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巷間いろいろといわれているが、中国国内向けのパフォーマンスの面は大きいのかもしれない。下の写真のうち、赤い線で示した部分が今回の声明により中国当局が新たにADIZ(Air Difence Identification Zone、すなわち、防空識別圏)として宣言した空域になる。日中中間線付近を覆うような設定となっており、わが国の防空識別圏と重なり合っていることに注目する必要があるのは、新聞等で報道されているとおりかと思う。 ただ、この空域、別の観点から眺めると、我が国をとおりアジア諸国へ向かう民間航空機の飛行ルートと重なり合っおり、別の側面が見え隠れしている。 実際、昨日の新聞報道によると、日本航空/全日空が当該路線につき、中国当局への飛行計画提出を始めたという。 中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことに関し、全日本空輸と日本航空は25日、防空識別圏を通過する台湾便などの運航で、中国当局に飛行計画の提出を始めたことを明らかにした。ただ両社とも、これらの便の発着時刻などには変更はないとしている。 防空識別圏を通るのは主に台湾便や香港便で、天候などによってはバンコク便などの東南アジア路線も含まれる可能性があるという。一方、上海など中国本土への便は従来から飛行計画を中国当局に提出しているため対応に変更はない。全日空は24日、日航は23日から提出を始めている。 国土交通省によると、中国はこの防空識別圏を通過する場合は、中国当局に飛行計画を提出することや、無線で中国側と相互交信できるようにすることなどを各国に求めているという。 米軍の訓練空域が重なっていたり、わが国の哨戒機の飛行に際する不測の事態の発生などが懸念されるが、中国側の狙いはむしろこちらにあったのではないかとさえ考えられる。 安全運行を第一とする民間航空会社が不測の事態を防ぐための措置としてはいたし方のない部分も否定できない。しかし、これらの空域侵入のための飛行計画を中国当局に提出し続けるとなると、我が国の実効支配がますます揺らぐことともなっていく。ましてや、我が国のキャリアが日本のADIZ圏内を飛行するにもかかわらず中国当局に飛行計画を提出するなどということは中国側にとっては絶好の言いがかりとされる危険性があることを記憶にとどめておく必要があろう。 上のスケッチのうち、橙色の線は風が書き加えたものである。中国の沿岸域からの距離を考えると、橙色の線を中国のADIZと宣言することもできたはず、ということを示すために書き加えてみた。中国政府は、ひとつの中国を国定としており、そのような線を引くことも可能であったはずである。 しかし、実際には赤い線をADIZと主張している。一体この差異がどこから来ているのか?ということを考えることが、尖閣諸島周辺での実効支配を強めるための方策のひとつとなるのではないかと考えている。 なぜなら、いままで、中国側が強い態度に出ることができなかったひとつの理由として、その空域を実効支配するための戦力に恵まれていなかったということが大きな理由と考えられるからである。すなわち、侵犯機が現われても対処するだけの戦力的な裏づけに恵まれていなかった。しかし、戦力の充実とともにそれを主張する裏づけが出来上がってきた、とも考えるべきではなかろうか。 そのような状況を踏まえて、我が国としては、実効支配していることを強化するための新たな一歩を踏み出さざるをえない時期にさしかかってきているように感じる。 軍事基地の設置やレーダーサイトの設置は、あまりに中国本土への距離が近すぎることから、現実的ではないかもしれないが、陸上自衛隊の監視所を設置するなどの少し強い目の方策を検討しなければ、このまま中国側の実行支配地域拡張をみすみす許すことになりはしないかと心配になってくる。 中国の軍事力は着実に強化されており、緊縮財政の元、なかなか防衛意費を増額できない我が国としては、少ない元手でいかに周辺島嶼部の実効支配するための方策を入念に検討していく必要がある、と考える。
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2013年11月26日
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