|
立派な人とは居るもので御座いまして、
そういう方の多くは、自身にとても厳しい方でらっしゃいます。
また、
立派な方が必ずしも幸せそうに暮らしてらっしゃるかと言えば
これは否、で御座いまして、
立派になるしかなかった、という人生を送ってらっしゃる方も、
居るもので御座います。
立派になるにはいろいろなものを犠牲にしなければならないという考え方が
その下地になっているのではないかと思われます。
じゃあ何故立派にならなければならないの?
そもそも、立派ってどういう事なの?
その答えを人から与えられている限りは、
立派にはなれても、
幸せにはなれないと思います。
どちらも得る。
そのためにどちらも追う。
その姿が、
本来の在るべき姿と言いますか、
人が自然に求める所、と思います。
どちらか一方だけを求めようとすることこそ、
「誰か」の意図が絡んだ、歪められた姿のように思います。
里仁第四
五.
子曰、富與貴、是人之所欲也、不以其道得之、不處也、貧與賤、是人之所惡也、不以其道得之、不去也、君子去仁、惡乎成名、君子無終食之間違仁、造次必於是、巓沛必於是、
子曰く、富と貴きとは、是れ人の欲する所なり。其の道を以てこれを得ざれば、處(お)らざるなり。貧しきと賤しきとは、是れ人の惡(にく)む所なり。其の道を以てこれを得ざれば、去らざるなり。君子、仁を去りて惡(いず)くにか名を成さん。君子は食を終うる間にも仁に違うこと無し。造次にも必ず是(ここ)に於いてし、巓沛(てんばい)にも必ず是に於いてす。
先生(孔子)は言われました。
「富と貴い身分とは、誰しもが求めるものです。
然し、その道(それ相応の方法、勤勉や勤労、相応しい人格など)を以て得たのでなければ、
そこには長く居れません。
貧しさと賤しさとは、誰しもが嫌がるものです。
然し、その道(それ相応の有態、怠惰や下劣な人格)を以て得たのでなければ、
(それをも受け入れ)そこから去ろうとはしないでしょう。
君子は仁を離れてどうして名を成すことができましょうか。
君子とは食事をしている間にも仁に違うことはなく、
造次(急変の時)にも必ず此処に居り、
巓沛(ひっくり返ったような、まさかの時)にも必ず此処から離れることはありません」
(おまけ)
造次巓沛(ぞうじてんばい)で四字熟語になっております。
造次は慌しい様子、
巓沛(てんばい)は躓き、ひっくり返ること。
思いも掛けない時、あっと言う間、などの意で使われます。
(俺なりの解釈での)解説
たまには生き急ぐぜー!
えっと、
思うて学ばざれば則ち危うしと申します。
幾ら自分なりに考えても、周りを見渡さなければそれは独善に陥る危険を孕むもので御座います。
自分なりに考えるという行為はとても立派なことで御座います。
それを独善から救う手立ては、
学ぶこと。
他と比較すること。
よく見聞きして先ず実情を把握すること。
詰まる所の、
観察で御座います。
書物からでもいいですし、
人様の在り様からでもいいですし、
テレビやネットからでも情報を集めることは出来ると思われます。
上の一文は様々な実情を観察した結果孔子が把握なさった現実であって、
孔子自身の思う所と一致しているかと言えば、
否、と思います。
つまり、富と貴きは誰しもが欲しがるものというのは多くの観察から得た情報であり、
孔子自身もそうであったかと言うと、それは違うと思います。
何故ここに拘るかと申しますと、
もし、
「みんなそうだし、私もそうだ」
と訳してしまいますと、
富と身分を求める在り様を、積極的に認めるニュアンスが強くなるからで御座います。
肯定の意味合いが強くなってしまうからで御座います。
君子は食飽かんことを求める事無く、居安からんことを求める事無しと申します。
また、
最も愛した弟子、顔回は富と貴きからかけ離れた人物で御座いました。
孔子は富と身分を追う姿勢に、
明らかに否定的であったと思われます。
無論、
「追ってはダメ」
というコトではないですよ。
それよりも先に、
追うべきものが在る筈だと仰っているのだと思います。
最も優先すべきことではないと仰っているのだと思われます。
だから、次の文、
貧しきと賤しきは誰しもが嫌がることだが、
その道を以て得たのでなければ(怠惰や下劣な人格が原因でそうなったのでなければ)、
それを避けようとはしない、
と、
こうなります。
まさに顔回で御座います。
なんかこう言うとモロに
「反経世!」
を謳っているように勘違いされそうなので追記いたしますが、
顔回に勝るとも劣らぬ有名なお弟子さん、
子貢
についてで御座いますけども、
この方は富と貴きとを両方手にした方で御座います。
富んでいても礼を重んじた立派な方で御座いまして、
長く其処(富と貴き)に居た方で御座います。
顔回は長く其処(貧しきと賤しき)に居た方で御座います。
どちらも君子で御座います。
|