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サクリファイス
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他にも、カタリ派が重視したヨハネの言葉が、出て来る事も、カタリ派の思想が、この
映画に影響を与えて居る可能性を考えさせます。しかし、実際のところ、タルコフスキー
がカタリ派に関心を持って居たかどうか、私は知りません。−−タルコフスキーが、日本
に深い関心を抱いて居た事は知られて居ますが、カタリ派に関心を抱いていたかどうか、
私は知りません。−−しかし、これらの符合が偶然であるとは、考えにくいと、私は、思
ひます。
ところで、私が、『サクリファイス』を見て、そんな事を考えた理由は、他でも有りま
せん。私自身が、カタリ派に深い関心を持って居るからです。私が、カタリ派と言ふ、滅
ぼされた宗派の存在を知ったのは、もう十年以上前の事です。その時の驚きは忘れられま
せんが、私は、カタリ派のこうした世界観に、深い驚きと共に、部分的には、共感すら持
って居ます。−−私は、キリスト教を含めて、いかなる宗派にも属して居ません。しかし、
そんな私にとって、カタリ派は、私が今までに知った宗教の中では、非常に心を惹かれる
宗派です。−−この世に悪が存在するのは、何故なのか?と言ふ問いに対して、この世を
創造したのが、悪魔だったからだ、と答えるカタリ派が、原爆を含めた、あの大戦中、多
くの罪の無い子供や女性を襲った悲劇の理由を説明してくれる様に思へるからです。そし
て同時に、そんな悲惨な世界に生きる私達に、救済の世界が有る事をも語って居ると、思
へるからなのです。
平成18年8月17日(木)
戦後61年目の夏に
西岡昌紀(にしおかまさのり)
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