|
ブログの更新を怠っているうちに、すっかり秋になってしまいました。
さて、秋の夜に聴きたい一枚のアルバムがあります。
それは、グルダがシューベルトの即興曲集/楽興の時を演奏しているアルバムです。
このアルバムは、グルダが亡くなる1年ほど前に自宅のスタジオで録音されました。
「これらの作品を録音しながら、私は幾度も涙をこぼしそうになり、
無事終わった時は命を落とさずに済んだことに安堵した。」
グルダは、このアルバムについて、このように語っています。
ここで聴かれる音は、優しく静かに僕を包んでくれます。
グルダが、一人ピアノにむかって、シューベルトと語り合っている。
まるで、僕がその場に居合わせているような、そんな気持ちになるアルバムです。
晩年のグルダがシューベルトとがそうしたのと同じように、死を見つめ、死と対話し、
でも決して溺れることなく、静謐な時間を過ごしてゆきます。ここではダイナミックな
グルダは陰をひそめ、ただただ美しい音が語られるだけです。
僕は目を閉じてその音に包まれながら、心をゆっくりとひたすことができます。
しかし、このアルバムが他のクラシックピアニストのCDと一線を画して、やっぱりグルダ
らしいものになっているのは、最後の自作自演があるからでしょう。
一見シューベルトとは何の関係もないように思いますが、通して聴いてみればわかるのです。
この曲もシューベルトもグルダの中では強く精神的に結びついていて、必要不可欠である、と。
「ゴロヴィンの森の物語」と題されたこの曲は、J.シュトラウスへのオマージュ
とされていますが、シュトラウスだけでなく、ベートーヴェンの悲壮や運命が引用される
など楽しくもロマンチックな音楽です。
そして、曲の最後ではグルダがつぶやくように歌っています。
「おいらがいつか死んだら」
「ウィーン人たちは 喪に服しておいらの墓の前に集まるだろう、
そして“彼は死んでしまった、本当に陽気な男だった”って言うだろう」
このアルバムは、グルダからの本当に素敵なさよならの挨拶です。
|
グルダの魅力が沢山詰まったアルバムですね。シューベルトのピアノも素晴しいけれど、やはりこのCDの聴かせどころは「ゴロヴィンの森の物語」でしょう。ピアノと彼の語りでここまで惹きつけるのですから、やはりグルダは偉大なピアニストだったのですね。TBさせて頂きます。
2006/9/17(日) 午前 0:08
junozaさん、コメント&トラックバック有り難うございます。 僕は今は亡きグルダの、全ての音楽を平等に愛する姿勢に本当にショックを受け、自身のこれからの演奏活動にも影響を及ぼしそうな勢いです。
2006/9/17(日) 午前 0:53