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硫黄を吸い続けて幻覚を見ました。はたしてそんな人はいるのでしょうか。
空気じゃなく酸素でも二酸化炭素でもなく・・・
硫黄のみに満たされていく苦しさとその先にある黄色に満たされた空間。
普通の温泉には源泉があり、モクモクと、またはブクブクとかポコポコと温泉が湧き出ています。
私達の訪れた温泉は規模が小さく、今にも消え去ろうとしている所でした。
そしてこの温泉には2つの源泉がありました。
1つはポコポコ。
勢いあまって重いコンクリの蓋を持ち上げようとしています。
そしてもう1つはブクブク。
このブクブクには最近流行りの足湯があって、バイク乗りと思わしき2人が足を入れていました。
私達も足を湯に沈めます。
温度は比較的温め。
しかしながら刺激が強く、足の裏に射す感じです。
源泉からは硫黄の空気が物凄く、風下にいる私達の周りは全て硫黄になってしまった感じです。
遠くのほうで雷が鳴ってきました。
そして今にも雨が降り出しそうです。
時間を見ると午後4時をまわったところ。
足は温まり、煤けた旅館は晩飯の慌しく準備をしている。
ふと思う「温泉最高」
階段を登り山からの湿気に囲まれると、そこには小さな露天風呂。
目隠しの隙間から灰色の空と黄色い温もり。
炊事の煙りで空は霞んでいく。
「そのお湯で温泉卵を茹でませんか?6個で300円です。」
そんな小さな看板が目に入りました。
温泉卵か、食べたいな。
看板の店へ足を運ぶと6個パックの玉子を売っていた。
「15分くらいで茹で上がるよ。」
「そんなにかかるの?」
「かかるよ。ハイ、おつりね。」
源泉に備え付けてあったザルに玉子を並べるてブクブクに突っ込んだ。
ぼーっと見ているのも何なので、また足湯にゴー。
ああ、なるほど、さっきのバイク乗りもこれをやってたのか。
なるほどなるほど
3分。6分。10分。
鼻に硫黄が詰まったような感じがします。
ゲホッ、ゲホッと咳も出ます。
「僕の顔、黄色くない?」
「黄色くはないですけど、青っぽいみたい。」
こうなれば玉子と僕の勝負だ。
後ろのザルを見ると、6つの玉子が少し黒っぽくなってきた。
よしよし。
僕の勝ちは目前だ。「あーまだかな」ゲフッ。ゲフッ。
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