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実は深刻!中国経済 三橋貴明(作家、経済評論家) 第2回 正しいバブルの創り方 『朝日新聞』までもが…… 第1回の「中国の最悪の輸出品」において、 メディアの本来の使命は中国共産党の手先として動くことではなく、 日本国民に「有益」な情報を提供することであるなどと、うるさいことを書いた。 だからというわけではないだろうが、最近の日本の新聞各紙は、 中国経済について比較的(つまり前回のバブル時よりも) 冷静な報道姿勢を保っている。 もっとも、テレビのほうでは相変わらず中国への無謀な投資へと 駆り立てる報道が多いのだが。 前回の中国株式バブルの際に、 寒気がするような無責任さで中国投資を煽っていた『日本経済新聞』も、 今回は中国について「市場の一つ」として捉える記事が多い。 つまり投資先ではなく、日本企業が製品を売り込む市場として 考えようという論調が多いのだが、この姿勢は大変好感がもてる。 また、大変驚いたことに「あの」『朝日新聞』までもが、 「中国の最悪の輸出品」すなわち統計数字について、 かなり突っ込んだ記事を書いたのである。 別に、『朝日新聞』が中国の統計数字を 疑問視する記事を書いても構わないのだが(むしろ歓迎すべきだが)、 タイミング的に大変驚愕したのである。 2009年5月20日の朝刊(経済面)において、『朝日新聞』はそのものずばり、 「経済統計『水増し許さん』 中国、検査を強化へ」 なる見出しで、中国の統計数字が全く信用できないという事実を、 国内で大々的に報じたのだ。欧米の金融機関や中国当局が、 中国国内でバブルを「創出」しようとしている時期だけに、 この『朝日新聞』の記事には本当に驚いた。 同記事のなかで、『朝日新聞』は、 「国内で実績をアピールしたい地方指導者による 『数字操作』が後を絶たない。(中略) 中国の地方指導者には、将来の国家指導者や閣僚の候補である若手幹部らが就き、 政策運営の実績を激しく競っている。 経済面での成果を目立たせようと統計に手を加えるなどの不正も起こりやすい。 昨年は安徽省で1064件、福建省で754件、広東省で337件の違法案件が摘発された。 (後略)」 と、第一回で筆者が触れた「地方の共産党官僚の水増し報告」について、 基本的に同じ論調の記事を数字ベースで書いている。 『朝日新聞』がここまで書いてしまっていいのかと、 他人事ながら思わず心配になってしまうほどに適切な記事である。 それにしても、中国は何でもそうだが、不正件数までもが他国とは桁違いである。 安徽省という一つの省において、1年間(08年)に摘発された 不正統計の総数が1000件を超えるのである。 こんな状況で、中国共産党政府が公表する数字をそのまま信用しろといわれても、 無理がありすぎだ。 日本のマスメディアは、今後は中国共産党が発表する統計データについて 報じる際は、「わずか1省で、年間1000件の不正統計が摘発される中国の 中央政府の発表によると……」 などと、毎回、注意喚起をする枕詞をつけるというのはどうだろうか。 自国の首相の漢字読み間違いという、どうでもいいネタを 半年以上も引っ張り続ける国内メディアなのだから、 この程度のことは充分可能に思えるのだが。 それはともかく、上記『朝日新聞』の記事では、 欧州メディアが中国当局に数字の疑問を突っ込むシーンが紹介されており、 大変面白く読ませてもらった。 前回の「中国の最悪の輸出品」でも触れたように、 中国は経済成長率や工業生産が伸びている割に、 電力消費量がどんどん落ち込むという、時代を超越した技術をもつ国である。 日本の国内メディア以外には、誰も中国がそんな超技術を保有しているなどと 信じていない。もちろん、欧米メディアなどは中国当局の発表のたびに、 この矛盾について容赦なく質問をしている。 09年4月16日に、中国共産党政府が09年第1四半期のGDPを発表した際には、 スイスの記者が、 「工業生産は5.1%伸びたというが、電力消費量は減っているではないか。 中国のエネルギー効率が突然高まったというのか?」 と問いただしている。それに対し、中国共産党の李暁超国民経済総合統計局長は、 どちらの(工業生産も電力消費量も)データも正確だと強調しつつ、 「はっきり説明はできないが、みんなで研究して原因を探っていこう」 と、言葉を濁したのである。いかにも苦しすぎる説明だ。 中国の国民経済総合統計局長とは、なかなかに大変な職業のようである。 冗談抜きで。 また、米『ウォールストリート・ジャーナル』によると、 国際エネルギー機関までもが、中国のGDP成長率とエネルギー需要の 食い違いについて指摘しているとのことである。 ちなみに『朝日新聞』の記事の末尾には、中国がGDP成長率について、 主要国で一般的な「対前期比」の数値を公表していないことについても、 きちんと書かれている。前回もご紹介したように、 中国は実質GDP成長率について「対前年同期比」のみでしか発表しないのである。 この理由について、『朝日新聞』は中国が「技術的な課題」により、 対前期比の成長率が公表できないと説明している。 しかし、対前年同期比で公表できる実質GDPが、対前期比では不可能になる 「技術的な課題」とは、はたして何なのだろうか。 皮肉でも何でもなく、筆者は心底、その「技術的な課題」の詳細について 知りたいと思う。http://voiceplus-php.jp/web_serialization/china_economy/002/index.html 実は深刻!中国経済はまだ続きます↓ |

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