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小沢辞任・絶好のタイミング 3 上杉 隆(ジャーナリスト) 政権奪取後を見据えた戦略 検察は1枚岩ではない それでは、なぜ小沢前代表はこのタイミングで代表を辞めたのか。 巷間、「東京地検特捜部の捜査が迫っていた」という憶測が語られているが、 それはナンセンスである。 小沢氏自身、辞任会見で、あらためて無罪を表明している。 もちろん広い意味でいえば、特捜部や検察庁によって、 「小沢首相」の芽が潰されたという一面はあるだろう。 そこには民主党に対する、特捜部の「私怨」があるのかもしれない。 特捜部長の佐久間達哉氏は潔癖な性格で、政治との関わりを嫌うタイプである。 しかしその上にいる樋渡利秋検事総長は、かつて法務事務次官として ライブドア事件に関わり、民主党のいわば「偽メール事件」などに捜査が 阻まれたことを苦々しく思っていた可能性がある。 その反感が源流にあって、上がってきた案件のなかで、 小沢氏の公設秘書逮捕を支持した、というストーリーはありえなくもない。 しかも3月4日、小沢氏が記者会見で「検察の恣意的な捜査だ」と批判したことで、 検察の対応も決まった。検察側がここで手を緩めれば民主党のいう 「国策捜査」を認めることになる。 引くに引けなくなり、「窮鼠猫を噛む」ということで、民主党政権の芽を潰すしか、 自分たちの将来を考えられなかったのだろう。 もっともこれは検察庁幹部の考えで、ヒエラルキー下の人間には 民主党びいきもたくさんいる。彼らにしてみれば、上の人間がいなくなれば、 次は自分たちの番だとなる。そもそも民主党政権ができたとしても、 検察庁や東京地検特捜部がなくなるわけではない。この点についても、 検察を「1枚岩」と考えると本質を見失う。 さらにいえば、「検察と政治がつるんだ」という話も都市伝説の類だ。 3月5日の記者懇談会で、「捜査が自民党に及ぶことはない」と漆間巌官房副長官は 答えたが、そもそも本当に知っていたら、そんなことは口が裂けてもいわない。 彼は非常に政治的な人間で、「逮捕のことを事前に知っていた」ということで 自己顕示したかっただけだろう。 もちろん政府が事前に知っていたことは確かだ。ただしそれは直前である。 特捜部が動くときは、当日までに法務大臣に報告を行なわねばならない。 それが総理大臣に伝わって、その過程で漆間氏の耳にも入っていたとしても おかしくないが、捜査の行方については絶対に知らなかったといえる。 なにしろ当事者の検察幹部ですら、確信していなかったのだ。 ただ、政府が被害が自らに及ばないようにしながら、相手への攻撃材料にしたい、 と考えるのは権力闘争において当然だ。 ただそのことと「検察と政治がつるんだ」ということは別次元の問題である。 それよりも注目すべきは、5月11日という小沢氏の辞任のタイミングだろう。 公設秘書が逮捕された3月3日、あるいは起訴された3月24日直後に辞任していれば、 小沢氏自身が疑惑を認めたことになってしまう。 その場合、小沢一郎という政治家の政治生命は終わっていたかもしれない。 最低でも離党、あるいは議員辞職も余儀なくされただろう。 衆議院解散と同時に辞任する、というやり方も得策ではなかった。 麻生首相が投げたボールに合わせたことになるからだ。 小沢氏や民主党は守勢に立たされて、国会のためでなく、 選挙のために代表を代えた、との批判を許すことになったにちがいない。 ところが予算審議中の辞任であれば、 予算のため、などを含め、いくらでも理由がつく。 事実、小沢氏は辞任後、離党も議員辞職もしなかった。 それどころか筆頭代表代行になり、選挙対策も任されている。 非常に時期を選んだ練られた辞任劇であった、と評価できよう。 とはいえ、これは最初から練られたシナリオではない。 3月4日の記者会見時点では、小沢氏は本気で「検察と戦う」つもりだったはずだ。 しかし、時間とともに状況も、環境も、戦う相手も変化する。 その結果、ゴールデンウィーク前あたりから、辞めるのが正解だ、 時期はこのあたりだ、と判断したのではないか。 当然、辞任時点で自らが筆頭代表代行に就任する、 という読み筋があったわけでもない。 たしかにかつての自民党ならそういう裏密約が存在しただろうが、 もはやそういうやり方が通用するような時代ではない。 しかも、鳩山氏は知っていることをすべてオープンに、口にしてしまうタイプだ。 それは小沢氏自身がいちばんわかっていたはずである。http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=162&pageStart=40 http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=162&pageStart=60 小沢辞任・絶好のタイミング 2はまだ続きます |

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