|
先週、吉祥寺駅北口の毛細血管みたいな路地を潜った。
屋台と店舗の中間みたいな焼き鳥屋。
少しばかり疲れた様子のNは、私に1枚の新聞コピーを見せた。
「たまに見るんだ。オレがすごい好きな記事だ」
文章を書くことも、読むことも好きな彼の一番好きな記事らしい。
Nは前にいた会社の同期で、アメリカンフットボールのプレーヤーであった。
会社の同期とは言っても、彼は会社の部に所属せずに、クラブチームでプレーをすることを選んだ。
コピーを見るとそこにはコラムがあった。
「風と光と」 佐瀬稔 (あとで調べると中日スポーツだった)
そこには、前日に日本一となったアサヒビール・シルバースターの初の日本一を称える文字が、丹精に、そして叙情的に並んでいた。その洞察眼は選手を鼓舞するチア・ガールの未来にまで及んでいた。
文中に出てくるフィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビィ」の主人公、トム・ブキャナン。
名家に生まれ、学生時代はフットボールの花形選手。あまりに早過ぎる絶頂を経験したあとは「すべて下り坂の人生」を落ちて行った。
なぜにシルバー・スターの戴冠にトム・ブキャナンなのか。
コラムは山本コーチのコメントに続いて、こう結ばれていた。(以下引用)
「信じてはいましたが。しかし・・・・・感無量です。夢を果たす前に辞めていった者も、二百人ほどいますし・・・・・」
青春の話はそこまで。
10回を数えるライスボウルは、学生5連勝のあと前年、今年と2度続けて社会人が勝った。日本のアメリカンフットボールはいよいよ"書生さん"から職業人の時代になったと断言できる。トム・ブキャナンになることを断固として拒否した男たちの、である。
引用おわり
人の心配する前に、自分の心配しろよ。そんな、楕円違い同士の互いのお節介。
決して軸足のブレることのないNとの交流は、こんな風に20年以上続いてきた。
会社生活の中でも幾度か助けられた。
シャイで口ベタだけれど、軸足は絶対にブレないから信頼できる。
彼も、トム・ブキャナンになることを断固として拒否した男に違いなかった。
当時も、そして今も。。
|
その他スポーツ
[ リスト ]




