「善ちゃん。ウチや亜矢や。」
「えっ?亜矢ちゃんか。。。」
絶句する善平。
出版社から連絡があって、善平の電話番号を教えて欲しいという女性がいるので、もし心当たりがあれば連絡してあげて欲しいとのこと。
早速、彼女の連絡先に電話をいれる。そして冒頭のやり取り。
「どうしてたんや、20年もの間。心配してたんやで〜。」
亜矢が20年前に謎めいた電話をしてきたのを最後に消息不明になった。
彼女とは従妹で、同い歳でもあって特に仲良くしていた。
23歳の時に結婚して旦那さんの稼業を手伝い事業も順調で幸せな家庭
を築いていた。スーパーやリサイクルショップも手掛け順風と思われていた。
ところが、その地で10年に1度と言われる洪水で全てを失った。
多額の借金を背負い夜逃げ同然に失踪したと聞いた。
母親の葬儀にも、遠くから目につかないよう手を合わせていたらしい。
「善ちゃんの本読んだで〜。面白かった。読んでいるうちに無性に善ちゃんの
声が聴きたくなって出版社に問い合わしたんよ。」
「そんなことせんでも、あんたの兄貴に連絡したら直ぐ解るやろに」
「実は、この本送ってくれたのは兄なんや。善ちゃんの応援しようって。
あちこちに声掛けて図書館に寄贈したりして宣伝してたんやで〜」
「ほう、それは知らなんだ。兄さんにお礼の電話しとかなあかんな。」
「それ無理や。兄貴先月亡くなったんや。そやから善ちゃんの電話番号も。」
「えっ?なんでや。そんなん聞いてないでえ。」
「兄は、すい臓癌やった。死期も解ってた。誰にも知らせるなって。。。
それより兄のためにも、次回作はウチの事書いて。波乱万丈でいっぱい
ネタあるで。(笑)」
(ありすぎや。。。やっぱり血筋やな〜)
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