|
空手を始めた頃、真っ先に疑問をもったのが「十字受け」だった。
ボクシングの連打を、この受け技で防げるのか? 上段の攻撃を「十字受け」した時に
ボディに連打もらったらどーすんだ、え?
あまりにも非現実的すぎないか?
中学生のぼくの心に大きな疑問として残った。
今では考えられないかもしれないが、この時代の空手道場は先生や先輩方への質問は
タブーとなっていたのだ。
多分質問されても答えられないから、タブー化するしかなかったのだろう。
書店で「百万人の英会話」に並んで「百万人の空手」(大山倍達著)を見つけた時は
驚いた。 当時、空手を習う人が百万人もいるとは考えられなかったからだ。
何だか大袈裟な本だなと思った。 本の作りは他の空手教本に比べると、ハードカバー
で分厚く立派なものだった。
頁をめくると「十字受け」が出ていた。 実戦派の大山倍達の本にも出ている「十字受け」
ぼくの疑問はますます大きくふくらんでいった。
大山倍達に質問状を書いて送った。
写真がその時の返事だが、ぼくの疑問にはまったく答えていない。 ぼくの質問が正しく
伝わらなかったのだろうか。 がっかりしたが、返事がきたことは嬉しかった。
ハガキに[館長室]と記してあるところから考えると、おそらく秘書方が代筆したのだろう。
今では貴重な資料として大切に保管している。
その後「十字受け」の謎は解けた。
|