|
平成13年12月三日
我が家に猫が来た。
幼稚園に入る少し前、僕は11匹の十姉妹を飼っていた。
4匹程度の小さな小鳥は、卵を産んで11匹までに増えたのだった。
記憶はとっても乏しいが、鳥たちがある日一斉に消えてしまったことがある。
犯人は猫だ。
血だらけになった玄関と、羽が飛び散った後の鳥かご。その迎えには白くて大きなデブ猫が座っていた。
何匹逃げたんだろうか・・・。
何匹食われたんだろうか・・・・。
僕が21歳の夏。
うちの近所の公園から、少し小さめの茶色グレーの長毛の猫が着いてきた。
時の流れというものはとっても恐ろしく、そして美しいものである。
大っきらいだった猫を、とってもかわいいと思った。
僕は、当時よくわからなかったので、お腹を空かせてるんだろうと思い刺身を持っていった。
捨て猫なんだろうか、そいつは西村家の中に入ってきたのだ。
人一倍情の深い西村家の母親は、飼うことを許してくれた。
名前は「ブー」とつけた。
とても人懐っこく、顔も可愛いし、アイドルのような猫。
僕はその日から愛猫家へ。
かわいがって育てること三か月、ブーは急に帰ってこなくなったんだ・・・・・・。
車の下も、溝も、近所のいたるところ三日三晩探して回った。
どうしても出てこないので、僕は迷い猫としてA4の大きさのコピー用紙にブーのイラストを書いて、コンビニで50枚のコピーを作り、ありとあらゆるところへ貼り歩いた。
毎晩毎晩ベランダを覗いてはしかめっ面でカーテンを閉める日々。
そして約一ヶ月、僕の携帯電話に一通の電話が鳴った。
イラストの猫がいるという知らせだった。
「あー、西村さん?張り紙だしたはったやろ?グレーのふわふわの猫っちゅーて。あのな、わしの家の近くの公園にいなくなったと書いたあった日から寄ってきよるんや。いっぺん見に来たってくれへんか。おそらく間違いないとおもうわ!!」
僕と僕の母ちゃんは、ブーが見つかったと大はしゃぎで家の用事も全部すっぽかして自転車でやく10分の現場へ向かった。
「あーこんにちは☆西村さん?あれやあれ。あの猫やねん。ちゃうか??」
「そーかー・・・残念やった。こいつやおもてんけどなぁ・・・ごめんなぁ。もしこいつでよかったらもーたってくれへんか?なつっこいし、きれいやし、おとなしいし。うち猫4つおるからな、かみさんが怒ってあかんいいよんねん。まぁ気が向いたらこうたってな・・・・。」
確かに灰色でふわふわした長毛の猫。
でも、すべてが違っていた。
なんだか憎たらしい感じの眼。
俺になんか用か?ってくらいのツンとした感じ。
ボス猫さながらの風格。
でも、きっとそいつは捨てられたんだ。
その日はうちに帰ったんだが、僕はどうしてもあの猫が欲しくなった。
理由なんかなかったけど。
とっても幸せになれるような気がした。
僕は内緒で、次の日大きな鞄を持って、連れて帰りに行った。
鞄の中でもぞもぞ動く彼を、必死で右手で押さえながら帰った。
ようこそ、西村家へ☆
平成13年、12月3日の夕方のことであった。
続く。
|