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少年の頃に胸をときめかせて読んだ本がある。
「コン・ティキ号漂流記」と「アクアク・イースター島探検記」だ。
いずれも考古学者(というよりは冒険家だろうなぁ)のT・ヘイエルダールの書いた本だ。
この二冊は、多感な時期のぼくに強烈なインパクトを与えてくれた。
いつかイースター島へ行きたいと思うようになったのは、このころだった。
二十代の後半に仕事で行き詰まり、もがいていた。
漠然とだが、長期の旅に出たいなぁ・・・と考え始めていた。
その時によみがえった記憶がイースター島だったのだ。
昔からぼくは決断が早い。 そのかわり早とちりも多い。
これが欠点だが、旅に出ることに決めた。
どうせ行くならペルーのマチュピチュ、ナスカの地上絵、サクサイワマンの砦も見たい。
資料を集めて自分で計画を練り、予定表を作った。 日程は三週間だ。
旅費は思いっきり切り詰めた。
旅行会社へ持参し見てもらうと、係りの人にハナから笑われた。
その場で予算も予定表もすべて組み直した。
しかし、ツアーはないとのことだった。 そんなら先に云え!
そのかわり人数が六名集まればツアーを組みましょうと云う。 旅費は140万円也!た、高え!
早速漫画家仲間に当たる。 まずギャグ漫画家のHに連絡した。こいつは変わり者で偏屈だから
組みしやすい。 すぐに乗ってきた。まずはメンバーのひとりを確保したが、あとが決まらない。
みんなの意見を要約すると、あんなとこ行きたくない(そうだろうなぁ)。怖い(わかるような気が する)。興味がない(・・・・・)。ヒコーキに乗りたくない(・・・・)。金がない(・・・・)。
以上。
ツアーは組めないので、フリーで行くことになった。 おかげで旅費の半分以上を節約できたが、
旅行会社の人は困惑していた。「危ない・・・」と云うのだ。
そんなことは百も承知だけれど、そんなこと云ってたら何も出来やしないだろう。
メンバーはぼくとHの二人だが、Hは頭数の一人として考えていたので、二人で行くとなると
ややこしくなってくる。 何しろHは偏屈で変人で怠け者でおまけに関西人だ。
几帳面なぼくとは対象的な性格だ。 こいつとやっていけるだろうか・・・。
しかしHはすっかり行く気でいる。 パスポートもとったし旅費も用意できたらしい。
もう止められないので、とりあえずスペイン語を勉強しておくように伝えておいたが、Hが覚えた
スペイン語はたった一言「cansado」だ。
日本語に訳すると「疲れました」・・・ぼくは気が滅入ってしまった。
Phはイースター島のラノ・ララク火山。モアイの石切り場がある。
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