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問題の種

もし、自分が生まれてきたところが刑務所であったなら、そして自分のみならず何世代も昔から変わらずすべての人々が刑務所の中でのみ暮らしていたなら、おそらくそこでの苦しい生活は全て習慣となり、多くの人は罰を受けていることにさえ気づかず、自分たちを逃げられないようにしている高い塀は自分たちを守ってくれている防壁と思い、自分の身分が囚人であることも知らずに人々は死んでゆくだろう。

刑務所に似たシステムはいっぱいある。
もちろん我々が生まれる前からある。
で、今日は息子の中学校の体育大会で、俺は昼食を食べに行った。
みんなでレジャーシートを広げ、家族ごとに飯を食う、会場に大きく陣取る大家族、隅の方で申し訳なさそうな家族、父親不在の家庭、母親不在の家庭・・・。飯も食い終わり学校を出て、そして考える。

学校での家族とは何であろう?
結局、国家の最小単位としてのコミュニティということなんだろうか。
明治以降、この国が近代化してゆくうえで今のような家族観が確定していったのだけれど、それ以前のこの国の村落共同体と言うのは夜這いが当たり前で、そもそも誰が誰の子を育てているかも定かでないほど家族と言うのはアバウトなもんであったという。(赤松啓介・非常民の民俗学)こうした社会では親のいない子供が親がいないことを理由に周りから疎外感を感じることは、少なくとも今よりはなかったに違いない。

人は言葉によって傷つくのはよく知られているけど、それ以上に無言によっても十分傷つくもんである。
無言の同調圧力が人を傷つけている様子を見たことない人は、人生を厳しく見たことがない人だ。
仮にその人に深い思いやりがあったとしても、折角のその思いやりを振り向けられる範囲はごくかぎられたところにとどまってしまう事だろう。

人々の同調圧力が、その人々自体を圧殺してしまう例は過去にも現在にも沢山ある。
例えば、福島の原発事故以降、汚染地帯に住む人たちの間に作用する同調圧力などは確実に当人たちを死に至らせる類のものだし、過去の大戦におけるファシズムの蔓延とその結果は、同調圧力による集団自家中毒死であったとも考えられる。

とりあえず、こうした問題の種を、ごく身近なところから、どれだけ拾い上げる事が出来るだろうか。








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