小山公認会計士税理士事務所・文人を目指す小山登の独白

名を成すは常に窮苦の日々にあり・・・今の精一杯を・・・

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「死の島」ニューギニア

 極限のなかの人間

 尾川正二 著 

      からの引用です・・・



霖雨、泥濘、あがけばあがくほど、底知れぬ泥沼にはまりこんでゆく

先行部隊は、乏しい現地物資を瞬く間に食い尽くしてしまった

殿(しんがり)のわれわれは、わずかにその食い残しを漁るほかはない

一週間、十日とたつにしたがって、行き倒れの兵隊の数もふえてゆく

(中略)

次第に、この世ならぬ地獄絵図に変わってくる

すでに陣地を捨てたとき、体力の消耗は限界にきていた

峰を伝い、尾根を這う

体力の限界にきているものにとって、それはまさに「死の行軍」だった

路傍に伏して呻吟するもの、靴あとにたまった泥水をすすっているもの

空(うつ)ろに見開いた眼には、もはや何も映っていないのだ

全山、屍臭に蔽われる

すでに白骨となり、衣類のわずかにまつわりついた死体

腐敗してふくれ上がった死体に一面に蠅が群れ、人の気配にわーんと飛び立つ

ぎらぎらと銀色にうごめくもの、それは蛆なのだ

ごうごうと唸りを立てる敗走の流れに、すべては黙殺され、遺棄された

(中略)

「元気を出せ、さあがんばるんだ、もうちょっとだ」と励ます兵も疲れ切っている

病兵は、声を上げて号泣し始めた「いらぬことをするな、頼む、殺してくれ」

と叫んでぶっ倒れる

戦友たちも声をのんで、見守るしかない

(中略)

将校が、動けなくなった兵の枕もとに正座して、

「お前うちでは、みんな陰膳をすえて、お前を待っているじゃないか、

                       さあ、頼むから起きてくれ」

と言って、涙を拭った

静かな、温かい声だった

何とかして病兵を救い出そうと、叱ったり、すかしたりしている戦友、

起き上がっては倒れ

また起き上がろうともがく兵、こうして果てしない転進がつづく

(中略)

これが「ガリの転進」と呼ばれる酸臭を極めた大敗走なのである

史上、もっとも悲惨な行軍の一つとして数え上げられるものではなかったであろうか

(中略)

埋没されたまま、実相を伝えるものもいないのだ

(中略)

フィンシーハーフェンの一戦から、ガリの転進、フェニステル山系縦走と、わずか三、四ヶ月のうちに

中隊総員の90%にならんとする二百余名を失ってしまっていた


追記・・・

行軍のたびに、戦闘のたびに、おびただしい兵員が姿を消していった、それは目の荒い篩い(ふるい)にかけるようなものだった

動くたびに、ばたばたと落脱してゆき、かろうじて網の目にとまったものも、かすかな衝撃にもたえられず、もろくも転落していった

(中略)

何かをさぐるように手を伸ばしながら「助けてくださーい、助けてくださーい」と、二声叫んで、大腸炎で狂い死にした少年兵の最期は、涙に濡れて、哀切をきわめたものだった


(中略)

ムッシュ島に収容された七十九連隊の総員は 87名である

屯営出発当時の一個連隊 4,320名、それに補充員 800名を加えると、生き延びたものは、二パーセントにも満たなかったのだ

以上は、東部ニューギニア戦線の三年間(昭和18年1月〜昭和21年1月)の記録(著作)の抜粋である


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以下は私の文章です

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「杖捨ての山」


幾千の

杖すてて

絶壁の山

蔦にすがる

敗残兵

その力よわくして



(杖にすがって逃げる敗残兵たち、目の前に断崖絶壁の山、兵は杖を捨てて弱った体で絶壁に向かう、捨てられた杖の数は数千になり山を築いていた・・・)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「嗚咽」

ぬかるみの

道ばたに

殺してくれと

すがる兵(傷病兵)

耳ふさぎ

先急ぐ

敗残兵

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「追悼」

荼毘にふされることもなく

異国の地にて草むすは

つわものたちの

みたまにて

いずこに想いを

馳せるのか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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閉じる コメント(12)

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よくわかります。私の父の兄も、このパプアニューギニア戦で
敵の敵弾じゃなくて死にました。骨さえも帰ってきてません。
どれだけ凄い惨状だったかも私の父は知ってて、怒りまくってました
あんな何もないジャングルに日本兵をいかせおって。
国の戦略がだめだった。指揮官がわるい、馬鹿じゃないのかって
いってました。唯一の日本からの食料船2隻もアメリカからの攻撃で
沈没しましたしね。 今の若い人がこのことにも関心もってもらいたいです。

2008/9/28(日) 午後 5:37 おかみ 返信する

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ひどいものですよ

おかみ

連隊司令部の本隊通過後に、橋を落とすのですよ

敗残の兵がまだ追いすがって、歩いてくるのを

知っていながら「作戦」と言って、橋を落とす

ひどいことです・・・

まさに、

「埋没されたまま、実相を伝えるものもいないのだ」

少しでも、事実を後世に残さなくてはなりません

戦没者の皆様のご冥福を祈りつつ

2008/9/28(日) 午後 5:45 公認会計士 小山登 返信する

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有難う御座います。人の世のものとも思えない惨状、
こんな事が事実 あったのですね。勉強不足の
自分がはずかしいです。年ばかり食っていながら。
小山様のお陰で、興味を持ち、学ばせていただきます。
未熟な私は、トラックバックってなんだろうと思っていました。
これについても少し賢くなりました。

2008/10/10(金) 午後 8:48 rosemary 返信する

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この本のご著者、尾川正二先生は

生還率2%の連隊の生き残りです

関西学院大学の教授から最後は梅花短大の教授を歴任された方です・・・

キリスト教系の大学ですね

この方の著書の二冊目を読みかかってます

また、この方の文章に関する著作も

一読に値するものです・・・

本当に立派な先生だと思います

2008/10/10(金) 午後 9:01 公認会計士 小山登 返信する

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私の義兄の父もニュギニア戦線で戦死しました、その父親を見た最後の戦友の話によると戦友はジャングルから出て帰国船に乗るところで父親とすれ違ったそうです。「今から山に入るのか大変だなあ」「兵隊は命令で動く、じゃあ行ってくる」これが最後の言葉でした、餓島と呼ばれていたソロモンとニューギニア、兵は死ぬために行ったようなものでした。冥福をささげます。

2008/10/11(土) 午後 3:35 lamerfontene 返信する

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本当に悲惨な戦場、退却の行軍だったようですね

生還率2%とか7%と言われています

今も、遺骨は野ざらしになって、土に埋もれているでしょうが・・・

亡くなられた将兵の皆様のご冥福をお祈りいたします・・・

2008/10/11(土) 午後 4:10 公認会計士 小山登 返信する

先ほどはトラバありがとうございました。
トラバの意味と使い方がイマイチわかっていないのですが、よろしくお願い致します。

2008/10/11(土) 午後 9:27 れい 返信する

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レイ さん

おはようございます

こちらこそよろしくお願いいたします

2008/10/12(日) 午前 8:29 公認会計士 小山登 返信する

トラックバックありがとうございます。実は母方の遠い親戚で、ニューギニアに行ったまま帰ってこられなかった方がいます。
そういうみなさんの犠牲の上に、今の日本があることを忘れないようにと思います。
また、二度とこのような無責任かつ非人間的なことが行われないことを強く祈っております。

2008/10/13(月) 午前 8:03 [ ヒゲおやじ ] 返信する

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この本の著者 尾川正二さんの別の著作「東部ニューギニア戦線」によれば・・・ニューギニアの各戦場が・・・
「初め、敵を追い散らし、深追いしてゆくうちに、補給が断たれ孤立してゆく」ということのくり返しであったとのことです

部隊によっては全滅・・・平均して生還率2〜7%だと言われています

また、太平洋戦争で一番多くの兵員が動員されたのがニューギニアの戦いであったにもかかわらず、国民にはあまり知らされていないようです

無念の戦死・戦病死・餓死・凍死をされた多くの将兵の皆様のご冥福をお祈りしたいと思います

2008/10/13(月) 午前 8:26 公認会計士 小山登 返信する

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最近、祖母の戸籍謄本を取り寄せた際、祖母の従兄弟がパプアニューギニアで昭和18年1月に戦死されてたことを知り、パプアニューギニア戦線について調べるようになり、ここにたどり着きました。
もっとパプアニューギニアのことについて知りたいと思います。

2009/8/31(月) 午後 9:23 [ らっこ☆ ] 返信する

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rokkoさん

ニューギニアの戦線は誠に筆舌に尽くせない・・・

まさに壮絶な戦線であったようです・・・

戦争に巻き込まれ幾多の人命が失われました・・・

誠に残酷で痛惜の想い絶えることはありません・・・

決して忘れ去ってはならないことです

2009/9/1(火) 午前 0:42 公認会計士 小山登 返信する

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