楕円の転がり、心の転がり・・・

家族、ラグビー、仲間が命・・・私の生き甲斐。夢に病んだ楕円オヤジの内緒の備忘録。

読書

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ごんぎつね

新美南吉が好きだ。
29歳にして夭折した天才児童文学者。
児童だけでなく、成人からご年配まで、時代を超えて人の心を照らした天才だと思う。
 
好きな作品は多いのだけれど・・・
やはり「ごんぎつね」を思い出して、改めて読んでみた。
国語の教科書の定番にして、今なお日本人の中に生き続ける悲哀と懺悔のストーリー。
温かくて、切なくて、でも私の大好きな、よき日本の光景がそこにある。
 
以前、大好きな舞台脚本家と話をしている時に「ごんぎつね」の話になったことがある。
その方が言ったことで印象深いひとこと。
「ごん、矢吹丈みたいですよね」
 
おそらく、本人は記憶にもないひとことだと思う。
兵十の鉄砲の煙の前に倒れるごんと、真っ白な灰になった矢吹丈。
言葉や感性をストーリーに紡ぐ人、感性を感性につなげる人。
すごいと思った。
 
実は、最近おなじ言葉をラグビーの某コーチから聞いた。
「ごんぎつねって、ほとんど矢吹丈ですよね」
モール・ラックの話の合間に、読書の話になったときだった。
つくづく思う。才ある人は、ジャンルは違えども、ヒューマニティ溢れる思考を持っているんだなと。
 
名古屋勤務時代に、幾度か行った半田の新美南吉記念館。
近くの定食屋のメニューには「南吉うなぎ」というのがあったっけ。
なんだか、食いたいな。タレのしみたご飯が。
 
明日の試合に、少しばかり気持ちも、食欲も高ぶる今晩。
布団にもぐって「おじいさんのランプ」を読みながら寝よう。。

今季の大学ラグビーは終わったか。
いや、選手権ファイナルに進んだ帝京と東海には日本選手権がある。

それでも2校を除くチームの2009年度は終了している。
4年生は、この1年間を振り返っているのか。4年間を振り返っているのか。
いや、来たるべくこれからの人生に思いを馳せつつ、馴れない自由に戸惑っているに違いない。

当り前だが、4年生は特別である。
正確には最終学年の「1年間」は特別である。

最後のシーズンの勝負にすべてを賭ける者。
自己確認でもするかのように、試合に出られずとも、己を殺し、ひたすらチームを盛り上げる者。
裏方で粛々と働く主務、マネージャー。
中には幾ばくかの情熱すらも消えてしまった、目標なき流離者も。

しかし、燃えうる時間の残量が見えてしまうことは、すべての4年生、皆、同じだ。
そして最後の結果を出したときに、4年生は、4年生でしか感じえない最後の感傷に浸る。
それは歓喜の時間であるより、敗戦による催涙の時間であることが多い。圧倒的だ。
勝利の「実感」で終われるのは「優勝」、「入替戦勝利」など・・・。

大学ラグビーが終わろうかというこの時期、いつも思い出す記事がある。
「4年生の冬」という大友信彦さんの記事である。
「Number」1989年2月5日号(or楕円球に憑かれた男たち・大友信彦 洋泉社)にある、「4年生の冬」という大友信彦さんの記事である。
日体大、早稲田、大東、明治・・・強豪校にあって、出場機会に恵まれなかったり、ケガに泣いた4年生の思い。最後まで自らの情熱と、チームにおける立場の狭間で葛藤した男たちの生の声が琴線に響く。

1989年1月2日の大学選手権準決勝。
16対28で明治に敗れた、日体大の吉田浩二主将の国立競技場駐車場での集合の言葉。
活字で聴いた言葉が、20年経っても耳から離れない。

(以下引用)
試合後のファンクションを終え、国立競技場の駐車場で、日体大の全部員は集合した、
「勝てんかった」。腹から搾り出すような吉田主将の涙声。部員の輪からすすり泣きが聞える。

「去年、大東に負けたとき、絶対妥協しないで練習して、負けないで笑って終わろうと思ってやってきたけど・・・・・・負けた。
みんなで、一生懸命練習してきたけど、
申し訳なかった。
1年生ありがとう。
2年生ありがとう。
3年生ありがとう。
4年生ありがとう。
タックルのときの、みんなの声を忘れないでやったけどな、
だけど、こんなまとまったチーム、オレ4年間やってきて一度もなかったと思う。
来年、もっとまとまって、勝とう。
みんな、ありがとう。ありがとう。
顔あげろ。
このくやしさ、絶対忘れんなよ。
ずっと、1年間、持続させていこう」

吉田の代、そして木村や猪口の代のチームはこのとき、終わった。残ったのは対抗戦2位、大学選手権ベスト4。ただそれだけだ。しかしその真価は来年、さらに再来年以降に現れてくるに違いない。
木村も猪口も、静かに他の部員たちの肩を抱いていた。4年生たちの闘いは終わったのだ。
その頃、国立のフィールドでは大東大が同志社からトライの山を奪い続けてきた。スタジアムの外で、ひっそりと新しいチームが船出したことを知るよしもなく。
(引用終わり)


この時、ひっそりと船出した新しいチームは1年後の同じ日、同じ時間に準決勝で勝利して、先輩への恩返しを果たした。
そして、引用文中に出てくる、時の運に恵まれなかったWTB「木村」の名こそ、ジュニアリーダーとしての日体大の改革者。現・東海大学ラグビー部監督 木村季由、その人である。。

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あることで考え事をしてたらまた読んでしまった。

何回読んでも面白い。何回読んでも感動する。帯の文章そのままの爽快さ。
本書は著者の作品の中で私が大好きな本の一つだ。

各地各所の熱い「スポーツな場面」。
そこを訪れた作者が触れる指導者、選手、そして関係者の姿がまるで見えるかのよう。
「スポーツ」な現場の続きや手前の酒場、食堂での「談義」な風景。
美味なる描写の主役は必ず「酒」。

スポーツを堪能しながらの国内酒場紀行とは贅沢な! 
そんな贅沢が、ウイットに富んだユーモアと共に綴られている。
「そうそう!」「あるある!」と声を出して共感してしまいそうなユーモア溢れる比喩と、各地の真剣スポーツ熱が見事に融合する珠玉の文章達。

日本各地を書内旅行すれば、横須賀は湘南シーレックスの項では三浦葉山牛入りカレーの洞察に笑い、苫小牧のアイスホッケーでは著者の幼き頃の図書館ホッケーの回想にニヤケた。著者は洞察と表現の才のみならず、機知に富んだ笑いの才にも溢れている。
そして、釜石や福岡のラグビー、能代のバスケ・・・。北から南、著者が採集、調合した「痺れ薬」のキキメには、ただ痺れるばかりである。

私の好きなラグビーについての福岡の項の最後より。(以下引用)


 草ケ江(帆柱も)の選手はトライを奪ったのち、ほとんど喜びもせず、さっさと自陣へ戻る。なんだかはにかんでいるのだ。すでに列島より失われつつあるふるまいだ。
 あれは何年生だろうか。お互いに1ミリもゆずらぬ引き締まった展開は続く。
 ついにドロー。さっきまで「タックルせんか」と怒鳴りまくったコーチが小声でいう。
「これで、よかと」
 もとよりラグビーは教育ではない。ただしラグビーは教育になりうる。
 ぶっ倒されて顔が芝にこすれた。目に土が入る。さぞや痛かろう。それに悔しい。二重の涙をこぼし、しかし男の子は起き上がる。
 母も何かをこらえている。
 ないより、あった方がいい光景。

(引用終わり)

スポーツの良さ、仲間や師弟の良さ、そして酒や地域の良さまでをも教えてくれる素晴らしい一冊。。

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私の高校時代、都内の「ワル」の学校の一つであった東京朝鮮高校。
しかし、ラグビーの試合すれば刺さるタックル、絶えない闘志に対して、こちらも畏敬の念を持ったものだ。ただし、それは全て練習試合でのこと。
なぜなら、朝鮮高校は国内の公式戦への出場を認められていなかったのだ。

掛け値なしの実力校であったにも関わらず、その舞台に上がることすら出来ない。
そんな苦難の日々を監督、選手、父兄、関係者がどのような思いで乗り越えていったかが、数々の猛々し過ぎる、それでいてヒューマニズム溢れるエピソードとともにに綴られている。
草創期にグランドのネットを潜って現れた謎の日本人コーチ。久我山、目黒、本郷などの強豪校との熱い交流。苦境の時代に日韓のホンモノ同士が引き合った必然にも感動した。

紆余曲折、長年に渡って結集された熱意は94年にようやく結実、国内大会への参加が叶う。
我慢の時代からから一つの壁を越えていく・・・そんな過程を、著者は過度の感情に溺れることなく、絶妙なテンポの筆致で進めていくが・・・。以後、現在まで聖地「花園」への壁は高く、全国大会出場は叶っていない。(大阪朝鮮高校は出場しているが・・・)

この本を読み、私の高校、大学がどうして門戸なき朝鮮高校、朝鮮大学と練習試合を組んでいたのかが、おぼろげながらわかった気がした。それは指導者間の楕円球の絆なのではないかと・・・。
かつて私に「練習試合」でイタイ思いをさせてくれた在日ラガーを、改めて理解できた良書であった。

巻末の「朝鮮高校を知るために」はへたな歴史書よりも、内容の濃い資料的なページ。
在日朝鮮人、朝鮮高校のイデオロギーや歴史背景、南北の違いなどについて簡潔、明瞭にまとめられている。日本人としての知っているつもりは、つもりに過ぎなかった。。


■数年前、とある酒場で朝鮮大学ラグビー部関係者と一緒になった。
20年以上前、私が空中タックルの餌食になったセピア色の光景について語ったら、笑顔の乾杯を返された。そして友になった。やはりラグビーの友は最高だ。また第二グランドを覗いてみようかな。

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率直に思った。この「公立魂」は、「鷲宮魂」と置き換えた方がいい。公立・私立ということではなく、「鷲宮」の魂なのだから・・・。

ともあれ、スポーツにおける公立・私立の区別の感情的是非は別にしても、「入試以外の入部の道」の有無については論を待たない。私自身が高校、大学と私立(非セレ校)を歩んだという感情は関係なく、スポーツにおいて「叩き上げ」「雑草」を応援するのは、アップセットの感動を欲するスポーツ好きの性であろう。

埼玉高校球界で公立の雄として奮闘する県立鷲宮高校。95年のセンバツ出場をはじめ、毎年のように埼玉の強豪を脅かすダークホースである。
自ら下積み経験のある高野和樹(こうのかずき)監督は野球人として以前に、人間教育こそを重視する。そんな鷲宮野球は「心」と「ことば」に溢れている
書中、格言として紹介されている文の中でこんなものもある。
「いい選手である前にいい生徒であろう いい生徒である前にいい人間であろう」
ともすれば・・・聞きなれた言葉である。
しかし、鷲宮野球においてはそんな「教育的言葉」も平凡なものではなくなる。それは部員への思い、鷲宮野球の心が、監督の口からは勿論、部室からベンチなど至るところに貼られていることにも表れる。

そのひとつ・・・整然とした部室に貼られた はきもの という詩。
『はきものをそろえると心がそろう
心がそろうとはきものもそろう
ぬぐときにそろえておくと
はくときに心がみだれない
だれかがみだしておいたら
だまってそろえておいてあげる
そうすればきっと
みんなの心もそろうでしょう』

ひらがなの中で「心」だけが漢字になっている・・・監督が強調したいところ。


もうひとつ
『たとえ野球の技術がなかったとしても、野球の道具を大切にする心や自分を成長させてくれるグランドを常にきれいに整備する心を持ち続けられる野球選手になる。』

鷲宮のトンボがけはハンパではない。上体が地面と水平になるくらいに「心」を込めたものなのだ。


では「心だけ」で勝てるのか、いいチームになれるのか。
はっきりしていることは、鷲宮の部員の仲間を思う心も、野球を上手になりたいと思う心も尋常ではないということ。「高野監督の鷲宮に行きたい!」と思った部員の集団であるがゆえに熱いのである。熱すぎるのである。皆、監督に惚れて鷲宮を選んだ男ばかりだ。

鷲宮の「全員野球」は建前ではない。公式戦前、2軍の試合の魂こもったプレーに、1軍が心揺さぶられて県予選に全身全霊をかける。私の愛するラグビーとだぶるチーム熱。
2軍も皆、ベンチ入りにすべてを掛けていた。叶わぬ結果にもスタンドで「自分達の代表」を声からして応援する。
泣くほど悔しい思いでベンチを逃した応援団長を見て、「ニュートラルな」高校野球ファンが呟いた。
「鷲宮の応援団は最高だ。」

いまや高校野球でも当然となっているサイン盗み、スパイ・・・そうした相手戦術に「気持ち」で対抗する鷲宮野球。「気持ち」とともに自身の後ろ楯となるのは「練習量」であり、多くの選手が遅くまで自主練習をする。中には終電近くまで練習に没頭する猛者もいるそうだ。
過日、どうしても鷲宮高校を通りがかってみたくなり、愚妻にはドライブとだけ言って出かけた。グランドに着いたのはPM10時頃。
周囲はほとんどが田圃の中に、専用グランドが浮き上がる。こうこうと照明に照らされるグランドに、心のこもった整備をするもの、自主練習に残るもの数名。耳すませば、ネット裏方面からから規則正しい音が聞えてくる。音のする方向に、回り込んでみた。鈍く重い音は木製・・・いや、トレーニングバットのティバッティングだろう。

他県ナンバーのクルマが止まって、ネットの隙間から練習を覗く。怪しいことこのうえないが、なんだか感慨深かった・・・ここがこの本の舞台なのだ。
先輩につかみかかったヤンチャなサード、低打率を超えた信頼だけで4番に座った練習の虫、自分のベンチ入りに際し何よりも仲間に気を使った3塁コーチャー・・・皆がここで汗を流したのだ。
照明に浮かぶ光景の危うさも手伝って、私は夢見心地な気分だった。
まだこんな純粋な高校野球がある。いや大多数は純粋な高校野球なのだろう。

そんな私の後ろに何かの気配。犬の散歩をする近所の住民だった。決して強豪校のスパイには見えぬ、私のパジャマ風情に一瞥をくれて、静かに闇に消えた。
涼しげに虫が鳴いていた。
そして尚、終わる気配のないティバッティングの音は続いていた。。

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