森の小窓から

子供はとことん遊ばせましょう

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ひよこのお母さん

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 4歳になる末っ子には親友がたくさんいる。ほとんどが70歳以上の高齢者だが、中にはニワトリさんもいる。あるおじいさんが飼っているもので、出会ったころには既に体は大人の両手にすっぽりはまるほど成長していた。几帳面で底抜けに優しいおじいさんに飼われている彼らは鳥小屋で生活しているのにもかかわらず実にのびのびとしている。

 初めはおそるおそる眺めていた末っ子だがニワトリたちの天真爛漫な姿にあっという間に恋に落ちた。週末ともなれば「ひよこの所いこ。」といってきかない。まずシゲばあの所で「はっぱちょうだい。」と言ってくず野菜をもらい、それをずるずると引きずりながら急こう配を登る。歩いて歩いて歩いて歩いて。最後のカーブを曲がると一気に駆け出してゆく。「のんのさん先やで!」とかろうじて背中に声をかけうなずく姿を確認したらあとはゆっくり後をおう。

 頑張って介護したおばあちゃんを火事で亡くしたおじいちゃんは、お庭に美しいお地蔵さんを一つこしらえた。おじいちゃんの家に行ったら何をおいてもそのお地蔵さんに手を合わせるのが私らが唯一できる慰めなのだ。

 ふとみればお地蔵さんの前で座って手を合わせる末っ子の後ろ姿をおじいさんがじいーっと見つめている。振り向きざまに「おじいちゃーん!」といって末っ子がその懐に飛び込んでゆく。よしよしと頭をなでられご機嫌さんな笑顔を返すとそのまま一目散に鳥小屋へとダッシュだ。

 驚いたことにニワトリたちと末っ子は完全に心を通わせており、娘の足音を聞きつけるや否や彼らは一斉に娘の所へと突進してくる。寝間と活動の場、二つの部屋を自由に行き来できる構造になっているので娘が寝間のほうから顔を出せば5羽全員で寝間に走り、活動の間に彼女が移動すればまた全員でどどーっと走り寄ってくる。それが面白くて末っ子は小屋の周りをぐるぐる走り回る。すると紐で引っ張られているかのように5羽のニワトリが後を追って小屋の中を延々と走り回るのだ。

 初め小さかったトサカがみるみる大きくなり、ピーピーという鳴き声に少しコッコという声が交りだしたと思ったら、数週間もすれば完全にコッコ、コッコと鳴き出し体もトサカも完全に大人になった。それでも、娘とニワトリの関係はこれっぽっっちも変わることがなく今もなお続いている。

 くちばしが曲がってなかなかえさが食べられないひよこも、他の4羽に負けないくらい立派になった。それがひよこの母として(娘は自分が親だと思っている)嬉しいようで目を細めて見つめている。そんな姿をおじいちゃんはいつも遠くから眺めている。

 いつの間にか細工された小屋の出口の滑り止めはおじいちゃんが娘のためにしてくれたものだ。「のんちゃん滑ったらあかんからな。」小さな声で恥ずかしそうに呟くおじいちゃんが私も大好きだ。控え目で、端から見たらもどかしいほど健気で、それでいてしんの強さを持っている。そんなお年寄りがここにはたくさん住んでいる。限界集落は地味で暗くてしょぼいと思われがちだけれど、それは違う。ドラマ北の国からがあれほど人々の心に深い感動を与えたのはなぜだろう。そう考えれば分かってもらえるのではないだろうか。

 末っ子とおじいちゃんのささやかな交流は私に同じような感動を与えるのだ。

閉じる コメント(6)

絵本を見ているような温もりのある文体に、生き生きと今を生きているひこよさんと子どもとお爺さんの世界が優しく伝わってきます。
この地上にこういう時の流れが存在すると言うことがとてもうれしいです!!きっとステキな大人になられるでしょうね〜ポチ^^

2010/2/9(火) 午後 3:32 あめたろう

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人嫌いでかた物と言われてなかなか話しかけられなかったのですが、私が娘をおんぶしてお散歩しておるとおじいちゃんのほうから声をかけて娘の顔を覗き込んだのが始まりでした。おんぶっていう行為がお年寄りの心を和ませるのでしょうか。帰りは小屋の網にへばりついている娘を引っぺがすように連れて帰るのが一苦労なんですよ。

2010/2/10(水) 午前 6:28 [ nij*k*omi*ama ]

こんにちは。

おじいさんと娘さん
娘さんと鶏さん
心が通じ合っているんですね。

お地蔵さまに手を合わせる
娘さんの姿を思い浮かべて微笑んでしまいました。
おじいさんも
娘さんが遊びに来てくれることを心待ちしていることが
伝わります。
子供から教わること
与えられることって多いですね。

ぽちです。

2010/2/14(日) 午後 1:44 ロベリア

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心と心の繋がりに壁はないですね。繋がりたいって思うことが大切なのかもしれません。今日はおじいちゃんとふたりで写メの撮り合いっこしてましたよ。おじいちゃん嬉しそうにメモリーに保存してました。

2010/2/14(日) 午後 2:49 [ nij*k*omi*ama ]

生き物に接する機会があるということは素晴らしいことです。
小生の周りには遠くで鳴く小鳥か憎いカラス位です。 そこから生きると言うことを学ぶでしょう!

2010/2/18(木) 午前 10:53 chu*o*p

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本当にそうですね。昨日は罠にかかった二頭の小鹿を姉妹で心配そうに見つめていました。地域の方の心づかいで子供たちの目の前で野に放たれました。心で手を合わせ感謝感謝です。

2010/2/18(木) 午後 1:50 [ nij*k*omi*ama ]


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