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注意:この記事は長い上に文字ばかりです。続きをどんどん書きます。宮崎駿の映画『風立ちぬ』への理解を皆さまの共有できれば幸いです。

… … …

『結局、アニメ「風立ちぬ」を映画館で観てしまったんだね』

「もう宮崎駿のアニメは『千と千尋の神隠し』で観るのを辞めようと思ったけれど、結局『ハウルの動く城』も『崖の上のポニョ』もDVDで観てしまった(笑)。宮崎駿のアニメはあんまり好きじゃないワタシだけど、それでも観てしまうのは、どこか隠れた魅力があるからでしょう(笑)」

『ひとことで言えばどんな話なの?』


昔むかし、二郎くんという若者がいた。夢は飛行機作り。貧しく力もない当時の日本で民間会社に勤めながら国家機密である戦闘機作りに没頭する。戦闘機の試作機が成功したその日のその時、二郎くんに献身的に尽くした愛妻の菜穂子さんは結核で死んでしまう。二郎くんの戦闘機は戦争で活躍するが日本は敗戦する。あの世とこの世の境目のような世界で亡き妻・菜穂子と再会した二郎くんは妻の「生きて」の言葉に励まされる。
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『長いよ。一行にまとめろよ』

「まとめにくい話なのよ。『零戦開発秘話』でもないし、『戦闘機を作らざる得ない理系インテリの苦悩と葛藤のドラマ』でもないし、だからと言って『ノンポリの理系エリートが知らず知らずのうちに戦争協力者になる不条理のドラマ』でもないし、『よい戦闘機の開発が日本の勝利と信じる男のドラマ』でもないし…」

『評論家もそういうね。これと言った目的のない、観ていてどこまで現実か夢か分からない映画だって』

「そういう映画なので、かなり予習をして観に行きました。これを書いているのも、今から『風立ちぬ』を観る人に役に立ちたいという思いからです」

… 薄情者の歪な愛がテーマの映画??? …

『印象に残った場面は?』

「二郎くんの作った戦闘機の試作機が完成して、二郎くんは菜穂子さんの待つ黒川邸の離れに帰り、結核で寝たきりの菜穂子さんの布団の横に倒れこむように眠る。菜穂子さんは眠っている二郎くんのメガネを外す。それから話が飛んで、菜穂子さんは台所で女中と一緒に働いている黒川夫人に『今日は調子がいいので散歩に行きます。部屋は散らかったままなので後で片づけますので入らないで下さい』と挨拶をする。黒川夫人は菜穂子さんの方を見もしない。次の場面で道路を歩いている菜穂子さんを二郎くんの妹である加代さんがバスの中から発見する。驚く加代さん。黒川邸に着いた加代さんは菜穂子さんのことを黒川夫人に話す。黒川夫人は『(結核療養所のある)山へ帰ったのよ』『好きな人にキレイな所だけ見せたかったのよ』『追ってはだめ』と止める」

『それで加代さんが二郎くんと菜穂子さんが暮らしていた黒川邸の離れの部屋に入ると部屋が片付いていて、菜穂子さんの手紙が置いてあった。一方の二郎くんは零戦の試作機をいよいよ飛ばす。試作機は飛ぶが二郎くんは試作機が飛んだ瞬間、虫の知らせみたいなものがあって山のほうを見る…そのまま何かに憑りつかれたように茫然としたままの二郎くん…万歳をするパイロットや会社の仲間達…と、物語は続くんだね。菜穂子さんは死んだみたいだけど、いったい何時、どこで死んだの?』

「二郎くんが朝帰りをして菜穂子さんの布団の中に眠り込んだ日から二日後のこと。二郎くんは『後は牛で飛行機を飛行場に運ぶだけ』と言っている。別のセリフで二郎くんは、自分の働く三菱名古屋工場から名古屋の飛行場まで飛行機を運ぶのに牛を使って二日がかりだと言っている」

『飛行機みたいな最先端の乗物を、牛を使って運ぶなんて、ちょっと笑ってしまうような話だな。これは歴史的な事実らしいけど』

「日本じゃ、戦後になっても新聞社に無線機がなくて、伝書鳩で新聞記事を運んでいた(笑)」

『二日か…描かれなかったドラマ部分があったんだな』

「部屋を片付けたのは二郎くん。国家機密がらみだし、几帳面な性格なので仕事が終わったら設計図や書き物を全て自分の手で片づけたわけ」

『黒川夫人は何で菜穂子さんが結核療養所のある山へ帰ったと分かったんだろ?』

「家の中に病人がいると、それを看ている人は神経質になるからね。身体の弱った菜穂子さんが布団を自分で上げたり何か書き物をしているのをみているから、きっとそれで気づいたのだと思う」

『それでいつ死んだの?』

「たぶん二郎くんの飛行機が飛んだ瞬間。場所は結核療養所じゃなくて、その途中の道。たぶん汽車か何かの中で喀血か排痰して、それが咽喉に詰まって死んだんだと思う」

『え〜!!! 結核療養所じゃないの?』

「飛行機の試作機が完成したことを東京の女子医学校にいる妹の加代さんに二郎さんが知らせた…それで加代さんがそのお祝いのために東京からわざわざ名古屋の二郎くんの所へやって着た。もちろん二郎くんは国家機密に関わる仕事をしているから具体的には加代さんにも黒川夫人にも自分の仕事のことを話していないけれど、それでも『完成した』ことだけは話した。黒川夫人が台所で働いていたのは、完成のお祝いのためのお寿司を作っていたのだと思う」

『あの場面も分かりにくいなあ。黒川夫人っていいところの奥さんなのに、何か家内工場で働いているみたいだったから、観ているとき「あれっ?」と思ったが』

「全体に分かりにくく作ってあるのがこの映画の特徴であり個性なの」

… 謎のラスト! 実は自殺を考えていた二郎くん? …

『それで画面はたくさんの飛行機がキレイな飛行機雲を残して飛んで画面から消えて、「ああ、零戦が活躍したんだな」と思ってみていると、飛行機雲の形がだんだん緩んで画面の下の方は東京大空襲みたいな絵になってドキリとする。そしてたくさんの飛行機の残骸の画面になって、二郎くんはそこを歩いていく…』

「そしてカプローニ伯爵が最初に登場したときと同じ姿で登場し、『日本の少年よ』と二郎くんに呼びかける。二郎くんは少し歳をとってやつれた姿になっている。そこへ洋服を着て傘をさした姿の菜穂子さんが現れて二郎くんに『生きて』という」

『あそこの画面も分かりにくいね。事前にネタバレで調べたからあのラストを何とか受け入れることが出来たけど、何の予備知識もなしであの画面を観ると「これで終わり???」みたいになっただろな』

「ワタシが思うに二郎くんが居た場所は、天国と地獄、あの世とこの世の境目みたいな場所…零戦作って日本が敗戦になったことで二郎くんは自殺を考えていたんじゃないかと」

『ええっ〜!!!』

「黒沢明だって、映画『トラ・トラ・トラ!』の企画が頓挫した時、うつ病になって自殺未遂したらしいから、二郎くんだって敗戦のショックで自殺を考えたとしても不思議ではない。…あくまで劇中の二郎くんの話であり、歴史上の人物である堀越二郎はどうだったか分からないけど」

『それで奥さんに「生きて」と言われて生きる道を選んだ二郎くん…そういう映画なのか!』

「まあ、ワタシの解釈に過ぎないけれどね」

(続きます)

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