らんどくなんでもかんでも 8

皆様、8年間本当にありがとうございました。

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冒頭、ひとりの若い、絵のモデル志望の女性がルノワールの屋敷を訪れます。
そこで彼女が見たものは、枯れ木のように老いたルノワールの姿でした。

晩年、ルノワールは重度のリウマチ性疾患を患っていました。
寝ているだけでも激痛が全身を走り、手は震え、
紐で手を縛らなければ、筆を持つことさえできない有り様。

もう既に画家の大家として名声を不動のものとしていたルノワール。
なぜそうまでして彼は最後まで 絵を描こうとしたのでしょうか。

映画を見て感じたのは、ルノワールにとって描くとは生きることそのものであり、
ひたすらに最高の美を見出すということ。
このことが彼の、まさに生きるということなのだと感じます。
だから彼から絵筆を奪うのは命を奪うことと同じであり、
彼は他人にとがめられても絵筆を手放そうとはしませんでした。

そして、なぜ彼は光にこだわったのでしょうか。

こちらの絵は、ルノワールの代表作のひとつですが、
 
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発表当時、この作品の女性の肌は、腐った肉のようだと酷評され、
世間から評価されることはありせんでした。
当時は不変な大理石のような白い肌が美の極地と考えられていたのです。

しかし、そうではないとルノワールは考えました。
光の中で幾重にも無限に色彩が変化する、そして、それはうつろいゆく、
一瞬のうちに消え去ってしまう、
そういうものに究極の美というものを見いだしたのです。
そして、それを追い求め、描き続けた。


この作品、全編を通じて、美しい風景に降りそそぐ光が本当に素晴らしい。
印象派の作品と光の関係は、切っても切れぬものですが、
まさにルノワールの絵画の中の光を、写し取ったかのような美しさが、
この映像にはあります。
この美しい、明るく降りそそぐ光を見るだけでもこの作品をみる価値があります。 

そして、なぜルノワールは裸婦にこだわったのか。

それは、無限に変化する、青や紫や金色の、無数の色彩の光を写し取るのに、
女性の柔らかな白い肌が最上のキャンパスだったからではないかと感じます。

この映画、とても静かな作品で、仰々しい効果音や音楽というものは、一切ありません。
あるのは自然のささやくような風の音、水の音、小鳥のさえずりのようなものだけ。

もっとルノワールの老いや病への葛藤、闘いのようなものがドラマチックに描かれているかと思いきや、
全ては自然の光の移ろいの中で、淡々と流れてゆきます。
ハリウッド映画のような、いわゆる、メリハリの効いた、時として、えぐい味の作品を見馴れていると、
どこか物足りない、ぼやっとした、はっきりしない映画だと感じられるかもしれませんが、
自分は2時間が長いとは感じませんでした。


また、この映画は、ルノワール本人についてのみならず、
かなりの部分を息子のジャンについて割いていますが、
何かを為し、突き破ろうとする若者のエネルギーと、
自然に身を任せ、その中で自らの情熱を燃やす老いたる者との
対比のようなものが描かれており、
どちらが正しく、どちらが間違っているというわけではない、
今成されたものの上に新しいものが常に生起してゆく、
そんな自然のいとなみと同じがごとき、人間のいとなみというようなものを感じました。

のちにジャンは高名な映画監督になったそうですが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB
その作品の節々には父の作品へのオマージュが見てとれるような気がします。
 


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上:ジャン・ルノワール「恋多き女」
下:オーギュスト・ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」



 
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晩年に描いた「白い帽子の自画像」
 


映画予告編
 
 
 
 
 
 
 

閉じる コメント(7)

ルノワール大好きです!
自宅にも「テラスにて」のコピーを掛けてます。あの透き通った様な肌色は絶賛されますが、私は「ルグラン嬢」が好きです。
限りなく青く、深く、吸い込まれるようなブルーの洋服の色が大好きです。もし機会があったら本物を見てほしいです。

2015/3/16(月) 午後 9:39 リリィで〜す

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ルノワールの生涯が映画になったのですね。
絵画鑑賞もいいですが、その人となりを知って作品に接するとまた違った見方もできますよね。
掲載の裸婦をのぞいては、美術の教科書に載っていたような記憶があります。

2015/3/17(火) 午前 9:38 花子

> リリィで〜すさん
自分はどちらかというと、ダンヴェルス嬢の方が好みなんですが(^_^;)
ルノワールの青ですが、屋敷のバルコニーから見える地中海の青い海の色が非常に印象的でした(^_^)

2015/3/17(火) 午後 8:31 [ もたんもぞ ]

> 花子さん
前に花子さんは裸婦像はどうも・・・とおっしゃっていたことがありましたが、
ルノワールが裸婦を好んで描いたのは、光を写しとるキャンバスとして、
これ以上のものはないと考えていたからだと感じました。
要は裸にではなく、光に関心があったというわけで。
実際、映画を見てみて、肌に照り返る光は本当に美しいものでした。

2015/3/17(火) 午後 8:36 [ もたんもぞ ]

映画になった晩年のルノアールですね。
なるほど息子さんが映画監督だって。いえこの監督のお父さんはルノアール!!!ってビビッたことがあったのを思い出しました。

結局、ルノアールって幸せな画家だったんですよね。

病気になったとしても最後まで自分の絵の道を究める姿勢を貫いて・
・・大抵の場合そういう芸術家って不幸なものだけどこの人はそうではなかった。それが絵に表れていますよね。

私がこの頃考える、「ニュー家族主義の時代」の最先端を行った家族だと思います。

2016/9/7(水) 午後 9:39 [ milafill ]

> milafillさん
そうですね、穏やかに高ぶらず淡々と・・・
という晩年であったと感じます。
こもれびに包まれるようなという形容がぴったりくるのかもしれませんね。

2016/9/8(木) 午後 3:47 [ もたんもぞ ]

[こもれびに包まれるような]晩年、いい感じしますね。

2016/9/8(木) 午後 6:39 [ milafill ]


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