。

「こどもが不憫よ」

ひまごが4人いるという彼女のことばには重みがある。


観察眼は鋭いが記憶力はおぼつかないのがお年寄。

「きょうは水曜日かい?純江さんがいるってことは。」
貴美恵さんが言った。

「なにいってるの、火曜日よ。昭ゑさんは火曜日にくるのよ」
純江さんが答えた。

きょうは月曜日なのだが、ばあちゃんたちにはもう時間の移り変わりは春の桜、五月の新緑といった景色でしか計れないのだろう。

お迎えの車両は幼稚園の送迎バスとよくすれちがう。

「かわいいわねえ!」

ばあちゃんたちが全面降伏したように声をあげるのはこのときだけだ。


かわいい幼稚園生たち、若い"スベタ"さんやおかあさんがた、そしてこの車両で送り迎えする人生の大先輩たち。
時間は(かならずしも公平にではないけれど)いやおうなしに人生を押し出してゆく。

宵越しの金や、目先の毀誉褒貶や、人気取り方策だけに目を奪われている政治屋連中は、きっとろくな終わり方はできないのだろうと、幸せそうにわらうばあちゃんたちを見てそう思う。

刀の写真を撮ること。

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愚息はカメラマン修行中。
このごろピンでゆく仕事も増えてきたと言う。
まあ、このご時勢だ、仕事があるだけでもよしとしよう。

先だって自社のスタジオを貸し切って撮影できるというので、脇差しと数本のナイフを渡して撮ってもらう事にした。
金属、刃物、そして波紋の変化などを撮るのは至難。
いつぞや某出版社のカメラマンが小生の刀を撮影したのだが、とうとう波紋を表現できなかったことがある(この人はとくに苦手だったようだ)。

今夜愚息がやってきて、紙焼きとデータで渡してくれた。
よく取れていた。
薩摩刀、波平近安。
銘のライティングがうまく決まっていた。
波紋は上の写真ではわからないけれど、白い部分のなかの鉄地の変化も出ていた。

満足の一枚、ありがとよ愚息。

こんどは、薩摩拵の写真を頼む・・・。

かぶと釜なるもの。

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大石酒造さんのかぶと釜を、写真で初めて見たのは平成13年。
この年の一月に柴田書店の『居酒屋』編集長、立山さんと編集者の池本女史からご案内いただいたムック『薩摩焼酎と奄美黒糖焼酎』に掲載されたものだった。
大石社長がカブトを両手にもって木樽に乗せる様子が撮影されていた。
そのとき、写真では見えぬ樽の中はどうなってるのか?と思った。それから、古い蒸留器のことを調べ始めたのだった。宝酒造が、まだすばらしいメセナ活動、「酒生活文化研究所(略称:酒文)」を展開していたころ。日本橋の研究所には何回か通わせていただき、研究者のみなさんが亜細亜各地で収集してきた蒸留器を見せていただいたりした。
焼酎の最終工程、それが醸造酒と決定的にちがう酒を生む「蒸留」作業。
本当に興味は尽きない。

閑話休題。

技術者らしい、用件のみのメールがきた。
引っ越し先の住所表記にすこしだけ言及されてあった。「西東京市ってネーミング。アイデンティティも風情もないね」なんだそうな。まったく同意。しかし、「田無市」よりはよいかと思う(田無市を「たむし」と読んだ人がいたし)。

閑話休題、なかなか本題にはいれないところがB型文科系。

で、大石さんからのメール。
「かぶと釜を持っている農民のイラスト、よかふに描いて送ってくいやんせ!」
小生の名刺や葉書に乗せている、そんな感じのカットをごらんになったのだった。
曰く、かぶと釜の説明にも使えるし、額にいれて社長室(あったっけ?)に飾るのもいいからということらしい。
説明資料と装飾の両用での御用だった。

以前描いた絵は肉筆の一枚もので、現在は鹿児島の宝納酒店に飾っていただいてある。
こんどは農民と子供たちを配して描き起こそうかと思っています。
ちょっと待ってくいやんせ、大石さん。

介護センターのデイホームは様々なお年寄りが利用している。
程度は様々だが、認知の入った方がほとんど。

送迎の車(10人乗り、車いす席二つとリフト装備)の中は静かだ。
添乗のスタッフが冗談交じりに語りかけると、一瞬ざわめいて笑い声が起こる。そしてまた深い静寂に戻る。

この静けさのなかで、お年寄りたち(ほとんどご婦人)はなにを思っているのだろうと、はじめのころは不思議な気持ちになってバックミラーに目をやったりしていた。
そして、このごろはこう感じるようになった。
彼女たちは、じつは何も考えたり、思いを巡らせたりしているのではなく、ただ今の時間に自分を委ねているだけなのだろうと。
乗客の年齢をあわせると、600才から800才という時間を積んで走っているわけだ。ただの静謐ではなく重量感のある時間に濾過された静けさという感じがする。

お年寄りたちの、体のコンディションもさまざま。
しっかりした足取りで車に乗り込んでくる人もいる。
団地の一階まで旦那さんに抱えられて降りてきて、用意した車イスにすわり、電動リフトで車に乗るお婆さんもいる。

ちえさん(仮名)という88才のそのお婆さん、ちいさくなった体を車イスにちょこんと乗せてシートベルトをかけてあげると、曲がった背中を捻るようにしてこちらをふりむいて、声を絞り出すようにこういう。
「お手数をおかけしますう」

何回かお送りしたちえさん、ちっともこちらの顔を覚えてはくれない。
センターで一日すごしたことも、団地に帰ったときには忘れているんだそうな。
「それでもねえ、センターでみんなが歌うのを聞いているときには、それはしあわせそうな顔をしてるのよ」
添乗の介護師さんがそういった。ちえさんは、もう歌えないのだ。

センターでは、毎月の誕生会を月末にまとめて祝う。
四月生まれの利用者さんがいなかったので、きのうは誕生会はなかった。
きょうは小生の誕生日。
添乗さんが、それを帰りの車の中でお年寄りたちに告げた。
みなさんが口々に、それでいくつになったの?とか、わかいですねえとか、おめでとうございますとか言ってくれた。
そしてまた静寂が車中に充ちたのだった。

お年寄りたちには、昔の記憶と、いま現在の時間があるだけのようだ。
ちえさんの団地はセンターからは西にいちばん遠い所にある。
月曜日と金曜日の最後の乗客は、いつもちえさんになる。

団地一階の出口には、旦那さんが迎えに出てきていた。
出がけにはちえさんの顔にクリームを塗ってあげたりするやさしい旦那だ。
リフトを降ろし、ロックをはずして車イスをゆっくりと外に出す。
旦那さんがちえさんを両手で抱えて車イスから立たせる。
ここからは旦那さんの作業になる。

添乗さんがきょうの活動ノートが入った布の袋を旦那さんの手にかけて、
「さようなら」と言った。
ちえさんがゆっくりと顔をよこに曲げて、
「ご面倒をおかけしました」と言った。

二階への階段を曲がるとき、こちらを見て、
「運転手さん、お誕生日おめでとう」

ちえさん、ちゃんと車の中できいたことを覚えていた。
「ありがとうございます」
そう言って車にもどり、リフトを収納してもういちど階段に目をやったが、もうちえさんの姿は見えなかった。

ちえさんには一瞬のことだったろうけれど、小生には深く刻まれた記憶になった。

晴れ男、GJ !

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曇りのち雨と予想された昨日の天気。
うららかな晴れ。
晴れ男、S師範代、A君、GJ!
薬丸自顕流東京道場は、練馬自衛隊での稽古の予定だったが、状況により航空公園に場所を変更して実施。
しばらくは練馬は使用できません。
状況が収まり、部隊が現地から撤収して、ふたたび平常な日々が訪れんことを願いつつ。

鹿児島から届いた打ち廻り用の樫の棒、あたらしい木刀。
稽古の最後の打ち廻りでは、棒を30本ばかり立てて打倒してゆく若い同門たち。
おんじょ(薩摩弁で、年寄り)が真似したら死にます。

稽古を終えて池袋。
屯所こと「焼酎BETTAKO」での宴は歓送迎会。
薩摩の地から仕事で江戸に場を移してきたK君、今月末に陸上自衛隊に入隊するH君。
はつらつとした若い力、老練なおんじょたち、元気な壮年層……当流道場には輝くばかりのよい個性が集っている。有り難いことです。

壮年からおんじょへと移行過程にあるS君の差し入れは「晴耕雨読」だった。
お湯割りでいただいた。
元気の余った同門諸兄には、屯所の肴はぴったりだったようで、ごいごいと飲みガバガバと平らげていた(ようでした)。

K君が拙著『焼酎はおもしろい』を持参していた!
鹿児島で買い求めて読んでくれたらしい。
「ここが、あのべッタコなんですか!」
と、店内を見回して目を回していたのはなぜだろう?

そういえば、今朝の南日本新聞に本の記事が出た。
鹿児島からファックスで送ってもらった。
政経部の勝目記者の署名記事だった。
よく読みこんで書いてくれたことがわかる内容、感謝です。


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