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拝啓、自己中の皮かむり様
今に始まったことではなく、ワタシはどこにいても「自己中だ!」と非難されることがしばしばである。
特にPTAなる組織のボランティア活動に参加しないでいると、逆恨み交じりの熱い眼差しで「勝手なやつ」と言う
視線を向けられる。が、陰でならともかく面と向かってそう言わず、ちょっとした嫌味交じりにあくまで暑い熱い視
線をこちらに投げかけてくるのがキミらの慣例だ。本能的に安全第一のキミらは自らトラブルの発端になるような
こと避けたいのだろうけど、やっかみ交じりの自己中な動機を相手に見透かされたのでは「自己中だ!」との非
難は当の自分にも返ってくるという恐れからか、一層悶々としているようにも見える。(こうした思考を持たぬ人は
何のためらいもなくワタシを攻撃してくるが)
このことから察するに、キミらを苦しめているものが私自身の行動と言うよりは、むしろ君たちの内面を巣食って
いる思考様式にあると思われる。ワタシはそれを自己の仮性包茎化のようなもんだと思っている、余計なお
世話だろうが、そのことについて懇切丁寧に説明して差し上げようと思う。
聞いてくれ。まずキミらは、ボランティアにいそしむ自分たちは決して自己中ではない、いやむしろそうであっては
ならないという前提に立って、話を進められている。
でも、これはおかしくないか?キミたちは自己中な動機なしにそんなことするだろうか?
もし仮に、キミたちのだれか一人がワタシのようにボランティア活動を完全無視して家で寝酒をしてたとしよう。
もちろんみんなそのことを知っている。さてこの間にキミは本当に心安らかな時間を過ごせるだろうか?
普段自分が誰かとするひそひそ話がどこからか聞こえてきやしないだろうか。
それはキミにとって耐え難い苦痛の時間と、耐え難い人間関係のしこりを残すことにしかならず、一時の享楽を
得る対価としてはあまりにも割に合わない。そう、だから君はボランティア活動に心ならずとも参加するわけだ。
体はきつくとも、心の平安は得られるので、対価としては十分見合うだろうから。
また違うキミのケースを考えてみよう、キミは本当にこのボランティア活動にやりがいを感じている。いい汗をか
いてみんなと談笑し、親として、地域の一員として、責任を果たしており、作業後の達成感もすがすがしい。
キミはやっかみの眼差しをワタシに向けることもない。
どうやら本気で充実しているようだ。少なくともキミには、自己の充足か従属かわからなくなってしまった感はな
い。キミは作業することに満足している。ワタシとは対角線上の位置での満足だが、立場こそ違えど、寝酒で
やり過ごそうとするワタシの場合の動機とさしたる違いはない。なにはともあれまず第一に自
分の満足を得ることがが中心的動機であることに変わりはないのだから。
ただキミとワタシには共通点があることだけ付け加えておこう。
それは自己の満足を得るうえで、もっともらしいお題目を必要としないことだ。それは同時に反対者に対して自己
中であるとか自分勝手であるといった出来合いのレッテルも必要としないという事だ。
ワタシにとってもキミにとっても不快なものは単に不快なだけで、それ以上でも以下でもない。
してみると、キミは自己中のかわかむりではないらしい。
もしキミがファシストになったら本物のファシストになるだろう。
そんなキミにとって心地よいPTAが、ワタシには不快なだけだ。
それから、自己中であることのワタシなりの心得を書き留めておきたいと思う。
ワタシは定置網漁師で生計を立てているから、身近なところから話すと、ワタシは毎日何十トンもの魚を殺して
生きている。思うに、どんなきれいごとが並んでもワタシが魚を殺している事実は変わらない。
なんぼ子供に「命をくれたお魚に感謝して食べなさい」とか「残さず食べろ!」とお題目を唱えても殺した魚が返っ
てくるはずもない。殺生を美化しようとする行為は当人の罪の意識に根差しているが、もし漁師
が罪の意識に囚われたならノイローゼになってしまうだろう。魚を殺すことに罪の意識などみじんも感じないから
毎日健康でいられる漁師の生き方を道徳的には肯定することはできない。されど、この道徳こそ人間社会の鉄
壁のお題目であるわけで、この場合、漁師は道徳の彼岸でのみ自己中心的に健康でいられるのも、まぎれもな
い事実である。
そしてワタシが言いたいのは、誰であれ、程度の差こそあれ、善悪の彼岸から自己中心的に得られる健康があ
るという事だ。だから、ワタシは努めて自己をむき出しにし、皮がかむらないように、ひたすら鋭敏でありたい
と思う。そうしないとどれがだれにとっての健康かわからなくなるからだ。
自己中の皮かむり様におかれましては、まず何よりご自愛ください。
乱筆にて失礼
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