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山崎正和さんが語る「平成」 日本は初めて文化国家になった

3/21(木) 14:00配信

産経新聞

 まもなく終わる平成の時代は、長い日本の歴史において、どんな時代だったのか。「日本人は何もしなかったように見えるけど、非常に大きなことをした」と話すのは、評論家で劇作家の山崎正和さん(84)だ。若手を育成し、サントリー文化財団の設立など文化の振興にも力を入れ、自ら「4足のわらじを履いてきた」と表現する山崎さんは半世紀以上、常に思考し書き続けてきた。そんな山崎さんが見る「平成」は、日本が文化文明を輸出する「文化国家」に変身を遂げた時代だと説く。(川西健士郎)

 日本人が非常に大きなことをしたのが、平成の時代です。たとえば、日本人がお互いを助け合った。神戸、東北、熊本で大地震が起こり、多くの水害もあった。そこで日本人は相互援助をやった。

 一般の人が、自分と関係のないところまで行って災害復旧の援助をやっている。それまでは、助け合うとしても地縁、血縁の中。それとは無関係に相互協力を始めたという意味で、日本史上の画期的な時代です。はじめて“国民”というものがうまれたのかもしれない。

 経済は確かに沈滞したけれど、その中で比較的、うまく生きている。失業者は少ないし、貧富の差もあまり開かなかった。政治的には揺れ動きましたけどね。でも日本はどの政党が天下をとっても壊れない。極端な政策や独裁政党は出ない。きわめて安定した国であることを証明したのです。

 そして日本は初めての文化国家になっていきました。マンガの輸出に始まり、いろんな形で文化を輸出した。サッカーの試合では、日本の応援席だけ試合がすんだらきれいに掃除され、外国人がびっくり。日本人はごく普通にやっているだけですが。すると世界で一番公共心のある国民、となった。パリで在住日本人が道路を掃除しだしたら、パリの人が街を掃除するようになった。日本は文化文明を輸出できる国になりました。

 今の日本は、江戸時代に似ているでしょうね。江戸時代は西も東も、庶民自身が楽しむ文化を創った。国力が随分あったのに、あまり偉大なものを作ろうとも、外国に攻めていこうとも考えなかった。自ら好きなもの、愛するものを、楽しんでいればそれでいい。たとえばゴミが落ちていれば拾いたくなる、そういう感覚を大切にしていればいい時代です。

 日本は経済力で米国や中国と戦う国ではなくなるでしょう。環境と資源を大切にする国民です。これを大切にしてたらそんなに経済は伸びない。俗に言う定常型社会、つまり成長がないまま、しかし安定する社会が実現できるかもしれない。国力が、力や金ではなく、品格とか文化とかに移っていくのではないか。それが私の見方です。

     ◇

 やまざき・まさかず 劇作家、評論家。昭和9年京都市生まれ。京都大学大学院美学美術史学専攻博士課程修了。関西大、大阪大などの教授を歴任。『世阿彌』『柔らかい個人主義の誕生』など著書多数。昨年、文化勲章受章。

最終更新:3/21(木) 14:00
産経新聞

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