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1987年に社会人日本一の東芝を破って日本一になった早稲田大学ラグビー部。その年に指揮を執った故・木本建治氏が、選手との1年間を回顧していくような内容。
その過程にある、選手を鼓舞する言葉や、具体的指導、選手掌握についてのポイントが書かれている。
早稲田では鬼のキモケンと謳われた著者が、いかにして151人をまとめたのか。著者は随所で「4年生の成長」こそがチーム力の根源であったと説いているが、その4年生を大人のラグビーマンに導いたのは、著者の厳しい指導と一貫した方針の賜物であろう。
チームの勝利「のみ」を最優先したその方針は、私には厳しいものと感じたが、それは常勝チームの名将としては当然のものなのであろう。
この年の4年こそが私の同級生であり、登場人物に友人・知人もいたが、彼らの過ごした厳しい1年間を感じられて非常に興味深かった。背中で魅せる永田の卓越したキャプテンシー、神田、今駒のサポート。
大学選手権決勝のメンバー、1年生の堀越の太もものテーピングに、同じポジションの4年生松坂の手紙が巻かれていたというエピソードには感動した。
惜しむらくは、大学選手権優勝で記述が終わってしまっており、表紙にもなっている東芝府中との日本選手権についての内容が皆無であったこと。
それから、シーズンイン以降にメンバー固定をしたゆえの、Bチーム以下のメンバーの掌握についてもう少し深く知りたかったが、デリケートな部分ゆえに、これは部外者のわがままかもしれない。
80年代の熱を知るラグビー好きなら、懐かしさのなかで一気に読める一冊だと思う。
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