住環境コーディネーター・コウダの日記

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 昨日より続く。

 山を知らないと、トンでもない思いをする、と知ったのは正にこの時だったかもしれない。

 「6月の下旬なんか栃木の山に雪なんかないよ」。奥那須の山小屋で働くメンバーの言葉だった。軽く信じた自分が今思えば馬鹿だった・・・・。

 生来が火口という鬼怒沼はほぼ山頂であり、天日に当たり全く雪は無かったのだが、一度樹林帯に入るとまだまだ多くの残雪が残っていたのだ。最初のうちは滑りだけ気をつけて歩けば良かった・・・・。しかしそのうちに雪が緩んできて、踏み抜きが多発。股関節まで埋まってしまうことが頻発した。登山靴もないメンバーも複数いたわけで、スパッツやそうした残雪対策をしてきた人間は居たように思えなかった。

 結果半身埋まってしまった身体を自ら掻き出し、あるいは隣人を引っ張り上げた。そのうちに下半身はドンドン濡れていき・・・・・メンバーは急速に体力を奪われていく。

 一時間ほど雪と格闘したが、やっと残雪が消えた。ほっと一息・・・とはならなかったのだ。もうルートは登山道ではない。雪が消えれば、行く手を遮るヤブを掻き分けねば先には進めなくなった。細い枝や草だが、いつの間にか、顔や腕は小さな傷だらけになっていたのだ。道なき道を行くことで、さらに体力が消耗していく。
 それでも「あと何十分我慢すれば・・・」と行程が想像できれば我慢はできる。
 
 しかし・・・・:頼りの山岳部OB二人が地図を見、コンパスを見、木上に登って現況と見くらべる様は、確信をもってルートを決めている!というよりか、今何処にいるのか??わからない??という風に見えるのだ。

 山は登るより降りる方が何倍も難しい。道に迷っても登れるルートをドンドン登れば、何時かは頂上に着く。しかし降りは一本尾根間違えただけで、トンでもない場所に行ってしまうからだ。

 降り立つ予定のスーパー林道工事現場は全く見えない。そもそもどの辺りまで工事が進んでいるのか、という主催者が把握している情報の確度もこうなると怪しい。開墾地点の先に降りてしまっては永遠に林道には出会えず、山中路頭に迷うことになる。
 「これって??遭難???かな???」誰もが思ったが、誰もが口に出せない3時休み。元々話をするのが苦手な性格の山岳部OBたちだから、励ましの嘘も、気の利いたことは何一つ言えず・・・・無言の重苦しい雰囲気が満ちていた。

 コウダは考えていた。この先この20数人が山中ビバークすることを想像していたのだ。
 日帰りの予定だから食料を余分に持ってきている人がいても僅かだろう。水は皆水筒に余分にあるだろうからひと晩くらいは大丈夫だろう。山とはいえ6月だから凍死することもないだろう・・・・なんてことを考えていた。
 
 その上で迷っていたのだ。実は私のザックの中には、勤め先の自然食品八百屋が扱う「天然酵母、国産地粉使用のパンドカンパーニュ」直径25cmものパンが、もしもの為に持ってきていたのだ。
 ビバークともなれば、これは貴重な食料となるだろう。しかしそれを披露するタイミンは何時なのか???迷っていた。

 で、これは夜ではない。今だ!!と思ったのである。無言の集団の中央で、おもむろにパンを取り出しナイフで刻み始める。誰もが無言だから注意喚起の声を発する必要もなかった。皆私の手元を無言で注視していたのである。

 このパン相当好き嫌いがはっきりしていた。当時日本ではまだ馴染みが薄い天然酵母のパンということで、今思えば、過発酵だったかもしれないが、酸味が強かった。柔らかくするような添加物も入れてないし、甘味も皆無、固く締まったパンだった。柔らかく甘いパンに慣れた日本人には合わないパンだったのだ。

 でかいパンとはいえ、20数人に切り分ければ、一人当たり食パン3分の一程度。
 こんな状況だから皆その一切れを味わうように口にする。

 「あ!このパン美味い」「本当美味しい」「こんな美味いパン初めて食べた」・・・・。  バイト先の店で、週に3個位しか売れないパンが大絶賛を受けたのである。
 
 まさに食味というのは、シュチュレーションに左右されるものと思ったね。でもそんなことは二の次だった。

 皆食って「元気が復活した」のである。それは私が想像した以上だった。ホント人間と食物はこんなにもメンタルに影響するんだと、初めて知ったのだ。 

 皆で「行くぞ」となり、結果として一時間後位に無事林道建設現場に降り立つことが出来たのである。
 「これほどスーパー林道がここにあって良かった」!と思ったことはないね(失礼)。でも実際これで帰れる、遭難しなくてすむ!!と皆が思ったと思う。

 環境、人間、生きる、食う、社会インフラ、自然・・・・、。

 観念でない、綺麗事でもない、生きていくという「様」を感じることになった「事件」だったかもです。
 帰りみち。日がとっぷり暮れて・・・・ようやく林道を当てにして拡張した秘湯の一つが見えてきました。この山中に鉄筋4階建てになった「秘湯」は不夜城にも見え一瞬異様に見えました。

 しかし山から遭難半分で降りてきた人間には、原生林の中唯一の灯をともし続けている人間の生き処であり、難破寸前の船からみた灯台にも見え・・・・正直私は何とも、決が決められない複雑な思いだったのを覚えてます。
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 30年前は完成していなかった県境のトンネルまで歩いてみました。2時間ほどかかります。
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 最近の調査によれば、サル・シカなどこのトンネル内で厳冬をやり過ごしているらしいです(次回は冬同宿してみますか)。
 こちら群馬県側。道中1,4kmあります。
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 途中思っても見ないことでびっくりしましたが。マウンテンバイカーがのべ10名ほどが群馬に向かって登ってきました。金精峠経由で一周する良いツーリングルートだと思いました。鬼怒沼湿原からトンネルに降りてきた(新ルートがあるらしい)ハイカーにも出会いました。
 スーパー林道 30年後の可否は???。
 もう基準が違うと感じました。出来て存在しているものです。宿もハイカー、バイカーも、新たな楽しみ方、資源として利用されているんですね。
 
 30年前奥鬼怒スーパー林道反対運動の尻拭いツアーでした。
 オシマイです。長々とお付き合いありがとうございました。

 滝の途中に源泉がある八丁の湯の露天風呂
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