楕円の転がり、心の転がり・・・

家族、ラグビー、仲間が命・・・私の生き甲斐。夢に病んだ楕円オヤジの内緒の備忘録。

ラグビー観戦「日記」

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家族でT家とディズニーシーに行くというこの日。
テーマパーク苦手の私は、浦安近くの船橋で行われたクボタvs三菱重工相模原のオープン戦を観に行くという、父親としては最低の我がままを許してもらった。
T家も私の楕円の病とテーマパーク嫌いは承知の上であり、何もなかったようにそれぞれのスクジュールは遂行された。私の方はたったひとりの行軍だったが・・・
 
さて、真夏日のような船橋のクボタグランド。
いつもながら見事な天然芝のグランドは、周囲の超工業的風景とのコントラストもあいまって、実に素晴らしい。
グランドに着くと、奥の方ではダイナボアーズがアップをしている。
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スタンドの二段目に腰掛けた。
インターバル走に精出す若手の荒い息遣いが、否応にも私の鼓膜を揺らす。
この暑いのにラグビー選手とは奇特な存在である。
なにしろ、これから走って、押して、ぶつかって、転がって・・・
 
手前の反対サイドで、クボタが悠々とアップを始めた。
ホームグランドの余裕か、それともトップリーグの自信か。とにかく、クボタの選手は笑顔でアップに励んでいた。
 
試合はキックオフ直後にいきなりクボタが攻め込む。FB高橋銀太郎が自陣から中央まで一気に切れ込むと、右の狭いスペースを当たってはオフロード、ショートパスで繋ぐ。
コンタクトでの「当たり勝ちだけ」を狙ったような強引な近場での攻撃。最後はマクメニマンが右隅に飛び込んで先制トライ。おそらく時計は1分か2分。(0−7)
 
直後の5分、またしてもクボタが左ゴール前ラインアウトから一気呵成にモールを押し込み2本目のトライ。(0−14)
 
これを境にようやく目が覚めたか、ダイナボは接点、BKのDFで人が変わったように持ち直して反撃に出る。
互角の闘いが続いていた19分、ダイナボがゴール前左ラインアウトから、蛇のようにラックを連取。
最後は核弾頭・ミロが、ラックサイドに楔を打ち込むよう飛び込んだ。(5−14)
 もうこのあたりでは、ダイナボもエリア、ポゼッションともに互角以上の闘いぶり。その後に期待を持たせる試合運びだ。
 
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しかしクボタは29分、CTB高野が2タテから一発で中央に飛び込んで差を広げる。(5−21)
結局、ゲームの入りで圧倒されたダイナボは前半で16点のビハインドを負った。
 
後半に入ると、クボタはオツコロを投入。重く強いミッドフィールダーに、ダイナボは前半途中からの集中力と、綻ばないDFで対抗した。逆にダイナボはヘナリ・ベラタウの突破から幾度もチャンスをつくるが、トライラインは超えられない。
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このベラタウ、本当にワクワクさせてくれるプレーヤーだ。
体格はさほど大きくはない。むしろ日本選手と比べても小柄で痩身と感じるほどなのに、バネある走りと、躊躇しない交通事故みたいなタックルには痺れた。
 
後半の均衡を破ったのはクボタ。
26分、2セン?の位置にいたオツコロにボールが渡った刹那、背後から飛脚の様なスピードで「寄り」を見せたブラインドウイング! 
WTB鈴木貴士はボールを受けるやいなやトップスピードに乗る。あとはまるで超・早送りの様なスピードで、ボールはゴール中央に置かれていた。後半、両チーム通じて唯一の、「圧巻の」トライシーンであった。
 
試合は5−28でクボタの勝利。
この試合、チャレンジャーであるダイナボはDFがテーマであったなら、いいゲームをしたのではなかろうか。
両センターの手堅いDFは、時に鋭いアップを見せ、また、FWも3列を中心にしつこく内側から押し上げるべく動いていた。事実、後半は与えたTは鈴木の異次元の一本のみ。
今季は更に楽しみなチャレンジを見せてくれそうなダイナボである。
 
クボタはまだ余力を残していたかな。
オツコロもケガをしないプレーに専念しているみたいだし。
ただ、フロントに挑戦している元・3列の岩爪は頑張って欲しい。
生半可な努力で出来ることではないはずだ。
 
そんな、試合後の余韻に独りで浸るべくもなく、家族と別行動をとった不肖の父、最低の夫はグランドから湾岸道路方面に歩を進めた。
 
「クルマの置いてある船橋まで、バスに乗るか、タクシーでも拾うか・・・」
 
ポケットで携帯が震えた。
試合を終えた友人からであった。
予定外の観戦であり、こっそり見ていたのだが、隠せないアウトローならぬ「アウトファミリー」オーラは、遠目にもわかるほどに発散されていたようだ。
 
彼が上がるのを待って合流。陽のあるうちから、船橋でモツ焼きをいただきながら生ビールで乾杯。
(その後にディズニーにクルマでお迎え予定の私はお茶です、お茶!)
 
ラグビーの話を聞いて、いつものごとく右脳の深層部で学習をした。
勉強になること、感動したことをメモにする。
 
その後、浦安ににお迎えに行って別行動の家族とご対面。
愛すべき家族は、三菱、クボタの誰よりも動きまわったかのように疲れきった顔×3。
お前達は遊びじゃないか・・・って私も家族を放ったらかして遊びだったのだけれど。
私とその他家族。双方がそれぞれ最高の選択をした楽しい一日。
 
息子だけは試合のスコアを聞いてきた。
こいつ、きっと暗記しているに違いない。
ラグビーは暗記のスポーツではないんだぞ・・・・。。

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結果的に最後のPGへとつながった、ラストスクラムは相手ボール。
選択肢はひとつであった。スクラムでプレッシャーをかけて、コラプシングの反則をとること。
機先を制した素早いセット。
はたして、NECの強烈なプッシュは相手コラプシングを誘った。

そのわずか2分前に、ヒーローになり損ねた悔恨残る10番を、8人の屈強な猛者たちは再び舞台にあげることに成功したのである。
NECがショットの選択の直後にホーン。
観ているこちらまでもが緊張の極みであった。
SO松尾が慎重にボールをプレースする後ろで、サウカワはリラックスを促したかゴールを指す。

恐らくその時間、秩父宮、いや東京で一番の緊張状況にあり、また一番冷静であった男の描いた綺麗な弾道は白いHの文字を見事に超えた。
ポスト下の二人のARのフラッグが上がる。
ノーサイド! 劇的な逆転サヨナラPG!

もはや名人芸の域にある最後の一蹴りを放った男を、仲間がもみくちゃにした。トンガンキャップ24を誇る、褐色の弾丸は仰向けになったまま起き上がらない。

グランド中央の円陣。並ぶ笑顔にも、目頭に光るものが少なくない。

歓喜のバックスタンドから、メインスタンドに帰ってきた緑の戦士をスタッフが迎える。

伊藤忠側のインゴール。
この日の多くの「キック」と、最後の「緊張」を担ったSO松尾。
柔らかい日差しに照らされ、安堵の涙は、いつしか仲間より一足遅い笑顔に変わっていた。

岩のごときワンプッシュで、お膳立てをしたプロップ、ロック陣のなにごともなかったような笑顔。
この屈強なるスクラムを組み立てたスクラムコーチは、もうスタンドの裏であったか。
いかにも「らしい」御仁なのであろう。


改めて思う、ラグビーとは絆のスポーツであると。
心、役割、そして目指すべきもの、すべては絆で繋がっている。
この年になってまたラグビーを好きになった。


セロリの苦手な娘も、緑の野菜すべてが苦手な息子も、この日はシロのジャージに声嗄らした試合。
帰りの夕食の焼肉店、家族での祝勝会。
サラダに入ったキューリの緑に、嫌悪をあらわにする息子のいつもの姿。
娘の偏食、息子の好き嫌いに、いつもより寛大に容認する簡単な父親。
NECが勝てば我家は平和である。

かつての名LOがさばいた壷カルビ絶品なり。。

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〔けやきグランド杮落とし〕

快晴の12月20日。
世の大学ラグビーが大学選手権1回戦に沸くこの日、我が成蹊大学では「けやきグランド」が杮落としとなった。甲南大学との定期戦である。

冬の穏やかな日差しが緑の絨毯を優しく照らす。
まるでグランドを清めるかのように、朝早くから部員達が落葉を拾った新グランド。
人工芝の緑と、それを囲むトラックの茶のコントラストが鮮やかだ。
メイン側の赴き深い石段は、綺麗なブルーのスタンドになった。中央には放送席に貴賓席、そして上には屋根つきのスタンドまである。
バック側には移動式の電光掲示板。

土のグランドに汗を流した先輩諸氏も、新しいグランドを笑顔で確かめる。

まめまめしく働く部員に声をかけながら、不惑の巨漢LOが機知に富んだジョークを呟いた。
「この人工芝の下に、俺のコンタクトレンズが何枚眠っているのだろう」

氏のコンタクトレンズとともに、沢山の先輩の汗も血も眠っている。
高名な肉料理の肉汁よろしく、新たなグランドに封じ込められるべき成蹊の伝統と価値。
それはグランドこそ「人工」になっても、学生がひたむきにプレーする「生身」のラグビーの継承である。

この日、新グランドの歴史は、将来の楽しみな中学生の試合に始まり、大学の定期戦へと繋がった。「けやきグランド」は、まだ最初の1ページ。しかしあまたの歴史を連ねてきた後の新たな1ページだからこそ、先に馳せる思いは熱くなる。
歴史と思いは永遠に繋がっていく。
これからも現役、OB、関係者は、けやきグランドを前に同じ方向を見つめていくのだ。


〔甲南大学定期戦〕

今季、ジプシーを強いられたチームにようやく、グランドが帰ってきた。
芝は人工芝に変わっていた。

長きにわたり神戸・岡本と武蔵野・吉祥寺を結んできたこの定期戦。
1年に1度、必ずワインカラーのジャージに遭遇してお互いの力をぶつけ合う。
お互い持ち回りで、神戸、吉祥寺に招く友との交流。

ラグビーとは絆だ。
だからこそ、新グランドの最初の相手が甲南大学なのは必然かもしれない。
この記念すべき杮落としにして、2009年度の4年生の最終戦。

いきなり先制トライを奪ったのは成蹊。
記念すべき最初のトライは4年生SO・堀江だ。
ふわりとキックオフを蹴った男は、その5分後、自ら東側のインゴールポスト下に飛び込んでいた。4年生SO・堀江。本人は表情を崩さないのに、周囲が笑顔を隠せないのは、皆が堀江の努力を知っているからだ。

「ヨネ、ナイス!」

 きっと出身校系(米子東高校)のニックネーム。朴訥としているようで、ひたむきな強さを持つ山陰の司令塔。大学ラグビー部の「けやきグランドの初トライ」は、鳥取の男がスコアした。来春、就職で郷里に戻る男は、大きくて確かな足跡を東側インゴールに刻んだ。
三雲のGも決まる。試合の入りとしては最高だ。


その後、甲南のディフェンスを崩せずに追加点を奪えない成蹊。

前半15分。自陣からのパントをキャッチした相手めがけて、槍の如きビッグタックル。
WTBの高橋隼だ。こぼれ球はLO永井に渡り、大きくゲイン。
PR福嶋はいつもの様にスクラムのみならず「きかん坊」みたいな顔で強引な突進を見せる。
WTB浦野、FB三雲はボールを持てば必ず鋭い突破を見せる。
まるで申し合わせたように、前半から4年生がゲームを引っ張っていた。

19分、下級生も4年生に負けじと、左隅のモールからFLのルーキー三浦豪がサイドをこじ開けてトライ。三浦豪はその後もタイミングの良いフォローで敵陣を走り回る。

前半20分、福島をフォローしたPR新井が阿修羅のごとき突進でゴールに迫る。
あと2m! しかし甲南の激しいディフェンスにインゴールには届かず。
新井はこのプレーで無念の負傷退場・・・

26分新井に変わってPR斉藤が入った5mスクラムを押し込む。
最後はNO8小林がしっかりインゴールに抑えてトライ。三雲G成功。

39分、中盤でパスを受けたWTB高橋が左右に幻惑。右タッチ際を走る。
相手FBをこれでもかと引き付けてラストパスを放れば、三浦嶺の前には誰もいなかった。
右ライン際を20メートル快走した三浦は、前半最後のトライを右隅に決めた。


後半も5分に「弾丸」永井がゴール真下に駆け込むと、成蹊は流れを摑んで離さない。
12分には敵陣ゴールまであと10mの右ラインアウトを小林がキャッチ。
しっかりと組んだモールを押し込み、最後は三浦嶺がこの日3つ目のトライ。ルーキーの見事なハットトリックだ。

そして19分、中盤での永井の豪快な突進から左展開。SO堀江とクロスしたCTB貝渕がディフェンスをかき分けるようにしぶとく前進、綺麗に球を出す。

この好球を捌くべき男は、自ら球を活かした。
後半からSHに入った中村だ。
密集サイドを素早く抜けると一気にインゴールへ! ボールはインゴール「SEIKEI」の「S」の字あたりにそっとグラウンディングされた。
主務・中村のトライに沸く成蹊。

そして31分。大森からパスを受けた和田がハーフウェイから一気に左ライン際を駆ける。最後は、相手ディフェンスを直角のステップで軽快に抜けると中央に回り込んだ。これこそは、主務と副務の緻密な連携のごとき「連弾」となるトライであった。
メンバーも部員たちも一気に盛り上がる。

後半は右WTBに入った主将も黙ってはいない。
35分、普段とは違った位置からチームを纏めていたCap池田。
10m付近から22m付近まで好走したルーキー尾上の、「ソフトで優しい」ラストパスを受けて、ゴール中央まで走り込んだ。それでも、笑顔ひとつ見せない主将の表情は、最後まで「闘将」のそれであった。

クライマックスはロスタイムに入った41分。

ハーフウェイ左のモールを押すFWは猛獣の様に力強かった。後半からLOに入った二井が遮二無二密集を押している。そしてSH中村がボールを持った。
息を潜めていた猛獣使いは、右に展開すると見せかけるや、一気にタテに出た。密集サイドで加速すると、ゴールへ一直線。相手くれば鋭角にかわし、学生最後の中村のランをけやきグランドにいた全ての成蹊関係者の声援が後押しした。
インゴールは見えた! あと1m・・・甲南の切れないカバーディフェンスが、容赦なく襲い掛かった。
中村は一度は転倒しながらも、ワンアクションで見事にグラウンディング。
まるでフォローしていたかのような、水色のジャージの桜岡レフリーの右手が真っ直ぐに上がった。
中村この日2本目のトライだ! フォローしていた太田、和田が笑顔で駆けつける。

「バルサン! ナイス!」
スタンドから多くの声が飛んだ。

事実は知らない。しかし、バルサン・・・きっとバルさん、バルタン星人だ。
今年度、主務の激務をこなし、練習に、試合に奮闘した中村は、まさに増殖するバルタン星人の様に、一人で何人分もの役割を全うしていた。
2009年度の最後のトライを中村が刻んだとき、このチームの良さを改めて痛感させられた思いであった。ゴールを狙う和田。

今季のスクラムを支えたひとりである、負傷者のPR阿部(4年)がまめまめしく働いていた。ドリンクボトルとキックティを持った彼が、ゴール裏で私に呟いた。
「4日前の練習で膝の靭帯を負傷しまして・・・でも、今はオレ以外の4年生、全員が出てますよ」
グランドでは4年生が「最後の成蹊ラグビー」をエンジョイしていた。

西日に照らされる記念撮影が眩しい。直射日光に対座する笑顔も本当に眩しい。
カメラマンの指示で交互に整列する様はまさに「ノーサイド」
よほど眩しいか、笑顔が余計に崩れる両校の仲間たち。
これで2009年度は幕を閉じる。

薄暮のけやきグランド。
4年生の最後の試合という感傷も手伝って、私の体内時計は狂っていたか。
もう午後5時は過ぎているかと思えば、まだ3時過ぎだった。
友と語る時間はたっぷり残っている。寒空の下、アフターマッチファンクションに向かう選手も、OBも皆が嬉々として明るい。

今年も1ページ増えた定期戦の歴史。
岡本〜吉祥寺、直線距離にして550kmを超えた楕円(縁)の絆。
甲南大学は、西の永遠のライバルであり友である。

甲南大学に感謝しよう。全ての成蹊関係者に感謝しよう。
来年も甲南にとって、成蹊にとって・・・そして「全てのラグビー」にとって良い年でありますように。

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成蹊ラグビーに「主人公」はいない。
しかし、今季必死で這い上がってきた男達ならいる。

12月12日(土)の熊谷ラグビー場。
http://www.rugby-japan.jp/national/score/print/print4002.html

14番を纏った黒いヘッドキャップは、上を見ながらフィールドに帰ってきた。
そしてもう一人。対抗戦終盤、ケガに苦しんだミッドフィールダーは、その位置を最後尾に変えてスタメンに復活した。

快晴のフィールド。今日も背番号9番を先頭に登場。
軽く伸びをした主将・池田を中心に円陣が出来た。入替戦の空気を幾度も呼吸してきた男たちの落ち着きぶりが頼もしい。

まるで12時のキックオフを待っていたかのように、明治学院大学(以下明学大)は最初の1秒から激しくぶつかってきた。
いきなり自らのキックオフを強奪するや、成蹊陣になだれ込む。
前半4分、成蹊はラインオフサイドの反則を犯す。
鈴木レフリーの踵は右中間15mを示した。しかし、明学大はあえてPGを狙わず、左タッチに蹴りだす。この強気な姿勢を、成蹊は激しいディフェンスで押し返した。
最初の5分間。明学大の洗礼は、実際以上の時間に錯覚するほどに厳しいものであった。

開始直後から防戦にまわっていた成蹊は、太田のロングキック、中央付近でのBK攻防から、ようやく敵陣に攻め込む。

前半8分、明学大ゴール前の相手ボールスクラム。
ここで相手キックを素早い反応でチャージ、押し込んだモールがインゴールになだれ込んだ。パイルアップ、短い笛。
キャリィバックで右中間ゴール前、成蹊ボールのスクラム。

先制の絶好機。ボールはきっちりとNO8・小林の足元に装填された。
小林が相手FLを引きつけた刹那、右に待ち構えていたSH・池田にボールをパス。
池田は相手ディフェンスをかわして右隅に飛び込んだ。ゴール前の8−9で先制トライ!
三雲のコンバージョンは惜しくも外れたが、成蹊は苦しんだ末の先制点を獲得。
ここで成蹊は一気に流れを摑みたい。(5−0)

リスタートのボールもFL三浦がガッチリとキャッチ、固いバインドで押し込む。強固なモールが、流れを更に引き寄せるかと思われたその時、一瞬の隙をついた明学大がモールをターンーオーバー。右に展開し、再び反撃に転じる。
一転してピンチに立った成蹊はSO太田のタッチキック、SH池田のバックアップで明学大の攻撃を凌ぐ。そしてCTBの大森、藤本は渾身のタックルを続けた。

しかし、前半17分、成蹊は右中央ラインアウトをスティールされた直後、相手のハイパントにノックオンオフサイドの反則。
中央20mのPK。今度は明学大が確実にショットを選択して3点を返す。(5−3)

ここで成蹊は闘志に火をつける。

前半20分、FB三雲の鋭いランで大きくゲイン。中央右ポイントからのボールを受けたHO高田が相手FWが密集しているところを果敢に突破、大木のごとき太腿が高速回転すれば、背番号2はゴール前まで迫っていた。
あと5メートル! 捕まるか・・・ラストパス!
しかし、フォローの永井、惜しくもノックオン。成蹊ファンの歓声は溜息に変わり、明学大ファンは安堵の表情。

しかし、成蹊は直後の明学大ボールのスクラムをターンオーバー。ラックを連取すると、再び永井が「核弾頭」のごとく左ライン際を疾走! しかしトライラインを割ることは出来ない。

ここにきてエリア獲得がようやく安定してきた。
目前のインゴールになかなか手が届かない成蹊と、熱い闘志でディフェンスする明学大の攻防。メインスタンドは勿論、バックスタンドの両校ファンも沸き始めた。
明学大ファンのレモンカラーの小旗が打ち振られる。

前半25分、成蹊FWは明学大ゴール前でラック連取、スネークプレーでじわりとインゴールに迫る。
そして左隅、成蹊ボールの5mスクラム。
「成蹊! FW!」バックスタンドから野太い声援が飛ぶ。
この日、優位に立っていたスクラムを押し込みたい。組み直すこと3回。
明学大の激しい抵抗の前に、結局プッシュオーバー出来ず、チャンスを逃す。

前半33分、逆に成蹊は中盤のBKアタックにおいて、オブストラクションの反則を犯す。成蹊陣内10m内側、右中間のPKで明学大はショットを選択。
距離にして約35mのPGが決まれば逆転だ。しかし、キックは左に大きく外れ、これを拾ったCTB大森が果敢にアタック、自陣10m付近まで挽回。この密集から池田が素早く左に展開、永井、福嶋とボールは繋がる。
福嶋の柔らかいダウンボール。
このラックに、矢の様なフォロワーが走りこむ! 抜けた!
しかし、惜しくもスローフォワード。

ミスは見られるものの、成蹊のテンポは着実に上がってきた。
自由な司令塔・太田が叫ぶ。
「ここ、上げるところだ! 上げるところだ!」

高まる展開の意志よ。自由に繋ぐがいい!
成蹊BKのアタックは調子を上げ、前半36分、39分と、この日は左WTBに入った信田が快走、敵陣深く突入する。FWも纏まりあるモールで攻める。
しかし、最後の数メートルは遠く、ハーフタイムの笛。

前半は「行きたいFW」と「まわしたいBK」が、やや噛み合わなかった。
ここは、「成蹊のラグビー」をさせなかった「明学大の厳しいディフェンス」こそ賞賛されるべきであろう。

「やりたいことが出来なかった」と振り返った前半戦。
主将・池田を中心としたハーフタイムの反省は、後半「15人の意思統一」へと昇華した。

新たな闘志を入れ換えた成蹊フィフティーン。
後半開始の成蹊K.O.からFWが足を掻けば、モールは敵陣深く進んでいく。
スタンドの成蹊コールが15人を押す。

後半2分、成蹊は左隅5mマイボールスクラム。
ノックオンで一度はチャンスが潰えたかに見えた。
しかし、変わった明学大ボールスクラムに8人のFWパックが強烈なプレッシャーをかける。
こぼれた球に素早く反応するFL吉田。ブレイク早いPR新井がフォロー、突進するとボールはゴールまであと2mのところにあった。最後は福嶋が左隅に飛び込み、美味なるトライ!
左隅からの難しいコンバージョンも三雲が見事に決めた。
三雲がはにかんだような笑みを浮かべ自陣に帰る。(12−3)

流れ、勢いそのままに、三雲が縦横に走りゲインラインを越える。
池田は生きたボールに、更なる息吹を吹きかけ、FWとBKをリンクする。

後半2本目のトライは12分。
ハーフウェイ左隅の密集から、池田のスクート、福嶋のクラッシュを経て、ボールは太田から三雲へ。カメラを覗いていたら、三雲が「飛び出す絵本」みたいに敵陣に走り込んできた。
三雲からボールを受けた浦野は、八方を囲まれても絶妙のボディバランスでボールを活かす。
高田がクラッシュする。右サイドで密集を連取すると、最後にボールは池田から再び浦野へ。
瞬時にトップギアに入った浦野は、二人のディフェンスと、そして自らのスパイクまでも置き去りにしてインゴールに飛び込んだ。復活の狼煙は30mの力走。
コンバージョンは外れるも貴重な追加点。(17−3)

その後、一進一退の攻防が続き、スコアは動かない。
成蹊もリズムこそ摑むが、肝心なところでミスを犯し、攻めきれない。
明学大の厳しいプレッシャー、激しいタックル。

後半24分、明学大は中央10m付近で得たPKからタッチ。安定したラインアウトから成蹊ゴールラインを脅かす。辛うじてゴールラインは死守する。

後半37分、スコアはようやく動く。
中央左の成蹊ボールスクラムから、太田が右裏に絶妙のキック。
ここぞとチェイスする成蹊BKがボールに殺到する。しっかりと確保されたボールが順目にまわる。
浦野にボールが託された時は、僅かな狭いスペースでの2対2。難しいか?!
しかし、最初の一の矢を難なくかわした浦野には、もうインゴールしか見えていなかった。
必死のディフェンスに一度は転がりながらも、素早く這い上がり右中間に飛び込んだ。
三雲のコンバージョンが綺麗な弧を描いた。(24−3)
この浦野の2本目のトライこそ、負傷から這い上がってきた彼の最終学年と、それをサポートした仲間のトライである。

リスタートのボール、明学大FWが鋭利な槍のごとく刺さる。
闘志には闘志だ。
後半42分、成蹊は中央からの展開で太田がラインの裏に出る。10m中央で出来た密集から、素早く池田がパスアウトすると、ボールは藤本から三雲に渡った。
三雲が力強く強引なタテ突破を図れば、一気に視界は開けた。強風で糸の切れた凧みたいに、右に左にステップを踏み、インゴールに迫る。
あと5mのところで、ディフェンスにかかるも、すかさずフォローした男がボールを抱くように右中間にグラウンディングした。NO8の小林だ。FW歴1年目のNO8は、この日も愚直にフォローを続け、ロスタイムに自らインゴールを陥れた。

キックオフ時より、少しばかり長くなった三雲の影がゆっくりと動く。
アタリのいいボールが力強くバーを越えた。
今季の対抗戦をしめくくるゴールは、どこかの歌のように外れることはなかった。

ノーサイド。Aグループ残留だ!

31対3。破綻を知らないディフェンスは、立教戦に続き、この日も難敵・明学大をノートライに抑えた。
勝利の直後、バックスタンドに、そしてメインスタンドに一礼をする選手達の穏やかな表情がいい。
入替戦という日を包んでいた「なにか」から解放されたような安堵。

スタンドに目を移せば、高校・土屋先生が見守って下さっていた。
そして、つい先ほどまで両手握り締めていたご父兄の目にも、「成蹊!!」の声援を送り続けた関係者の目にも、光るものが浮かんでいる。ついこちらの涙腺までもが緩んでしまう。
「熱くなってしまうから」とひとりバックスタンドで観戦していた御仁は、感慨深げな表情で三脚を畳んでおられた。やはり4年生のご父兄だった。

不肖ながら、一介のOBの戯言を記したい。
最後にゆっくりと熊谷のインゴールの芝でクールダウンさせてやりたかった。
お前たちの流した汗滲みる熊谷の芝を、裸足でゆっくりと・・・。
実は一人だけ踏みしめた男がいる。浦野秀平。後半12分の「全員のトライ」の代表者として、浦野の右足は「熊谷のインゴール」を裸足で踏みしめていた。

歓喜の記念撮影を終えて、ただ安堵の表情を浮かべてスタンドに消えていった成蹊ラガー達よ。
そしてグランドの選手とともに戦い続けた仲間達よ。
心からおめでとう。

この日、「勝利のみ」「結果のみ」が求められる入替戦において、ガッチリ摑んだもの。
これこそは、今季の成蹊大学ラグビー部に関わる全ての「最大公約数」である。

「集大成」は20日、西のライバル甲南大学との定期戦。
願ってもない相手との、グランド開きの一戦である。
緑眩しい新グランドで「成蹊のラグビー」を完遂しよう! そして楽しもう!

今季最後となる「緊張」の一日に、お前達の全ての「感謝」を込めて!

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対抗戦、成蹊対立教を観戦に八王子へ。

グランドの左右に見比べる、試合前のアップの風景は好対照であった。
気合十分な立教は、掛け声も高らかに、ワラビーズのごとく纏まった隊列のウォーミングアップ。
コンタクトも激しい。
一方、成蹊には笑顔も見られ、最初にタッチフットに興じていた姿などはどこか牧歌的な雰囲気。
どちらの意味でも、リラックスムードであった。戦前の予想は立教有利であるらしい。
私はOB数名と挨拶を交わすとYさんとバックスタンドにまわった。

アップを終えた成蹊の選手が控え室に戻った。メインスタンド下の控え室とグランドを隔てるのは一枚のカーテンのみ。K.O.の時刻が迫る。
心昂ぶり、お互いの声をただぶつけ合うように、部歌がバックスタンドまで聞こえてきた。歌詞を知る者にすら言葉に聞えない選手の思いが耳に熱い。
ゆっくりとグランドに出てきたリラックス集団は、見事に戦士へと変貌していた。

立教のK.O.で始まった試合は、前半12分に立教がPGで先制する。(0−3)
その後、一進一退の攻防が続くが、前半21分にLOの永井が大きく試合を動かす。
中盤の攻防から突出し、一気に50mを独走。
歓声と悲鳴が交錯する中、追いすがる立教の6番、8番、14番。転がり込むようにグラウンディングしたかに見えたが、惜しくもインゴールノックオン。
下井レフリーの短い笛に、スタンドの歓声は溜息に変わった。

しかし、永井の「幻のトライ」で勢いづいた成蹊FWは、直後の立教ボールスクラムをホイールでターンオーバー。
その後も立教陣内で攻め続け、25分にゴール正面でPKを得る。スタンドからは「狙え」の声が上がるも、タッチでゴール前ラインアウト。頼もし過ぎるほどに強気な姿勢。
しかし、流石にディフェンスの固い立教は容易にはゴールラインを割らせてくれない。
その後、立教が1本のPGを外して0−3のまま前半を終了した。

ハーフタイムで更なる意思疎通が図られたか、後半に入ると成蹊のアタックはキレ味を増す。
前半に比べ、積極的にボールを展開する意志が明らかに見て取れる。ボールは面白いように繋がり、執拗なアタックは立教の反則を誘った。
成蹊はPGのチャンスを得るが、1回目のPG失敗に続き、2回目のPGはバーに嫌われ大きく跳ね返った。しかし、勢いそのままに、一気呵成に攻め続ける成蹊。
FWの愚直なフォローは、まるで大切な卵でも産み落とすかのように、好球を連続支配し続けた。
厳しいプレッシャーの中で、SH池田は的確にボールを捌き、ダンスでも踊るようにサイドを狙った。

そして勝負を分けたそのプレーは後半15分のこと。
あまたのフェーズを重ねた後、敵陣10m付近のポイントからボールが出た。
まるで意志を持つかのようにボールは繋がれていく。SH池田からWTB三浦(貴)、CTB大森、CTB藤本・・・そこに矢のようなスピードで入ってきたのは「元気印」のFL三浦(豪)であった。
外につくFB信田、WTB高橋に対して立教ディフェンスがかぶっているとみるや、三浦(豪)は思い切りよく内を切り、ゴムマリの如くインゴールを陥れた。
逆転だ! 信田のゴールもポスト中央を抜けて2点を追加。(7−3)

闘志に火のついた立教が反撃に出る。
直後のリスタートこそダイレクトとなるも、FW、BKが一体となり激しく成蹊ゴール前まで攻め込む。
一転してピンチとなった成蹊は、立教ボールのモールを、ゴールラインまであと10mという位置で耐えていた。
そして、立教のモールがじわりと動いたその時、黒いジャージが密集を突き破った。
太ももの白いテーピング、PR福嶋だ。
福嶋は持ち出したボールを立教陣内へ真っ直ぐに蹴りこむ。転々とするボールに、必死で戻った立教のWTBを、三浦(貴)、三浦(豪)、藤本が襲う。
成蹊は逆転直後のピンチを一瞬で脱することに成功した。

その後、目まぐるしく変わると思われた攻防も、後半から出場のCTB三雲がゲームのテンポを上げて流れを離さない。相手の中盤を引きつけたランは、しばし外翼を活かしWTBの好走を引きだした。
FWはセットでの健闘に加えて、献身的なフォローで「流れ」を維持。
BKは相手のアタックを連なるタックルで止め続ける。後ろに球来れば、WTB高橋は落ち着いたフィールディングを見せ、ボールタッチに飢えていたFB信田は飢狼のごとき圧巻のカウンターを見せた。

後半15分の成蹊の逆転以降、スコアこそ動かなかったものの、後半の流れが成蹊にあるのは明らかであった。

7対3で成蹊リード。時計は40分を回り、後半もロスタイムに入っていた。
立教ゴール前の、立教ボールの密集からボールがパスアウトされた。福嶋、新井、三浦(豪)が猛然と襲い掛かる。長い笛。立教たまらずノットリリースの反則。
下井レフリーの示したポイントは、ショットで3点を獲得するには絶好の位置だ。
しかし、主将・池田は冷静であった。迷わずタッチを指示するとスタンドがどよめいた。
このタッチからゲームに入った永野がラインアウトをクリーンキャッチ。
真綿で絞めあげるように、じわりとラインアウトモールを押し込む。硬くバインドされた8人の黒い塊がゆっくりと進む。
立教の必死の抵抗にラック、そして成蹊ボールのスクラムに変わった。
ラストワンプレー。最後まで安定していたスクラムから、余裕を持ってパスアウトされたボールは池田から藤本、太田と渡った。真横に蹴りだされたボールがスタンドに刺さった。

ノーサイド!

瞬間、歓喜の輪が広がった。拳を突き上げる者。とにかく叫んでいる者。そして感慨のあまり芝に突っ伏している者。
快勝! 点差以上に安定したナイスゲームであった。
昨年と同じグランド、同じK.O.時刻。日付だけが一日違った、激しい闘いにおいて、成蹊は一度もゴールラインを割らせることなく勝利した。

この試合のテーマであった「圧倒」を見事に具現したFW。
駆け引きに長けたスクラムでは、ホイールによるターンオーバー2回を数え、ブレイクダウンでも立教の激しい3列に激しく対抗した。
そして、相手をノートライに抑えたBK、FW3列の「鉄壁のディフェンス」は、直前のOBからの檄文にあった「ラグビー原点のタックル」そのものであった。

強敵立教をノートライに抑えた充実は、集合時の選手達の表情は勿論、八木監督をはじめ、コーチングスタッフの言葉からも伺えた。異口同音に出たのは「気持ち」そして「タックル」。監督の「ハンカチ湿らせるナイスゲームだったぞ」のコメントは勝利へのリップサービスではあるまい。

解散後、主将・池田にノーサイド間際のPKのタッチの選択について聞いてみた。
「あそこでPGで7点差にするよりも、相手に最後の攻撃をさせたくなかった。あの場面、万が一に取られるときは、真ん中まで走りこまれることを考えた。同点、同トライ数・・・得失点差では立教が圧倒的に上だから、とにかく勢いとボールを保持し続けたかった」

愚問を承知で、前半の同点のチャンスのタッチ選択も聞いた。
「前半は絶対にFW。行けるところまで行こうと決めていたので」

最後に今日の試合で一番良かったところを聞いたら答えに困った。
「うーん、勝ったから全部ですね」
私は頼もしい後輩に感心しつつ肩を叩いた。

緊迫した状況での瞬時の判断、選択。
頼れるスキッパーの「考え」「意志」は確固たるものとして存在した。

2009年度の4年生達よ。
残り少ない一日々々を「過ごす」のではなく、精一杯やりきろう。
そして、入替戦前日の練習後に空を仰いでみよう。

明治学院大学を「圧倒」して勝つ!
熱く、冷静に、全部員で「オレたちの勝利」をもうひとつ!



■ハーフタイム、メインスタンド前の様子を伺っていたら、下井レフリーがARに、前半にあったタッチキックを空中でキャッチしてグランドに着地したプレーの注意確認をしていた。
ARは迷った末に時間をおいて旗を上げて、ボール投入チームも間違っていたと思う。ラグマガでもラインを跨いだ場合のキャッチなど含めて特集されていたが、このような項目は自信を持ってジャッジしてもらいたい。マイボールラインアウトひとつが勝敗を分けるのだから。勿論、それも含めてラグビーなのです・・・口チャットじゃなくて、口チャック!
立教のキャプテンにも何やら話をされていましたが・・・ラグビーのレフリーとは世にも忙しい方々である。

心から尊敬します。そのラグビーへの献身に多謝!

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