|
ある秋の日の夜・・・。
夕食を仲睦まじく、一緒に摂ったシンとチェギョン。
その後シンは、少しだけ残った公務を行うために執務室へ、チェギョンは絵を描きたくなり、外へ出ました。
秋も深まってくると、夜7時を過ぎれば、かなり肌寒く感じます。
少し厚めの上着を羽織り、チェギョンは東宮の外に出ました。
ふと立ち止まり、チェギョンは空を眺めました。
雲ひとつない空で、空には無数の星がキラキラと輝いていました。
“そういえばシン君と二人で、星空を眺めたことがあったわ。シン君はあの時、星の話をしてくれたのよね。きっと2500万年後も、私はシン君を好きになるわ”
チェギョンはそんなことを思いながら、夜空を見渡しました。
すると東の空には、大きな大きなお月様が顔を出していました。
“今日は満月なのね。綺麗なお月様ね”
“今日はこの空をスケッチすることにするわ。でも寒いから、あまり長居はできないわね”
チェギョンはスケッチブックと鉛筆を手に、空を描き始めました。
大きくて柔らかく、明るい光で地上を照らす、大きなお月様、その周りで無数に輝く美しい星たち。
あまりの美しさにチェギョンは手を止め、思わず見とれてしまいました。
“今日の月は、本当に綺麗ね。そういえば、マカオでもこうして何度も月を眺めたわ。見つめる先にはシン君がいると信じて・・・”
チェギョンは、マカオにいた頃を思い出し、大きな瞳に涙を溜めました。
ちょうどその頃、公務を終えたシンが、部屋に戻ってきました。
シン「チェギョン、ただいま!!」チェギョンの返事はありません。
“お風呂かな??”シンはバスルームに行ってみましたが、チェギョンの姿はありません。
“あいつ、どこに行ったんだ??”
シンが部屋を飛び出した瞬間、チェ尚宮が通りかかりました。
シン「チェ尚宮、チェギョンがどこに行ったか知りませんか??」
チェ尚宮「妃宮様でしたら、夜空のスケッチをすると仰り、お出かけになりました。あまり遠くには行かれないように申し上げましたので、東宮殿の近くにいらっしゃると思われますが、私が探して参りましょうか??」
シン「いえ、僕が探しに出かけます。有難う」
チェ尚宮はシンに一礼しました。それを確認すると、シンは、チェギョンを探して、外へ出ました。
外へ出ると、チェギョンはすぐに見つかりました。
スケッチブックを抱え込んだまま、ぼーっと空を見上げていました。
シンはチェギョンにそっと近付き、背中からチェギョンを抱きしめて優しい声で言いました。
シン「こんなところでボーっとしてたら、風邪引くぞ、何してるんだ??」
チェギョンは振り返り、シンの方を見ました。
チェギョン「シン君」
シンはドキッとしました。チェギョンの瞳が涙で濡れていたことに驚きました。
が、泣いているチェギョンの顔が月明かりに照らされて、息を呑むほど美しかったからです。
シンは言葉を失い、チェギョンを見つめました。
“まずい、狼になりそうだ”。シンは、狼になってしまいそうになるのを、必死で堪えました。
シン「何で泣いてるんだ??風が強く吹いて、目にゴミでも入ったか??」少しだけ目をそらし、チェギョンにそう尋ねました。
チェギョン「違うの。今日はお月様がとっても綺麗だから、スケッチをしようと外へ出たの。はじめは鉛筆を持つ手も順調に進んでいたのよ。だけど、お月様を見ていたら、シン君と離れて過ごした日々のことを思い出してしまって・・・。あの時、マカオでこうやって月を見ながら、シン君のことを思い出してたな・・・って思ったら、涙が出ちゃったの。何でだろう??ゴメンネ、泣いちゃって。心配したでしょ」
チェギョンは、シンが狼になるのを堪えていることも知らず、シンを潤んだ目で見ながら言いました。
シン「ああ、驚いたさ。どこか痛いのかと思ったぞ」
チェギョン「驚かせちゃってごめんね」
シンはチェギョンの涙を親指で優しく拭いながら言いました。
シン「チェギョン、僕たちはもう離れ離れにはならないぞ、あんなに寂しい思いをするのは嫌だからな」
チェギョン「そうね。私ももうあんな思いはしたくない」
そう言うとチェギョンは、自分からシンの胸に飛び込みました。
シンも優しくチェギョンを抱きしめました。
・・・が、抱きしめたとたん、またまた狼が飛び出してきそうになりました。
シン「でも・・・良かったよ。始めは食いしん坊のお前のことだから、月を見てお饅頭とかお煎餅なんかを想像して、ニヤついてると思ったから。」
シンは照れ隠しのために、わざとチェギョンに意地悪を言いました。
チェギョン「な、何よ!月明かりの下でそんなことなんてこれっぽっちも考えてないわ。シン君の意地悪!!」
チェギョンは、シンの胸をポカポカと叩きました。
シン「うっ・・・」シンは胸を押さえて、その場にしゃがみこみました。
チェギョン「わ、ゴメンネ、シン君大丈夫??痛かった??」
シンの顔を心配そうに覗き込み、本気で心配するチェギョンを見て、シンは笑いながら言いました。
シン「くくく、お前また引っかかった。いつになったら学習するんだ??」
チェギョン「またからかったの??もう、バカシン!!」
シンは叩こうとするチェギョンの両手をつかんで、しゃがみこんだままチェギョンを自分の方へと抱き寄せました。
“月明かりの下でもくるくると表情が変わるチェギョンは、綺麗だな。とっても可愛いよ”
チェギョン「もう、シン君たら!離してよ」そう言いながらチェギョンは暴れました。
暴れるチェギョンの耳元で、シンが優しく囁きました。
シン「月明かりの下で見るチェギョンも、とっても綺麗だな」
チェギョン「えっ??」
シンにそう言われ、体の力が一気に抜けたチェギョンは、暴れることを止めました。
チェギョン「シン君、そんな心にもないことを言わないで・・・」
ちょっと沈みがちな表情で、チェギョンが言いました。
シン「ウソじゃな、本当だ。さっきから・・・その・・・えっと、大変なんだよ!!」
チェギョン「は??大変??何が大変なの??」
そう言うとチェギョンは、シンの顔をまん丸な目で覗き込みました。
“わ!バカ、そんな顔をして僕を見るな!お前は本当に鈍いな、普通分かるだろうが!!”
シンは「ごほっ」とひとつ咳払いをすると、チェギョンから少し目をそらして、ばつが悪そうに言いました。
シン「お前があまりにも綺麗だから・・・お前の顔を見るたびに・・・キスしたくなるんだよ。ここじゃまずいから・・・ずっと我慢してたんだよ」
チェギョン「シン君って、やっぱり変態ね!」くすくす笑いながら、チェギョンは言いました。
シン「何??お前、夫に向かって変態とは何だ!!それに僕は変態か??」
チェギョン「シン君は変態じゃないよ。カッコよくて、ちょっぴり寂しがり屋で、温かくて、優しいの」
そう言いながら微笑むチェギョンを見たシンは・・・ついに狼に負けてしまいました。
シン「チェギョン、やっぱり無理だ。もう我慢の限界だ」
シンはボソッと呟きました。
チェギョン「行きましょう。男の人って、満月を見ると狼に変身するって本当ね。でも、私の狼さんはとっても優しいし、素敵な狼さんだから大好き!!」
二人はニッコリと微笑みました。
月明かりの下で見るお互いの笑顔は、とっても綺麗な、素敵な笑顔でした。
二人は仲良く手を繋ぎ、自分達の部屋に戻っていきました。
長い長い秋の夜。お月様のパワーを沢山もらった二人。
満月の素敵な日の夜は・・・シンとチェギョンにとって素敵な時間となるでしょう。
*満月の夜* 終わり
|
皆様、おはようございます。
本当は昨日の夜に更新したかったのですが・・・。
疲れて眠ってしまいました・・・。
アップがこんな時間に・・・(涙)
申し訳ありません。
今日はもう満月ではありませんが・・・。
一昨日の満月を想像しながら読んでいただけたら幸いです。
シンとチェギョンは、きっと甘い甘い素敵な夜を過ごしたことでしょう。
チェギョンになりたいです(笑)
2008/10/17(金) 午前 7:33
アンニョンです(^_^)/~~
朝から幸せな気分になりました♪ 月明かりの下 ロマンティックです(^-^)/
2008/10/17(金) 午前 7:51
こちらにもおじゃましま〜す。
一昨日の満月は本当にきれいでしたねぇ〜。
私もボ〜っとお月様見ていましたが、こんなお話は思いつきませんでしたよ。
ラブラブシンチェ、素敵です。お互いに素直になったから、シン君が少しくらい意地悪なことを言ってもラブラブモードに突入できるんですね。(だったらもっと早く素直になりなさいよっ......そこはドラマですから)
あま〜い!!お話、ありがとうございました。
2008/10/17(金) 午後 1:57 [ snowarrow ]
のぶさまーさん おはようございます。
二人ともカワイイ♪
つい憎まれ口を訊いてしまうシン君は健在ですが、その後の態度が明らかに違う!大人になったのね〜♪
狼さんも我慢の限界(笑)。カワイイチェギョンに包まれてね♪
2008/10/18(土) 午前 6:05
miharuruさん
アップ後、すぐに読んでくださったようで、有難うございます。
月明かりの下で・・・ロマンチックですよね。
近々、また短編をアップします。
2008/10/18(土) 午前 10:57
snowarrowさん
コメント有難うございます。
お月様、本当に綺麗でしたね♪
たまたま、創作モードだったのかもしれません。
以前の二人だと、きっと意地悪を言われても、すぐにラブラブモードには突入できなかったでしょうけど、
心が通じてしまえば、ちょっと位の意地悪も許せるのかもしれませんね♪
近々、季節にちなんだ短編をアップしますね。
2008/10/18(土) 午前 11:01
りんりんさん
シン君は、照れ隠しをするために、常に憎まれ口を叩いていそうですよね。
心が通じ合う前の二人なら、大喧嘩に発展しそうですが、
少しくらいの憎まれ口も、今なら許されるのかもしれません(笑)
二人とも(特にシン君が??)大人になりましたね♪
お月様の下なので、狼さんという言葉を使いました。
獣とか野獣じゃあちょっと・・・。
イメージも壊しそうなので、狼さんなら許されるかと・・・(笑)
シン君が優しい狼さんで良かったですね♪
2008/10/18(土) 午前 11:06
のぶさまーさん、こんにちは〜♪昨日お邪魔したんですけど、コメできなかったんで、今ごろやってきました♪満月の夜のデート…シンチェ素敵です〜ッ♪やさしい狼さん、可愛いです〜ん、憎まれ口も!のぶさまーさんちのシン君はいつも可愛くて、思わずニヤニヤしちゃいます♪
また素敵なお話、待ってますね♪
2008/10/18(土) 午後 1:32
のぶさまーさん こんにちは
満月って昔から自然界の中でも意味があること多いですよね?
シン君はその自然の摂理に従っただけなのかな?(いや、本能がそうさせた?)
でもね、実はチェギョンもムーンパワーに魅入られたのかもしれませんね?
ほんと素敵なお話で、ほっこりしました。また色々なお話見出て下さいね。
2008/10/18(土) 午後 3:58 [ まっこ ]
のぶさまーさん、こんにちは!
>「お前は本当に鈍いな、普通分かるだろうが!」
本当ですね〜、同じようなフレーズを使っている偶然が何かとっても嬉しいです(笑)
照れ隠しで意地悪を言ってしまうところは相変わらずですけど、そのあとにちゃんと自分の本当の気持ちを言えるようになってシン君成長しましたよね。
月の光に照らされた2人、すごく素敵だったんだろうなー。
こんな風景を本編でも見たかったです。
のぶさまーさん、お疲れはとれましたか?
無理なさらないで下さいね。
2008/10/18(土) 午後 5:19 [ - ]
のぶさまーさん、こんばんは〜ずいぶん日が短くなりましたね^^
シン君、そんなに我慢が大変ならここでいいよ〜誰も見てないからっ♪
私の場合です。。。^^;妄想失礼しましたm(_ _)m
2008/10/18(土) 午後 5:49 [ yummy ]
あじさいまあくさん
優しい狼さん♪憎まれ口も相変わらずですが、可愛いですよね♪
コメントを書くために、お邪魔していただいて、有難うございます。
我が家のシン君は可愛いですか??有難うございます♪
シン君に出会ったら「あじさいまあくさんが可愛いって言ってたよ!」と伝えておきますね♪
2008/10/21(火) 午後 0:41
まっこさん
こんにちは。そうなんです。
満月に関わらず、お月様って自然界や人間にもその影響を与えていますよね。
実はもうひとつ、月にちなんだお話が書きあがっているのですが・・・。
公開をするかボツにするか迷っています。
シン君は本能に従っただけなのかもしれませんが(笑)
きっと綺麗な満月の下で見るチェギョンは、とても綺麗だったと思います。
きっと惚れ直したと思いますよ(笑)
短編は、今、ネタとしてひとつ出来上がっているので、
書きあがったらまたアップしますね♪
2008/10/21(火) 午後 0:45
duck_beさん
鈍いとか鈍感って言う言葉を使っておられる作家さんって沢山いらっしゃると思うのですが、
たまたま時期が一緒で、凄い偶然だったので、嬉しかったですよ♪
自分の気持ちを表に出すのは、まだまだ抵抗があるようですが、
少しずつ口に出せるようになって、シン君はずいぶん成長したなと思います♪
月明かりの下のシン君とチェギョンは、チェギョンだけでなく、
シン君もとっても素敵だったと思います。
シン君が一人で月を見ていたら・・・後でその姿を見つけたチェギョンも、きっと息を呑んだんじゃないでしょうか。そのくらい素敵だったと思います。
世の女性達がシン君の姿を偶然見かけたとしても・・・。
きっとピンク色の溜息が出てたんじゃないかと思います(笑)
え??言いすぎ??
2008/10/21(火) 午後 0:50
yummyさん
本当に日が短くなりましたよね。
今からもっともっと短くなりますよ。
シン君、本当に二人っきりだったら、キスくらいはしてたかもしれませんよ(笑)
多分近くに、護衛の人たちか、尚宮、内官、女官の姿を見かけたんじゃないでしょうか??
だから、我慢したんだと思いますよ(笑)
妄想、OKです。じゃんじゃん妄想してください!
そのうち、yummyさんもデビューする??
2008/10/21(火) 午後 0:55