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その日、雨の狭間の緩い陽射しの中、私は妻と蕎麦屋にいた。
オーダーは「カレーライスと蕎麦のセット」
妻との会話の切れ目に、ここぞとばかり直前に購入したラグビーマガジンを開く。
いつものとおり、まずは目次をめくり藤島大さんのコラムを・・・
それは目を射られるごとくいきなり飛び込んできた。緑の上に躍る「黒と赤」。
まぎれもなく、成蹊のジャージだった。
題名には「新宿の男。」とある。
まさか! 都立新宿高校OBでなくとも刺激的な大文字。
私の知る後輩が、コラムで取り上げられ賞賛されること。
それもラグビーマガジンのDAI HEART。
嬉しいじゃないか。我が幸運のごとく、天に、いや何より「藤島大」に感謝する。 猛虎に勇敢に刺さり続けた男たち。
落合のみならず、「石神井の男」亀井、三浦豪と三浦嶺もその気持ち込めたプレーが取り上げられた。
残念ながら私はテレビでの観戦であったが、画面から伝わる成蹊ラガーの気迫に痺れ、震えた。横で見ていた正座の小学3年生坊主は幾度も叫声を上げた。
J SPORTSの解説は藤島大さんであったから、「目利きのライター」に訴える機会があった幸運は強運のうち。
私に身内の贔屓が混ざることは承知で、それでも尚、縁の下のスタッフ含めた全員であの日を迎え、立派に健闘したことに間違いはない。
ラグビーマンとして名前が活字になることとは・・・。ともすれば、その分岐点は著名であるか否かであると言っても過言ではあるまい。しかしこれまでの藤島氏のコラムを見れば、煌びやかなビッグネームに偏ることはない。多くの無名なラグビーマン、大舞台の脇にたたずむ偉大なサイドストーリーにこそ、筆が滑らかであると感じるのは素人の邪推ではあるまい。
こんな私の駄文がなんの影響も持たないことを知りつつ。
よきラグビーのエッセンスを紡ぐ、珠玉のラグマガコラムのかたまり、「大魂」(藤島大 ベースボールマガジン社)はお勧めである。その大味(失礼!)な書名からは想起され難いけれど、プレーする者、観る者、そして指導する者のすべてを揺さぶるコラムがいっぱいである。そのひとつひとつは、必ずや多岐にわたるヒントとエネルギーをもたらすはずだ。
私のような「ラグビー阿呆」に、人生の一大決心させるくらいの琴線破壊力は十分である。
改めて思う。観察力に富んだ人間の思いが文章になったなら、そのコラムの力は強大だ。
あの「新宿の男。」に登場した、他校の「著名ではなくとも偉大な」ラグビーマン達にも、大きな力をもたらしたに違いない。
落合信之よ、コラムの件は従兄弟に知らせたか?!
そして「大魂」は読んだか?!
私はあの日の「カレーライスと蕎麦のセット」の味を覚えていない。。
余談・・・私は高校時代に都立新宿高校と対戦したことがある。トイメンのLOは激しくあたり、しぶとく絡んでくるいやなLOだった。その見覚えのある顔は試合中に思い出された。野球部であった中学時代に対戦した、新宿区立淀橋中学のキャッチャーだった。私にとっての「新宿の男。」は、ただ書きたくなった遠い記憶である。失礼。
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