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ヘミョン姫「では、チェギョンのことをお話いたします。出発前に、皇太后様のところにお別れの挨拶に来ました。はじめは、涙を見せず、宮を出て行くつもりだったようです。でも・・・。それはできませんでした。あまりに突然だった、シンとの別れが辛すぎて、部屋に入ってきた時のチェギョンの顔は、涙で濡れていました。目は腫れていました」
皇后「そんなに酷かったのですか??」
ヘミョン「はい。ひざまづいて頭を下げたものの泣き崩れ、その姿をご覧になったおばあさまがチェギョンを抱きしめられ、『すまない、私が何とかしてみせる』と涙を流しながら仰いました。チェギョンも『寂しいです。行きたくない・・・』と。私も涙をこらえるのが精一杯でした。
そして、チェギョンの友達は号泣し、女官達も涙を流していました。皇后様お付きのパク尚宮までもが泣いていたのです。宮殿にとって、チェギョンは、なくてはならない存在だと、おもいましたし、私も血は繋がっていなくても、妹が離れていくのは、悲しくて寂しかったです」
皇后「チェギョンの存在は、宮殿にとって、物凄く大きかったということですね」
ヘミョン「はい。おばあさまは、あのあと、ショックで、寝込まれました。おばあさまはチェギョンに、最初から温かいまなざしを注いでおられました。だからチェギョンとの別れが、物凄くお辛かったのでしょう」
皇帝「・・・そうか・・・」
皇后「陛下、チェギョンを一番可愛がってくださったのは、皇太后様です。そして、シンもチェギョンに直接、自分の思いを口にするようになったのはごく最近ですが、皇太后様やコン内官にはチェギョンに対する気持ちを話していたと聞いております。
私達は・・・自分たちのことに精一杯でした。私達家族は、陛下と私は皇帝と皇后になるはずではなかったからです。そして、そのことで、子ども達にもずいぶん可哀相な思いをさせました。間違いに気がついた今こそが、やり直すチャンスだと、私は思っております。
今回のことはシンもチェギョンも、そしてユルも傷つきました。本当にこのままで良いのですか?私達は家族でありながら、家族ではありませんでした。みんな仮面を被っていました。皇室を繋いでいくためにも、今のままでいいのか、もう一度良くお考え下さい。
私は、シンとチェギョンを守ります。場合によっては、ユルも助けてあげたいと思っています。もし陛下のお考えが変わらないのであれば・・・子ども達のために、私は陛下の傍を離れることも考えております」
皇帝「今、何と申した??」
皇后「陛下の傍を離れることも考えていると申し上げました。お兄様がお亡くなりになられ、私達の生活は、がらりと変わりました。子ども達に一番目をかけてあげなければならないときに、それが経たれてしまいました。シンが心を閉ざしてしまったのは、それからだと思っております。今からでも遅くはないのです。家族としてお互いを思いやり、仲むつまじく暮らしていきたいのです。今後のためにも、温かいと思えるような家庭を作りたいのです」
皇帝「・・・・・・・。」
ヘミョン「シンのことでひとつ思い出したのですが・・・」
皇后「なんですか??」
ヘミョン「ミョンソンダンを改装すると言い出し、おば様ともめたようです」
皇后「何ですって??」皇后は、目を丸くして言いました。
ヘミョン「最後まで改装するのを反対なさったおば様に、『あそこはいずれ、妃宮の持ち物になる。不潔なものをおいておきたくない』などと申して、頬を叩かれたと・・・。」
皇后「まぁ・・・シンが・・・」
その場には、ひとりだけ、罰の悪い顔をしている人がいました。
また皇后の顔も曇りました。
ヘミョン「私はそこで、何があったのか知りませんし、詮索するつもりもありません。ですが、シンはあの場所で何かを見つけ、ひとりで何かを解決しようとしたのかもしれません。もしその考えが正しければ・・・シンはひとりでもがき苦しんだのではないでしょうか??」
ヘミョン「今、思えば、おば様とユルが追尊され、宮殿で暮らすようになってから、様々な事件が起こったようにも思います。お父様とお母様にも陛下と皇后の関係ではなく、夫と妻の関係であって欲しいのです。今からでも遅くはありません。仲良しだったお父様とお母様でいてほしいのです。皇太子夫婦になるまえの、皆で過ごした楽しかったあの頃のように・・・」
皇帝は、返す言葉がありませんでした。
皇后も黙り込んで俯いてしまいました。
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