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三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」 第五回 大転換 後編(3/3) 2009/06/25 (木) 15:30 (2/3の続き) 日本政府の負債は確かに巨額だが、 日本国家としては世界最大の金持ちであり続けているのには、 上記のような背景があるのだ。 端的に言うと、バブル崩壊以降に民間の負債が減った分、 政府の負債が増えた、ただそれだけなのである。 日本が再び好況期を迎えると、 今度は民間が「借金による支出」を拡大していくことになる。 すると、当然ながら民間の負債が増え始め、 逆に政府の負債が減っていくことになる (基礎的財政収支が黒字化するほど、劇的に税収が増え、 政府支出が減った場合に限定されるが。)。 要は、国家経済において民間と公的部門(政府)は、 シーソーをやっているようなものなのだ。 日本のように国内に金融資産が溢れ返り、 海外からの資金調達が不要な国は特にそうである。 国家経済をマクロ的視点、鳥瞰的な視点で捉えると、 このシーソーについて誰でも理解できる。 だが、マスメディアや経済評論家が一点(例:政府の負債)のみを クローズアップさせ、問題を「創り出そう」とするために、 ややこしい話になるのである。 以上、筆者は「基礎的財政収支の黒字化」を先延ばしし、 さらに様々な附帯条件をつけることで有名無実化し、 同時に国家財政の目標を 「公的債務対GDP比率の改善」に切り替えた今回の骨太2009素案を、 大変高く評価している。 ところが、政府の素案発表直後から、 例によりマスメディアのとんでもないミスリードが、 大々的に始まったのである。 まずは、はっきりとさせておきたいのだが、 骨太の方針2009素案には「消費税」という言葉は一切出てきていない。 但し、素案を討議している経済財政諮問会議において 「民間議員」が中期的な財政試算を示した。それは、 「消費税を2015年度にかけて10%まで引き上げる場合でも、 基礎的財政収支の黒字化は21年度以降にずれ込む」 というものだった。 別に、筆者は民間議員が試算をするなとか、 消費税という単語を使うなとか、妙なことを言う気は毛頭ない。 とは言え、試算とはあくまで試算である。 しかも、政府関係者ではなく、 民間から参加している議員が試算したのであるから、 どう考えても「参考情報」であろう。 何しろ、骨太素案自体には、「消費税」という単語が 一度も登場していないのである。 ところが、その後の日本のマスメディアによる 「骨太2009」関連報道は、まさに消費税アップ一色になったのである。 代表的なものとして、共同通信の記事をご紹介しよう。http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009060901000730.html 『17年度に消費税率12%必要 財政再建は10年先送り 政府は9日、経済政策の指針となる「骨太の方針2009」の素案を 経済財政諮問会議に提示、景気悪化を受けて財政再建を 10年程度先送りする新たな財政健全化の目標を打ち出した。 同時に示した財政試算では、 目標達成には2017年度までに消費税率の12%程度への 段階的な引き上げが避けられないとの見通しを明らかにした。(後略)』 共同通信のみならず、日本の大手新聞社はこぞって同じ論調 「消費税が12%に引き上げられる!」の「見出し」で記事を書いていた。 例えば日本経済新聞の見出しは、 「大幅な消費増税へ布石? 『骨太09』目標達成『10%超』必要」 であったし、読売新聞に至っては「消費税引き上げから逃げるな」と、 本質を明らかに間違えた社説を堂々と掲載していたのだ。 その他の大手紙も、似たり寄ったりだ。 特に、共同通信の報道が悪質に思えるのは、 同社の記事が消費税12%への引上げが、一民間議員の試算に過ぎず、 骨太2009の素案自体には「消費税」という言葉が 一切出てこないことに触れていないからである。 一応、「新目標は、国内総生産(GDP)に対する 国と地方の債務残高の比率を20年代初めに引き下げることを基本とした。」 と取り繕ってはいる。 とはいえ、見出しからして「消費税率12%必要」としている以上、 明らかに主眼を歪めた、 悪質なミスリードであるとしか言いようがないわけだ。 それを言ったら、 日本経済新聞の「大幅な消費増税へ布石?」という見出しも、相当に酷い。 まさかとは思うが、 書いている本人が主眼を歪めていることを自覚しているからこそ、 最後に「?」をつけたのではないかと邪推したくなる。 今回の日本政府の方針変更は、 日本経済の目標を「節約」から「成長」へと切り替える、 歴史的な大転換である。 「公的債務対GDP比率」を継続的に引き下げるということは、 GDP成長率を高め、 国民所得を拡大していくことに主眼を置いたという宣言に等しいわけだ。 しかし本質が見えないか、 あるいは見ることを拒否しているマスメディアは、 素案本文に全く書かれていない「消費税」を主題の中心に置き、 記事を書く。 政権批判をするためなら、主眼を歪めた記事として報じることに、 全く躊躇がないわけだ。 これこそが、国内マスメディアの本質であり、 本性であるとしか言いようがないのである。http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2009/06/25/005890.php |

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