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このほど、16キロメートルもの自由空間距離を隔てて、光子(フォトン)
の間で情報をテレポーテーションさせる実験が成功した。 この距離は、過去の記録を塗り替えるものだ。 この偉業を達成した研究チームは、これによって、従来の信号に頼らない情報のやり 取りの実現に一歩近づいたと書いている。 今回達成した16キロメートルという距離を、地表と宇宙空間の間隔まで 広げることもできるだろうとチームは指摘する。[高度16kmは成層圏相当] 以前の記事(英文記事)にも書いた通り、「量子テレポーテーション」 というのは、一般の人がテレポーテーションと聞いて想像するのとはかなり違った 働きを指す。 量子テレポーテーションでは、何かを別の場所に移すというのではなく、量子もつれの 関係にある2つの粒子(光子やイオンなど)を利用する。量子もつれの関係では、 互いが互いの状態に依存しており、相手の状態の影響を受ける。 この粒子の一方を遠くに送っても、量子もつれの関係のために、一方の状態を変えれば 他方にも同じ変化が引き起こされることになり、 量子の情報がテレポーテーションされたことになる。 物質そのものがテレポーテーションされるというわけではない。 しかしこれまでの実験は、粒子同士の間隔はメートル単位までに限られていた。 過去に数百メートルの距離のテレポーテーションが成功した唯一の例は、 光子をファイバーチャネルを介して移動させ、その状態が保たれるようにした場合だ。 今回の実験では、2つの光子を最大限にもつれた状態にさせた上で、うち一方に 多くのエネルギーを与えて、長さ16キロメートルの自由空間チャネルに送り出した。 実験では、この前例のない距離を隔ててもなお、遠くに行った光子を、残された光子の 状態の変化に反応させることが可能だった。 しかし、光子の長距離テレポーテーションは、この手法の応用開発に向かう上では 小さな一歩にすぎない。 光子は情報の伝達には適しているが、操作の容易さではイオンのほうが 優れており、暗号化のためにはこの分野の進歩が必要になる。 また今回の研究チームによる長距離テレポーテーションの成功精度は89%だ。 これは情報の伝達には十分だが、人体を丸ごとテレポーテーションさせるという、われわ れ全員の期待に対しては、まだ危険な数字と言わざるを得ない。 [論文は『Nature Photonics』5月16日付け。研究者らは中国科学技術大学所属。 量子テレポーテーション実験は、1997年に初めて成功した。 2004年には東京大学の古澤明教授らが3者間での量子テレポーテーション実験に成功。 さらに2009年には9者間での量子テレポーテーション実験を成功させたことにより、 量子を用いた情報通信ネットワークを構成できることが実証されている。 http://wiredvision.jp/news/201005/2010052123.html |
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