さくら通信/西岡昌紀

内科医のコラムです。気軽にお立ち寄り下さい。

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                  HIVは本当にAIDSの原因か?




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     そして、次の論文に御注目下さい。この論文は、今、御紹介したブラウンらの論
    文から5年後の1979年に発表された論文です。この論文は、ブラウンらの論文
    とは違った視点ら、麻薬が免疫系に与える作用を論じた論文で、彼らの研究は、ヘ
    ロインではなく、モルヒネを取り上げて居ますが、大変重要な事を、AIDSと呼
    ばれる病気が「発見」される数年前に指摘して居ます。(Journal of Immunology
Vol.123, No.3, September 1979, pp1068-1070)題名は、以下の通りです。



SUGGESTIVE EVIDENCE FOR RECEPTORS FOR
MORPHINE AND METHIONIN-ENKEPHALIN ON
NORMAL HUMAN BLOOD T LYMPHOCYTES



    で、訳すと、「正常なヒト血中Tリンパ球上のモルヒネ及びメチオニン・エンケ
    ファリン受容体を示唆する証拠」と言ふ物です。即ち、白血球の一種であるリンパ
    球は、大きくT細胞とB細胞に分けられますが、そのT細胞と呼ばれる群のリンパ
    球の表面上に、モルヒネやメチオニン・エンケファリンと言った物質と結合する分
    子が存在する様だ、と言ふのが、この題名の意味する所です。何の事か分からない
    と言ふ方もおられるでしょう。簡単に言へば、Tリンパ球の表面には、モルヒネ等
    の麻薬と結合する分子が存在する様だと言ふ事です。そして、これが、Tリンパ球
    に対して、麻薬が作用を持つ事を分子レベルの実験で裏付けて居るのです。


                                     (続く)




     平成20年6月26日(木)










                          西岡昌紀(にしおかまさのり・内科医)
http://nishiokamasanori.cocolog-nifty.com/blog/


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                  HIVは本当にAIDSの原因か?




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     次は、ヘロインです。今御紹介したのは、マリワナが免疫系を障害する事を報告
    した論文でしたが、この論文が発表された1974年に、ヘロイン依存者にも、
    免疫異常が見られる事を報告した論文が発表されて居ます。その要約(アブストラ
    クト)です。

 

             Immunonologic Dysfunction in Heroin Addicts


             Shelley M.Brown, MD; Barry Stimmel, MD;
             Robert N.Taub, MD; Shawl Kochw, PhD;
             Richard E. Rodenfield, MD



             Thirty-eight heroin addicts, whose immunological
             status was studied, had a high incidence of
             abnormalities, including hypergammaglobulinemia
             (IgM 87% and IgG63%), false-positive test for
             syphilis(23%), and positive latex fixation test
             (21%). A defect in cellular immunity was demons-
             trated by impaired in vitro responsiveness in
             lymphocyte culture studies to at least one of
             three mitogens when compared to normal controls.
             Follow-up studies on ten addicts not taking
             heroin but involved in methadone maintenance
             programs failed to show a consistent pattern.
             This study demonstrates abnormalities in both
             the humoral and cellular immune systems in chronic
             heroin addicts. there was no apparent correlation
             between these abnormalities and the presence of
             clinilcal liver diseases. Occult liver diseases,
             however, was not excluded by liver biopsy, and
             the pathogenesis of these immunologic disturbances
             remains speculative.

             (Arch Intern Med/Vol 134, Dec 1974: p.1001-1006)





     要約すると、28人のヘロイン依存者において、高ガンマグロブリン血症
    が多く見られた事(IgM型が87%、IgG方が63%)、梅毒反応の偽
    陽性が23%で見られた事などが報告されて居るのですが、これは、ヘロイ
    ン陽性患者は、ガンマグロブリンの産生に異常が見られ、抗体の偽陽性を起
    こし易い事を述べて居る訳です。これは、エイズ患者の診断に用いられる
    言はゆるHIVテストの信頼性についての議論で再び触れますので、良く覚
    えておいて下さい。

                                          (続く)




     平成20年6月15日(日)










                          西岡昌紀(にしおかまさのり・内科医)


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     快楽に用いられる薬物が免疫系に与える障害に関する論文は、1970年代に
    遡る事が出来ます。私がこれまでに集めた論文の中で、この問題に関する一番古い
    論文は、この論文です。


         Gabriel G.Nahas, Nicole Suciu-Foca, Jean-Pierre Armand, Akira Morishima

      INHIBITION OF CELLULAR MADIATED IMMUNITY IN MARIHUANA SMOKERS
      SCIENCE, VOL.183, FEBURUARY 1974, p419-420


     アブストラクトを御紹介すると、


ABSTRACT. The cellular mediated immunity of 51 young chronic marihuana smokers,
as  eval uated by the lymphocyte response in vitro to allogenic cells and to phytohaemaglu-
tinin, was significantly decreased and similar to that of patients in whom impairment of
T (thymus derived) cell immunity is known to occur. This inhibition of blastogenesis might
be related to an impairment of DNA synthesis.


     と成って居ます。


     この論文を要約すると、51人の慢性的なマリワナ常用者の細胞性免疫を調べた
     処、T細胞の免疫機能が障害された患者に似た免疫機能の障害が見られた、と言
     ふ事です。この論文は1974年に発表された論文ですから、今から33年前、
     現在から見れば、免疫学のレベルは、極めて素朴な水準に留まって居ました。し
     かし、アメリカ社会では、マリワナをはじめとする快楽薬物の常用が社会問題と
     して深刻化し始めて居た時代で、同時に、後年、AIDS(エイズ)と呼ばれる
     疾患が報告される7年前の論文である事に注目して頂きたいと思ひます。即ち、
     AIDSが、まだ、正式に「発見」される7年前に、この論文が報告した様に、
     マリワナ常用者の免疫機能が低下して居る事に、一部の研究者は、注目して居
     たのです。

                                     (続く)   



     平成19年4月22日(土)





                           西岡昌紀(にしおかまさのり) 


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     順番にお話すると、こうです。先ず、麻薬常用者の場合、皆さんは、「麻薬常用者は、
    HIVで汚染された注射針で麻薬を注射した為、HIVに感染し、AIDSに成るのだ」
    と言ふ説明を信じておられると思ひます。そして、注射針を介してHIVに感染した結
    果、免疫不全に、つまりAIDSに成るのだと信じておられると思ひます。しかし、ここで
    忘れられて居る事が有ります。それは、麻薬その物に、免疫不全を生じる作用が有ると
    言ふ医学上の事実です。即ち、AIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome)
    とは、読んで字の如く、「後天性免疫不全症候群」である訳ですが、ヘロインをはじめ
    とする麻薬には、まさに後天性に、免疫不全を誘発する作用が有るのです。ヘロイン
    以外の薬物にもそうした作用が有りますが、これらの薬物を常用すれば、それだけで、
    免疫機能は障害されるのですから、麻薬をはじめとする快楽薬物(ヘロイン、マリワナ、
    コカイン、アンフェタミンなど)を常用して居る人々の間に見られる免疫不全は、本当に
    HIVと呼ばれるウィルスが原因だったのか、それとも彼らが常用する薬物自体の作用だ
    ったのか、当然、考えて見なければなりません。そして、AIDSと言ふ病気が、アメリカや
    ヨーロッパにおいては、ヘロインなどの薬物常用者に多い理由は、これらの薬物自体
    が持つ免疫への機能障害と無関係なのか、検証する必要が有ります。

                                                   (続く)


    2007年(平成19年)1月12日(金)





                                          西岡昌紀(にしおかまさのり)






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     驚かれるに違い有りませんが、この様に、AIDSの原因が、本当にHIVなのか
    どうかについて、実は、今も論争が続いて居るのです。では、一体、何がAIDSの
    原因だと言ふのか?と、皆さんは、お尋ねに成るに違い有りません。−−当然の
    質問です。−−その問ひに対する、懐疑派の考え方を一言で言へば、「AIDSは、
    実は、一つの原因によって起きる病気ではないのではないか?」と言ふ見方に
    要約出来ようかと思ひます。「懐疑派」と言ふ言葉を使ひましたが、これは、私の
    勝手な造語です。「AIDSの原因はHIVである」と言ふ、皆さんも良く御存知の、
    今日の「常識」とされる考え方を、仮に「通説」と呼ぶなら、それに疑問を投げ掛ける
    人々を総称して、ここでは「懐疑派」と呼んでおきますが、私が「懐疑派」と呼ぶ
    それらの論者達の考え方は、一様ではありません。しかし、彼らの考え方の最大
    公約数を私の言葉で要約するなら、彼らの考え方は、



    
              −−AIDSは、実は、一つの病気ではない−−




     と言ふ事です。つまり、麻薬常用者のAIDS、男性同性者のAIDS、血友病患者
    のAIDS、アフリカのAIDSは、実は、別の病気であり、更には、他にもAIDSの原因
    は有ると思はれますが、AIDSは、HIVと言ふ単一の原因によって起きて居る単一の
    病気ではない、と言ふのが、彼らの考え方の最大公約数と言ふ事が出来ます。

    (続く)



    平成18年12月20日(水)






                                          西岡昌紀(にしおかまさのり)

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