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小沢辞任・絶好のタイミング 上杉 隆(ジャーナリスト) 政権奪取後を見据えた戦略 5月11日、小沢一郎氏の代表辞任表明。 5月16日、両院議員総会において鳩山由紀夫氏が124票対95票で岡田克也氏を破り、 民主党新代表に選出される。 5月19日、鳩山民主党が挙党一致を合言葉に新体制を発表。 野党第一党が目まぐるしく動いている。 新体制の顔ぶれは、岡田克也幹事長以下、小沢一郎筆頭代表代行、 菅直人代表代行、輿石東代表代行、と代表代行が3人もいる不思議な人事だが、 民主党の政権奪取後を見据えた戦略だと考えれば説明がつく。 代表代行に菅氏を据え置いたことなどは、閣僚を含めた重要ポストでの処遇が 予想される。代表代行、副代表、顧問といったポストを多数用意して、 政権奪取後、彼らを一気に入閣させる、というシナリオだろう。 しかし、そこで執行部を全員入閣させてしまえば、 今度は民主党内が空っぽになってしまう。 そこで事実上、トップに立つのが岡田幹事長である。 首相は鳩山代表、党の事実上のトップは岡田幹事長というかたちで、 代表選に敗れた岡田氏を処遇し、ポスト鳩山の民主党の新体制までをも 構築したのでないか。 一方の小沢筆頭代表代行は、選挙担当でもある。 本来、選挙は、幹事長の最大の仕事である。 そういった意味で小沢氏のポストが注目されたのだが、 岡田氏が「功労者を処遇しないのはおかしい。選挙は小沢さんに」と 大人の対応を見せたことで懸念は瞬時に払拭された。 小沢氏が筆頭代表代行に就任したことは、 「選挙は小沢流でやる」という宣言である。 鳩山新代表の絶妙な人事の1つだともいえる。 さらに若手グループからは、代表選で岡田氏を支持した 野田佳彦氏を幹事長代理に据えた。 ここでもうまく、挙党一致が演出されている。 このような結果を受けて、『朝日新聞』『日本経済新聞』などで 世論調査が行なわれたが、いずれも鳩山首相に対する期待値が、 ダブルスコアで麻生首相を引き離した。 新代表決定後、民主党はまずは上々の滑り出しを見せたといえるだろう。 5月16日以前には、もし代表が鳩山氏になれば、 西松建設事件でダメージを受けた小沢前代表のイメージを払拭できず、 民主党の支持率は上がらない、岡田代表のほうがましだ、 という観測が大半を占めた。 しかし、結果的に支持率は大きく上がり、 選挙を迎えるうえでどちらの体制がよかったか、は一概にいえなくなった。 「脱小沢」と呼ばれる岡田氏には小沢グループからの反発があるとされた。 あるいは自らを「原理主義」と称するように、岡田氏は小沢氏以上の頑固者だ。 その頑なさが党内不一致につながって、最初は高い支持率を獲得しても、 解散が限りなく任期満了の9月に近づけば、 それまでに支持率は下降している可能性も懸念されていた。 一方、「小沢流」をそのまま受け継ぐ鳩山氏は、舌禍さえなければ、 そのような心配は少ない。岡田氏に比べればもともとの期待値も高くないから、 プラス要素があるだけで、支持率は徐々に上がっていくと考えられるのである。 つまり、総選挙が遅くなれば遅くなるほど、鳩山民主党は有利になる、 という見立てができるだろう。しかもその背後には、小沢一郎氏が控えている。 だからこそ、自民党のなかでも「鳩山氏になれば選挙を早く、岡田氏になれば遅く」 がコンセンサスであったのだ。 ところが、世論調査はその展望を裏切るかたちの結果を出した。 自民党が慌てている理由である。 小沢前代表が後継に鳩山氏を望んだ理由は、 自らの裁量が強く得られるからということに尽きるだろう。 本来、小沢氏の本領は、役職にとらわれない、自由なポジションで発揮される。 また、頑固で方針の見えない岡田氏と違って、鳩山氏とはこれまでも、 代表・幹事長ラインで党を支えてきた経緯がある。 小沢氏は、昔から鳩山氏を買っている。 2002年、当時鳩山氏が代表を務める民主党は支持率3%台に低迷し、 党執行部は前原誠司氏や安住淳氏など若手議員から突き上げを食らっていた。 その打開策として鳩山氏は、小沢氏が党首を務める自由党との合流を画策、 自ら小沢事務所に出向き、「今日は私自身の将来を言いに来たのではありません。 日本の将来のための話をしに来たのです」と語った。 この合流話が表沙汰になった途端、前原グループは猛反発し、 鳩山代表を引きずり降ろす。代わって代表に就任した菅氏が、小沢氏と手を結ぶ。 鳩山氏にしてみれば、「菊作り菊見る時は蔭の人」ということだが、 小沢氏はそれをちゃんと理解していた。 民主・自由の合流大会の壇上、小沢氏は、わざわざ鳩山氏の名前を出して お礼を述べたうえで、「菊をつくったもの」への敬意を示したのだ。 その返礼かどうかは不明だが、その後、小沢氏が代表に就任すると、 執行部の要として鳩山幹事長を任命したのである。 http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=162&pageStart=0 http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=162&pageStart=20 小沢辞任・絶好のタイミングはまだ続きます |

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