楕円の転がり、心の転がり・・・

家族、ラグビー、仲間が命・・・私の生き甲斐。夢に病んだ楕円オヤジの内緒の備忘録。

ボクシング・格闘技

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Boxing Tribute - Thrilla in Manila - Ali vs Frazier

ボクシングビート(MACC出版)10月号に藤島大さんのインタビューが掲載されていた。
藤島大さんはインタビュアーではなくされる側。専門誌ボクシングビート(旧ボクシングワールド)で、毎号、珠玉のコラムを執筆している「藤島大」とはどのような人かという読者の希望に応えた企画。インタビュアーは元・WBA Sフライ級Cの飯田覚士さん。

冒頭の質問。15R制の時代で一番印象に残っている試合は? について藤島さんはスリラ・イン・マニラを挙げた。ボクシングファンなら誰もが知る、モハメド・アリとジョー・フレージャーの伝説のタイトルマッチである。

1975年10月1日、フォリピンは真昼のマニラ。猛暑と熱気の坩堝において、二人の闘いは凄まじいものとなった。戦前、一分間に百万語を操る男(アリ)は、蒸気機関車(フレージャー)を口汚く罵り続けた。ベトナム戦争徴兵を拒否し、黒人差別を温存するアメリカ社会を痛烈に批判し続けたアリは、フレージャーを「アンクル・トム」(=白人に媚びる黒人)と罵倒し、挑発し続けた。これはボクシングの闘いでありながら、公民権運動からの政治における黒人地位の問題こそを色濃く孕んでいた。

そして灼熱のリング。一方的であった舌戦に対して、リングに上がればスモーキン・ジョーは激しくアリを追い込む。ボクサー限界をも超えた拳の交換は、予想に違わぬ死闘となった。両者が精根尽き果てかけた14R終了後、フレージャーのセコンドは試合続行不可として棄権。この瞬間アリの勝利が決定。この時アリも、直後リングに倒れこんでしまうほどのダメージを負っていた。

この決着について、一部著書ではダメージ深かったフレージャーが立てなかったとの記述があるが・・・

6月のNHK衛星「世界史発掘!時空タイムス編集部」でこの一戦を検証する番組があった。主に舌戦で一方的にやられていたフレージャー側からの視点。コメンテーターとして浜田剛史さん、そして藤島大さんが出演していた。
検証によるとアリは14R終了後に自らの限界を感じ「グローブを外してくれ」と棄権を訴えていたが、セコンドが必死で続行を促した。
一方、フレージャーは棄権を促すセコンドに続行をアピール、激しく憤っていた。そして最後にフレージャーの棄権を決定したのは、フレージャーの師、エディファッチであった。

ここのやり取りについては「ボクシングヘビー級 最強伝説」(ベースボールマガジン社)の藤島大さんのコラム「求愛の左フック」の最後が泣かせる。以下引用。


フレージャーは、アリへの嫉妬を闘争心にくるみ、屈服はせず、徹底抗戦した。戦慄の左フック。ノンストップのウィービング。また左。あれは殺戮の衣をまとった求愛のダンスだった。
戦い終えてアリは「ジョー・フレージャーはオールタイムにおけるグレーテストなファイターだ」と認め、声の質を変えて次の一言を足した。
「俺様の次に」
最大級の敬意の表明だ。ただし愛ではない。
湿気と熱気のマニラ
最終15ラウンド開始直前、フレージャーの師、名トレーナーのエディ・ファッチは左目のダメージを案じて「私のボーイ」をコーナーから立たせなかった。そこまでの採点はもつれていた。アリこそは疲労の極にあった。
スポーツ・イラストレーテッド誌がコーナーでのやりとりを記録している。
「止めないでくれ。お願いだ」
「腰掛けなさい。息子よ。これで終わりだ。誰ひとりとして、今日、君のなしたことを忘れはしない」
アリは愛してくれなかった。でも、名声や金銭よりもフレージャーその人を愛したトレーナーならいたのである。
(引用終わり)


前述のNHK衛星の番組の最後、エディ・ファッチが試合を止めたのは「愛」だと語っていた藤島大さんに司会者が「今、アリとフレージャーが会ったとしたら・・・?」と問うた。

藤島さんは穏やかな笑みでゆっくりと
「願望みたいなものでもあるんですが、だまって近づいて、ボクシングのまねごとみたいなやり取りをして欲しいですね。」(確かこんな感じだったと思う)
今は髪もすっかり白くなったKOキング、浜田剛史さんが静かに頷いておられた。

スリラー。
小説・映画・演劇などで、読者や観客を恐怖でどきどきさせたり、ぞっとさせたりする要素に満ちた作品。(広辞苑)

二人が創ったスリラーは今後も決して褪せることはない。あの日のマニラの熱気と湿気とともに。。

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