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《事実》の錨を。

自然科学関連

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 以上の試論を要約しておくと、

●求職者m人、求人社n社という条件下で、各求職者がランダムにa社に応募し、各求人社がそこからランダムにb人採用する、という単純モデルが1回実現して生じる「応募先の全てが不採用となる人の割合」(の期待値?)は、求人倍率r=nb/mとおけば、(1−r/a)^aとなる。

●よって、各求職者が同時に2社以上への応募を行なうシナリオ下においては、例え求人倍率が1以上であり、かつ各求職者・求人社ともに全く「選り好み」をしない場合であっても、上の割合が0になる(求職者全員が1件以上の採用を得る)とは限らない。

●また、上の割合は応募が過熱する(aが増加する)につれ、e^(−r)という値へ向かい上昇して行く(1へ向かう、すなわち全員が採用ゼロという状況へ向かう、というわけではない)。


 もっとも現実には、各人各社の動きにかなり幅をもった時差があるわけですし、また採用枠の埋まらなかった求人社が追加の求人をかける、といった形で、採用ゼロとなる人の割合はより低い方へと調整されて行くのが通例です(もっとも、近年は採用枠が1度で埋まらなかったらそれまで、という企業も増えているそうですが……)。
 ただ、昨今の就活では多数の求人社に応募するのが当たり前となっていますので、よく語りたがられがちな求職側・求人側の「マインド」だけではなく、こうした数理的な要因にももっと注意を向けた議論や分析の態度が、「専門家」やメディアの方々には欲しいかな〜、と^^;


 あと他に、「求人倍率が1以上なら選り好みさえしなければ1件は採用される」という認識でビミョウに感じるのは、それが実は「各個人が全ての求人社に応募できる」という前提を内包してしまっている点。物理的な制約が忘却され過ぎ、というか……これは主に俄かエコノミスト的な労働力の捉え方によく見られる、悪いセカイ観だと思います。
 また応募の過熱に伴い、各求人社の受け付ける応募数も増大しますが、複数の採用を得た求職者の殆んどは或る1社以外からの採用を蹴りますので、つまりは求人社側もそのぶん、「(あんなに応募があったのに)採用枠が埋まらない」という被害を被り得ます。これも今時よく聞かれる、求職者側の「選り好み」性向という反感と偏見の一因かも(・・;
[【7-1】に続く]

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