楕円の転がり、心の転がり・・・

家族、ラグビー、仲間が命・・・私の生き甲斐。夢に病んだ楕円オヤジの内緒の備忘録。

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眠っていようが、景色を眺めていようが、バスは登っていく。
高度が上がれば、テンションは下がり続けるも、中腹のダムへと差しかかる景色は「座して死を待つような」諦めの極致へと誘う。ラグビーマンの8月の一番重い風景だろう。


昨日25日(月)の朝の思考〜行動、間違いなく発作だった。起床とともに「菅平」に行こうと決めていた。
スクールの合宿を終えて、老体には間違いなく過活動と思える発作を抑えることが出来なかった。
バッグを出した瞬間に、妻の何かを悟ったような表情は激しく呆れかえり、そして諦め混じりに言った。
「ラグビースクールの合宿に行ったばかりなのに・・・・・・・明日、昼12時までに絶対戻ってきてね!町内会の子供会があるからクルマが絶対必要なの!」

娘は「また、ラグビーでお泊りなの?」

私は数日前に子供達に読み聞かせた「走れメロス」を思い出した。そのメロスより厳しい期限。
セレヌンティウスは・・・・・・私と息子のラグビーライフか、はたまた妻・娘との信頼関係か。

とにもかくにも、久しぶりの菅平の単独アポ無し訪問という思いつきは、宿泊か否かすら決めずにコンタクトレンズと常備薬、2日分の着替えだけをカバンに詰め込みスタートした。

便利なインターも出来、興奮も手伝い、あっと言う間の菅平到着。思えばよくもこれだけグランドも増えたものだ。少々戸惑いながら、目的地である一番奥まった場所のグランドに到着。
アップ中の現役が振り向くくらいの大声で挨拶をすると、珍訪者の私を初めてOBと認識したらしく、女子マネが駆け寄ってきてメンバー表をくれた。
その向こうには学生時代のGM、ヘッドコーチが鎮座して、イリオモテな私を歓待してくれた。

強豪校の控え組と対戦する後輩達の試合ぶりは、決して満足のいく結果ではなかったが、FWパックでのセットやモール・ラックといった塊の動き、BKの駆け引きなどでは決して引けをとらず。低いモールとカミソリウイングの走りは敵を十分に苦しめた。トライの内容は決して劣っていないが・・・19−36。
現役も認識していたが、接点での仕掛けの早さと、うまさ、ズルさ・・・そこは相手校が流石か。

久しぶりに見る後輩達が、与えられた環境の中で精一杯頑張っているのが嬉しかった。
一匹の古狸から苦言がないわけではない、しかし試合内容以外のそれはグランドで。

試合途中、私が蒼くなったのは4年生がヒザを激しく負傷した時だ。彼は、小さな接点ではあるが、私の知る数少ない現役選手にして中心選手。
GMの指示で私のマイカーは、交差点のクリニックまでの急造救急車となった。
今シーズンの絶望を危惧した彼は、車中でタオルをかぶり呻いていた。
4年生の気持ちは痛すぎるほどわかる。フルフラットの後部席で3人がかりで固定された彼のヒザを気にしながら荒れ道を慎重に、かつ急いで降りた。
裂傷は長く深かったが、幸いにして靭帯や骨は無事で大事には至らず、早い復帰のメドもたった。
診療内容が正しいことを祈るばかりだ。

クリニックからの帰りの車中、一転して明るさを取り戻した彼とは複数の共通の知人の話などで盛り上がれるまでになった。彼の痛みに私は高校・大学の夏合宿の主将のケガを思い出し、自身の存在を疫病神かと呪いながら、皆と宿舎に戻った。既に宿泊手配がされたいた私は、学生時代に世話になったコーチとの相部屋。
積もる話はノンアルコールで3時近くまで及び、現状のスタッフ・部員の苦労、与えられた環境の厳しさに改めて頭の下がる思いであった。もう私もイリオモテばかりではいけないと痛感。(出切ることなど知れているが、せめて出切ることを)

愛する家庭、ラグビースクール、そして母校への恩返しを含めたカオスな興奮が異常な覚醒を呼び、なかなか寝付けなかった。

早朝、一人で裏のグランドを10周のつもりが12周走った。
そして、早めにアップに上がってきた現役数名とタッチフットを少し楽しみ菅平を後にすることに。
楕円メロスに猶予はない、12時までに帰らばければ。
挨拶をしてグランドを後にする時に、私の半分くらいの歳の女子マネが「有難うございました。これ、どうぞ!」とバナナをくれた。配慮が嬉しく、少し照れた。

バナナをかじりながら山を降りる気持ちは、後ろからジャージを摑まれる様な気分で、非常に名残惜しかった。
現役時代とは正反対の、OBとしてのお気楽さはいいものだ。

楕円メロスには、行く手を遮る濁流も渋滞もなかった。

定刻の30分前に無事帰宅。

セレヌンティウスな意識などこれっぽっちもない息子はザルうどんをほおばり、娘は死期の近そうな金魚を見つめていた。

洗面所の方から雨続きで機嫌の悪い、洗濯愛好妻の激しい声が聞こえた。
「洗濯物はこっち!!」

古着屋のごとく並ぶ、室内に大量に干された洗濯物の向こうに・・・オレの机・・・まだあった。

薄汚れたウェアの自称楕円メロスに、美女からのタオルも着替えも出てくることはなかった。。


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