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黄金色に染まる林内のあちらこちらで、落枝を踏みしめる音が聞こえてくる。 時々、奇妙な叫び声が混じる。 そう、ニホンザルの群れが移動中なのである。30頭はいるだろうか。 林道を先回りして、カメラを構える。 最初に姿を現したのは、メスの成獣だった。 ボクの姿に驚いて警戒声を発したかと思うと、駆け足で遠ざかってゆく。 その音に呼応するように、林内の足音は一斉に遠ざかった。 ところが、ワンテンポ遅れて大きなオスの成獣がすぐ近くにのっそりと姿を現した。 今はちょうど繁殖期、顔と尻の紅色が一際目立って見える。 他の個体と比較してもその体躯はずば抜けて大きい。 おそらく、こいつがこの群れのリーダーなのだろう。 若い個体は外敵を見かけると警戒や威嚇の声を発することが多い。 しかし、このリーダー、慌ても騒ぎもせず、目の前にどっかりと腰を下ろした。 時折こちらに視線を投げかけるが、その表情には警戒も敵意もなく、余裕すら感じられる。 きっと群れの異常を感じ取って、敢えてしんがりに出てきたに違いない。 彼は群れが十分に遠ざかったことを確認した後、ゆっくりと腰を上げるとまた群れの足音が去った林内へと姿を消したのだった。 群れの信頼を勝ち取るには、力だけではない何かが必要なのだろうと思う。 これがリーダーたる者の所作ってヤツなのかぁ・・・、と妙に感心した。 |
☆哺乳類・爬虫類・両生類☆
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見通しの悪い林道の三叉路。 一歩踏み出して、左手の林道上20m先で草を食むニホンジカに気づく。 幸い風下にいたようで、ニホンジカはボクに気づいていない。 腹ばいになって岩陰に身を隠し、バッグから一眼を取り出した。 近年、森を歩くとニホンジカとの遭遇率が極めて高くなったと感じる。 白昼堂々、この有様である。 ニホンジカの増加は全国的な問題に発展している。 口元をよく見ると、草ではなく根を食っていることが分かる。 これぞ「根こそぎ」というのだろう。 根から食われた植物はさすがに再生できない。 こうしてニホンジカは、林床の植生を食い荒らして丸ハゲにしてしまうことによって、林内の生物多様性を低下させ、土砂の流亡を招いているほか、農産物にも著しい被害を与えている。
生態系は微妙なバランスで成り立っている。 つぶらな瞳のニホンジカでも、増えすぎると軋轢が生じるのは当然でもある。 |
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池のたもとの笹の葉が、風もないのにカサコソと音を立てる。 |
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常緑樹林内のガレ場斜面で、黒っぽいヘビを発見。 おっ、何!? ガレ場に潜行しようとするヘビの尾を掴んで引きずり出すが、なにやら見慣れない色合いでちょっと警戒。 どうやら、ヤマカガシの黒化型のようだ。 シマヘビの黒化型は時々見ることがあるが、初めて見た。 よくみると青っぽい模様があって、結構かっこいい。 興奮しているのか、頸の部分を平たくしてコブラのような形になっている。 ヤマカガシは奥歯の歯茎から毒を出すが、頸腺からも毒を出すことが知られており、この部分をさらけ出すことで威嚇しているのかもしれない。 ヤマカガシはおとなしいヘビなので、掴まない限り噛まれることはない。
ただ、掴まれたら別の話だろう。 実際、この個体も鎌首をもたげて2、3度飛びかかってきた。 危ないところだった。 |
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3kmほど先の尾根筋の雪庇上に、不自然な黒い塊が見えた。 |


