ヴォイストレーナー チャトラ猫の原稿倉庫

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 歌うということ

 このところたくさんのことを考えます。私の仕事は「歌い手」のお手伝いです。トレーナーの仕事を続けてちょうど40年の時が流れました。フルタイムの職人として声の研究に専念して7年になります。現在の私が持つ技術や知識のほとんどは、アマチュア声楽家(合唱団員)と接する中で共に模索し研究してきたものです。一人ひとりの声を探す作業は常に楽しいものでした。響きを発見した瞬間に、会場がポーンと鳴り、仲間たちが目を輝かせて「オォ!」と叫ぶたびに、私は本人よりも大きな喜びを見出していたに違いありません。
 30年ほど前、修行中の私はしばしば東北の街にいました。年齢こそ倍以上離れていたけれど、合宿や講習会で出会う高校生は皆、私の師匠でした。会う度に何百という質問を浴びせられ、解答が見つからないとき、それは次回までの私の宿題でした。15年ほどかけて、東北の多くの合唱団を聴いたこと、トレーニングに必ず個人レッスンを入れて何千もの高校生と話したこと・・・それらのすべてが高校教師としての私をも鍛え上げてくれたのです。
 全国大会常連進学校の合唱部員も、合唱の「が」の字も知らない暴走族のメンバーも、求めていることは全く同じことなのだ・・・若者だけではなく、幼児でも、私のように老年に足を踏み入れた者にとっても、それは同じことなのでしょう。
 とうに40代を迎えているはずのかつての高校生達が、あらゆる天災と人災を超えて、よい語り手であり聞き手であったことを思い出してくれるように。まず祈ることから始めましょう。

 さて若者諸君。私は昔の教え子たちの無事と復興を祈るためだけにこれを綴っているわけではありません。ここでひとつ、最近の講習会で高校生にお話したことを紹介しますね。
 「皆さんは、なんのために講習会に参加したのですか?より強い声を出すためですか?もっと存在感のある声がほしいのでしょうか?」私は最初にこう問いかけます。
 「どこの高校でも月に一度は朝礼などの集会があるでしょ?そこでは皆さんは静かに整列して、壇上の偉い人からありがたいお話を聞くのでしょ?」 ここで多くの高校生はニヤっとします。
 「想像してごらん、そのありがたいお話の最中に、この中の一人がスクッと立ち上がって壇上を指差し、ワハハハッと大声で笑ったらどうなりますか?」私は大声で笑ってみせます。
 「その瞬間から何分間かは、あなたは数百人の仲間と先生方と体育館の広い空間を占領することでしょう。神聖な朝礼はあなたのたった一声で簡単に壊すこともできるのです。でも、あなたたちはそんなことをやらない。それはなぜ?」
 オトナになるということは、立ち止まって考え、リスクを避け、目立たぬように集団の中に居場所を探すことでもあるのでしょう。あなたたち高校生は、オトナになる過程で、自分の心の叫びを仕舞いこんで忘れていくのです。能ある鷹が爪を隠すなら判ります。でも隠し場所を忘れた鷹は、もう鷹ではないのです。

 歌うことは祈ることです。信仰を持たない私でもそう思います。
 より良くより強く、聴く人の心をうつために必要なことは、技術ではありません。方法や作戦でもありません。それらは効果を高めるだけにすぎないのです。
 あなたの心と身体の奥深く、仕舞い忘れた夢や想い・・・それを声にすることから始めてみませんか?

 

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夢や思いを声にすることからはじめる・・・

いい言葉ありがとうございました

2011/7/10(日) 午後 0:03 kokoro 返信する

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