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あることで考え事をしてたらまた読んでしまった。
何回読んでも面白い。何回読んでも感動する。帯の文章そのままの爽快さ。
本書は著者の作品の中で私が大好きな本の一つだ。
各地各所の熱い「スポーツな場面」。
そこを訪れた作者が触れる指導者、選手、そして関係者の姿がまるで見えるかのよう。
「スポーツ」な現場の続きや手前の酒場、食堂での「談義」な風景。
美味なる描写の主役は必ず「酒」。
スポーツを堪能しながらの国内酒場紀行とは贅沢な!
そんな贅沢が、ウイットに富んだユーモアと共に綴られている。
「そうそう!」「あるある!」と声を出して共感してしまいそうなユーモア溢れる比喩と、各地の真剣スポーツ熱が見事に融合する珠玉の文章達。
日本各地を書内旅行すれば、横須賀は湘南シーレックスの項では三浦葉山牛入りカレーの洞察に笑い、苫小牧のアイスホッケーでは著者の幼き頃の図書館ホッケーの回想にニヤケた。著者は洞察と表現の才のみならず、機知に富んだ笑いの才にも溢れている。
そして、釜石や福岡のラグビー、能代のバスケ・・・。北から南、著者が採集、調合した「痺れ薬」のキキメには、ただ痺れるばかりである。
私の好きなラグビーについての福岡の項の最後より。(以下引用)
草ケ江(帆柱も)の選手はトライを奪ったのち、ほとんど喜びもせず、さっさと自陣へ戻る。なんだかはにかんでいるのだ。すでに列島より失われつつあるふるまいだ。
あれは何年生だろうか。お互いに1ミリもゆずらぬ引き締まった展開は続く。
ついにドロー。さっきまで「タックルせんか」と怒鳴りまくったコーチが小声でいう。
「これで、よかと」
もとよりラグビーは教育ではない。ただしラグビーは教育になりうる。
ぶっ倒されて顔が芝にこすれた。目に土が入る。さぞや痛かろう。それに悔しい。二重の涙をこぼし、しかし男の子は起き上がる。
母も何かをこらえている。
ないより、あった方がいい光景。
(引用終わり)
スポーツの良さ、仲間や師弟の良さ、そして酒や地域の良さまでをも教えてくれる素晴らしい一冊。。
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