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《事実》の錨を。

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 ただ、現在住んでいる地域にずっと住み続けたいか尋ねる質問には、市内データをまとめると「住みたい」46.9%、「できれば住みたい」30.7%、「できれば移りたい」16.6%、「移りたい」5.7%となっており(N=2644)、先の「できれば避難したい」と「いまも思っている」3割の内の濃淡は、ここにその反映が感じられもします。
 また、福島市内で放射線が比較的低い地域に行政等が住宅を整備した場合、市内データをまとめるとそこに「住みたい」25.6%、「住みたくない」32.0%、「どちらともいえない」42.4%で(N=2634)、市外データは各20.6%、43.8%、35.6%となっており(N=281)、有意に差は見られ(p=0.0003)、市内でのほうが「住みたくない」は低く(p=0.0001)、「どちらとも〜」は高い(p=0.0276)水準の割合にはあるものの、実は「住みたい」については市内外で同程度でした(p=0.0671)。「出る/残る」といった側面ばかりが着目されがちな気がしますが、この質問を受けた市外避難者の2割もの人々が「住みたい」。これは非常に重い、大きな数字ではないでしょうか。


 ――避難をした人々の側のほうがより不安が強く、しかもより避難への思いも強いという現状では、避難者にとって過酷であるのはもちろん、まだ避難をしておらず避難を望む人々にとっても、避難への心的ハードルを余計に高めてしまっていると思います。
 避難を積極的に肯定する視点の言説の多くが、非常に高い放射能リスク評価を掲げて来たことに、やはり再考が促されているよう感じられてなりません。
 もっとも他の『報告書』データには、地域でのコミュニケーション環境体感がより強く好転したのはむしろ避難者であると確認できる箇所もあります。避難がネガティブな印象で塗り固められたような視点の言説にもまた、軌道修正が要されるでしょう。また裾野まで含めた避難を望む層がここまで厚ければ、「殆んど誰もが本当は避難したがっている」とイメージした言説が後を絶たないのも無理からぬこと……
 本当に、色々考えさせられる『報告書』なんです。

 なお、これはあくまで福島市での調査結果です。ここも頭の中で、再度強調しておいたほうが良い点かも知れません。

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ありがとうございます。印刷してゆっくり読むなどと思っていたのにプリンター不具合でとん挫中です。考察リンクさせていただきます。

避難を肯定未だにし続ける論調は多いです。でもこの調査が、報道だけから見るとそれを後押ししているだけに見え、それを福島市や福大がどう思っているのか、知りたいです。こういう数値は切り口が大事なのですよね・・

2012/9/29(土) 午後 2:46 [ K ]

K様

そうなんです、データは切り口が大事…と申しますか耳をよく澄ますのが大事。数字のひとり歩きや、グラフのインパクト等に警戒するのが大事かと。
もし自分が回答者だったら?と、質問文を眺めてみる作業も大事かも知れません。例えば外部・内部被曝への不安にしても、意識の重心が「現時点の」被曝状況にあるか「事故直後の」それにあるかで、回答は結構変わって来るんじゃないかな、などと私は感じました。

それにしましても、これだけの市内回答者が「不安に軸足を置いている」のですから、「福島県では情報統制が敷かれていて、県民は安全デマに洗脳されていて…」といった説を発信して来られた方々には猛省頂きたい処ですよね。

ちょっと補足しておきたい情報がございましたので、以下もご覧頂きたく:

●市外回答者の避難時期は、2011年3月が19.0%、同4・5月が11.5%、同6〜8月が40.1%、同9月〜2012年2月が26.4%、同3月〜が3.0%となっており(N=269)、「避難したい人は既に殆んど避難している」とイメージした言説が聞かれ出すようになったのもまた無理からぬこと。
[続きます]

2012/9/30(日) 午前 0:08 [ ujiin ]

[続きです]
●地域でのコミュニケーション環境体感は、市外では市内に比べ「好転も悪化もしている」(市内のほうが「変化が弱い」)という感じ。
○「何でも本音で話せる相手がいない」と思ったことがあるか尋ねる質問に対し、市内データをまとめると「いまも思っている」14.1%、「以前はそう思ったが、いまは思っていない」8.1%、「思ったことはない」77.8%(N=2595)、市外データは各25.6%、8.5%、65.8%(N=281)。有意に差が見られ(p=0.0000)、市内でのほうが「いまも〜」が低く、「思ったことはない」が高い水準の割合にある(両残差p=0.0000)ため、ここからは市外での悪化しか窺われません。
○しかし、現在住んでいる地域での人と人とのつながりをどのくらい実感しているか尋ねる質問に対しては、市内データをまとめると「大いに実感している」16.9%、「ある程度実感している」51.5%、「あまり実感していない」23.9%、「実感していない」7.8%(N=2633)、市外データは各21.9%、33.6%、27.9%、16.6%(N=283)。[続きます]

2012/9/30(日) 午前 0:10 [ ujiin ]

[続きです]有意に差が見られ(p=0.0000)、市内でのほうが「大いに〜」が低く(p=0.0347)、「ある程度〜」が高く(p=0.0000)、「実感していない」が低い(p=0.0000)水準の割合にあるため、ここからは市外での強い好転も、悪化も窺われます。
○更に、現在住んでいる地域での人と人とのつながりがここ1年ほどで深まったと思うか尋ねる質問に対しては、市内データをまとめると「深まったと思う」15.7%、「かわらない」81.1%、「浅くなったと思う」3.2%(N=2645)、市外データは各27.9%、59.0%、13.1%(N=283)。有意に差が見られ(p=0.0000)、市内でのほうが「深まった〜」と「浅くなった〜」が低く、「かわらない」が高い水準の割合にある(全てp=0.0000)ため、ここからも市外での好転も悪化も窺われます。
○その割には『報告書』で描写される避難者像がちょっとネガティブに寄り過ぎかな?と感じたので、それで当拙記事中で敢えて指摘させて頂きました(ある種の社会的「異物」視のような扱いは、絶対に避けるべきかとも存じますので)。
[続きます]

2012/9/30(日) 午前 0:13 [ ujiin ]

[続きです]
●収入や暮らし向きについても同様の傾向は指摘可能ではあるものの、全体として見ればやはり「市内も厳しいが、市外のほうがより厳しい」。
○事故前と比べた仕事の収入を尋ねる質問に対しては、市内データをまとめると「増えた」2.5%、「かわらない」61.2%、「減った」33.1%、「収入がなくなった」3.1%(N=1648)、市外データは各8.1%、33.9%、43.0%、15.0%(N=186)。有意に差が見られ(p=0.0000)、市内でのほうが「増えた」が低く、「かわらない」が高く、残り2項目が低い水準の割合(「減った」のp=0.0071以外、全てp=0.0000)。
○事故前と比べた暮らし向きを尋ねる質問に対しては、市内データをまとめると「よくなった」0.5%、「かわらない」43.1%、「わるくなった」56.4%(N=2592)、市内データは各4.0%、22.4%、73.6%(N=277)。有意に差が見られ(p=0.0000)、市内でのほうが「よくなった」と「わるくなった」が低く、「かわらない」が高い水準の割合(全てp=0.0000)。
[続きます]

2012/9/30(日) 午前 0:14 [ ujiin ]

[続きです]
○つまり「命よりも経済と、復興バブルに沸く福島県民」といった戯画化も、余りに的外れ過ぎる単なる心ない妄想の産物に過ぎない、ということ…また一般論として避難は順風満帆な印象で語られるべきと見做し得る結果とは到底思えませんが、個別ケースとしてなら(非常に少ないけれども、市内に比べれば)無いわけではない、といった感じでしょうか。

貴記事にもございましたが、私も避難者間での放射能リスク評価が大変心配であります。避難を肯定する立場そのものを批判する気は私にはないのですが、でもせめて、避難したからには相対的な不安の緩和なら見込みやすくなる程度の言論状況づくりぐらいにはご配慮頂かないと…避難を内心望む人にさえ、現状では理想のハードルを上げ過ぎて実は諦めさせている(結果的に促進や応援どころか、妨害する構図に陥ってしまっている)懼れがあるよう存じました。
「東日本全滅」…ってほどではない、ぐらいが基本になるだけで、結構違って来る気がするのですが

実は大きな用事が入ってしまい、私も今後暫くはここまでで頓挫となりそうです
リンクを頂き誠に有難うございましたではまた

2012/9/30(日) 午前 0:18 [ ujiin ]

内緒様

貴重なコメを賜りましたにも拘わらず、大変お返事が遅れ、誠に申し訳ございませんでした。

全く同感させて頂きました。
ただ、「生きる=生かされている」という事実は非被災地も一緒のはずが…今度の衆院選で震災復旧・復興が話題にもされぬ辺り、「中央は地方に生かされている」「消費者は生産者に生かされている」といった側面への学びがどうやら日本社会全体としては殆んどまるで為されなかった(あるいやプライドや後ろめたさのために?忌避され切った)ことを示すかのようで、残念に思えてなりません。
都知事選でも、宇都宮さんの「東京からの脱原発」(おまけに災害廃棄物焼却は凍結するという「クリーン」さ、「意識の高」さ。URL:utsunomiyakenji.com/policy/)にせよ、猪瀬さんの福島県での火力発電所建設案(例えば、URL:togetter.com/li/404512)にせよ、まるでどこか遠くの宗主国からのような眼差し…恥ずかしくてなりません。

すみません、相当的外れなお返事でしたかも…私には余りに困った選挙となってしまいましたもので、どうぞ何卒ご寛赦を

2012/12/2(日) 午前 1:33 [ ujiin ]


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